法律には触れなくても飲酒後は運転しないほうが無難
ゴルフ場でラウンドする際は、キャディーバッグをカートに積載して移動するのが一般的です。ゴルフは広大な敷地の中で行うスポーツなので、カートを使用しないで回るのは容易なものではありません。

ゴルフ場で活用されているカートには、大きく分けて「自走式」と「電磁誘導式(リモコン式)」の2種類が存在し、自走式は、クルマのようにアクセルやブレーキ、ハンドルを操作して運転するカートです。
一方の電磁誘導式(リモコン式)は、カートの走行レーンがあらかじめ決められており、手元のリモコンを操作して移動させることができます。実際にハンドルを握って運転するものではないので、自走式に比べると操作のハードルはやや低くなっています。
では、自ら運転操作を行う自走式カートは、飲酒している状態でも運転することはできるのでしょうか。
ゴルフでは全18ホールのうち、9ホールを回り終えた時点でハーフターンの休憩があり、そのタイミングで昼食をとるのが一般的です(スループレーは除く)。
休憩時にはお酒を飲むこともできますが、その状態で後半のラウンドを回るとなると、飲酒した状態でカートの運転を行うことにもなってしまいます。
もちろん、通常のクルマの運転の場合は、少しでもお酒を飲んでいると酒酔い運転や酒気帯び運転として取り締まりの対象となります。では、ゴルフカートの場合はどうなのでしょうか。
ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、次のように話します。
「公道の走行ではないので、クルマのように飲酒運転にはなりませんが『飲酒状態でのカートの運転はやめてください』と定めているゴルフ場も存在します」
「ゴルフ場は、アップダウンが激しかったり、急なカーブがあったりと運転が難しい場所もありますし、カートでの転落事故が発生している事例もあります」
ゴルフ場の利用規約にも明記されている
実際に、各ゴルフ場のカートの利用規約を見てみると、飲酒した状態での運転について規定を設けているところがあります。
例えば、栃木県栃木市に位置する「プレステージカントリークラブ」では、運転を禁止しているケースについて「酩酊等により正常な運転が困難な場合」と明記されています。
同様に、東京都千代田区に本社を置くゴルフ場・リゾート開発会社「太平洋クラブ」でも、自社が運営するゴルフ場において「酩酊、その他の事由により運転が困難な場合」は運転者になることができないと定められています。
人によって酔いが回るペースや量には個人差があり、その日の体調によっても変化します。さまざまなリスクを考慮すると、飲酒後のゴルフカートの運転は避けたほうがいいと言えます。
飯島氏は、ゴルフカートの運転について次のように注意を促します。
「実際には、カートの運転は自己判断になってしまうことが多いと思いますが、周囲に迷惑をかけないように振る舞うことが一番重要なので、少しでも飲酒した場合は、同じ組の飲酒していない人に運転を任せるといった対応をとりましょう」
自走式カートではこのように注意する必要がありますが、電磁誘導式(リモコン式)のカートであっても、酩酊していると、リモコンでのブレーキが遅れて人に当たってしまうなど、正常な操作ができない可能性があります。
事故を未然に防ぐためにも、飲酒後はカートの種類にかかわらず、運転を避けるように心掛けましょう。