着弾音が聞こえないよう飛距離プラス50ヤード以上離れてから
ゴルフのプレー中に絶対にしてはいけないことの一つが前の組への打ち込み。キャディーさんがいる場合はキャディーさんに指示を仰げますが、セルフプレーではどのくらい離れたら打っていいのか判断が難しいとの声も聞かれます。打ち込まないための注意点をJLPGAティーチングプロの岡本恵氏が解説します。

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言うまでもないことですが、打ち込みは絶対にしてはいけません。打球事故は大けがに直結しますし、最悪の場合は死亡事故になるケースもあるからです。
前の組の乗用カートの位置を把握できるナビがカートについている場合は、前の組との距離をチェックしましょう。ショットするにあたっては、絶対に前の組のプレーヤーに届かないようにするために、想定される飛距離プラス50ヤード以上離れてから打つのが原則。例えば200ヤードの距離を打つ場合は、250ヤード以上離れてから打つようにしましょう。
グリーン手前のエッジまで230ヤードあり、前の組の方が全員グリーン上に上がっている場合、最大でも200ヤードしか飛ばない方は判断に迷ってしまうかもしれません。確かにグリーンに届くことはないと思いますが、球の落下音が前の組のプレーヤーに聞こえてしまうことがマナー違反。その意味でも自分の飛距離プラス50ヤード以上離れるまで待つようにしてください。
フォローの風や落下地点が下り傾斜の場合は想定より飛んでしまうこともあります。また、ドッグレッグのホールなどでは距離がどのくらい離れているのか分かりにくい場合もあるかもしれません。そのようは場合は状況に合わせて、飛距離プラス60ヤード以上または70ヤード以上と前の組との距離をより長くとってから打つようにしてください。
また、グリーンを狙う場合はグリーンから前の組が離れてもすぐに打つことはNG。理由はオーバーして前のプレーヤーに届いたり、次のティーへの経路が手前方向に向かっていることもあるからです。全員カートに乗って、動き出すまで打たないようにしましょう。
一方で、あまり待ちすぎるとスロープレーになってしまう可能性もあります。その点ではフォローの風や落下地点が下り傾斜の場合などを除き、自分の飛距離プラス50ヤード離れたら速やかに打つようにしましょう。
前の組がチラチラ振り返っていたら打ち込みの有無を確認して謝罪

あってはならないことですが、距離の目測を誤ってしまい打ち込んでしまった場合は、近くまで走っていって帽子やバイザーをとってすぐに謝るようにしてください。近くまで行けない場合は打ったところからでもいいので前の組に届く大きな声で「申し訳ありませんでした!」と謝るようにしましょう。
実際に前組のプレーヤーの足元までは届いていなくても、ボールが近くまで行った時点で打ち込みと判断されます。なぜなら風の影響などで一歩間違えば届いた可能性があり、リスクを承知で打ったと解釈できるからです。
打った後、前の組のプレーヤーがチラチラと後ろを振り返っていたら、もしかしたら打ち込んでいたのかもしれません。そんな時は前の組のプレーヤーに追いつくタイミングがあった時などに、「打ち込んでいませんでしたか?」と声をかけるのもマナーの一つ。「ボールが近くまで来てましたよ」などと言われたら、すぐに謝罪するようにしましょう。
逆に打ち込まれた場合は、相手に「打ち込みましたよ」とはっきりと伝えるようにしましょう。ただし、その日一日を後ろでラウンドしていてまた顔を合わせる方々なので、いきなり怒鳴りつけたりせずに穏やかに言うようにしましょう。
なお、プレーヤーによっては打ち込んできた理由を「進行が遅いからだ」と逆ギレしてくる方もいるかもしれません。もちろん事故につながる打ち込みはどんな時でも絶対にしてはいけない行為。もし揉めるようなことがあったらゴルフ場の方に相談するようにしましょう。
【解説】岡本恵
JLPGAティーチングプロ。ステップ・アップ・ツアー、アジアンツアーに参戦後、2009年よりティーチングプロとしてゴルフ練習場にて一般ゴルファーを指導。約15年の間に指導したアマチュアゴルファーは1000人以上。マナーやエチケットを守りつつも、楽しくゴルフしていただくのがモットー。現在は名古屋市の竜泉寺ゴルフ場にて指導を行なっている。