原英莉花などケガに悩むプロも多い！ 「生涯スポーツ」を「障害スポーツ」にしないために必要なこと

　ゴルフは子どもからお年寄りまであらゆる世代が一緒に楽しめるので生涯スポーツと言われます。本当にそのとおりで、3世代が同じフィールドで一緒にプレーできるスポーツはゴルフぐらいしかありません。

　お孫さんと一緒にゴルフに行ったことをうれしそうに語る人を見ると、こちらも微笑ましい気持ちになります。

　ゴルフが何歳までプレーできるかは個人差がありますが、70代でも元気にプレーするのはもはや当たり前の世の中になっています。80代や90代のゴルファーをお見かけする機会も増えました。

　あるゴルフ場に取材に行ったとき、「ウチのメンバーさんに100歳で100ラウンドされた女性の方がいるんですよ」と聞いて驚いたことがあります。

　娘さんと一緒に電車とバスを乗り継いでゴルフ場を訪れ、18ホールを毎回歩いてプレーされるとのこと。100歳までゴルフができること自体が素晴らしいです。

　日本の平均寿命は2019年時点で男性81.41歳、女性87.45歳です。健康寿命（健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間）は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。

　2020年に発表された「ゴルフと健康」に関する調査によると、ゴルフをやる人はやらない人に比べて「寿命が5年長い」という結果が出ています。

　この調査をしたのはR&Aというゴルフのルールを世界的に統一している組織です。ゴルフ組織の調査なので、ゴルフに対してポジティブなイメージを与えることが目的ではあるものの、30万人のゴルファーが調査に参加しているので信憑性は高いです。ゴルフは平均寿命と健康寿命を両方とも伸ばす効果があるようです。

　一方で、「ゴルフは生涯スポーツだが、障害スポーツでもある」という話をゴルフ関係者から聞くことがあります。

　なぜかといいますと、ゴルフは右から左への一方通行の動きを繰り返すスポーツです（左打ちの人は左から右）。一方通行の動きを繰り返すと体の左右のバランスが崩れます。なのでケガをしやすいスポーツでもあるのです。そのため、プロゴルファーはラウンドが終わった後に体のバランスを整えるケアを受けています。

　しかしながら、アマチュアゴルファーで体のバランスをそこまで気にしている人はほとんどいません。ショットの調子が悪いのは練習不足が原因と思っている人のほうが多いです。その結果、ゴルフのプレー中や練習中に突然、腰が痛くなったり肩が上がらなくなったりして、しばらくの間ゴルフから離れなければならなくなる人が後を絶ちません。

　体のケアをきちんとしているはずのプロゴルファーであっても、ケガで長期離脱を余儀なくされることもあります。

　女子ツアーで4勝を挙げている原英莉花は5月17日に腰のヘルニア摘出手術を受けたことをインスタグラムで報告しました。現在は復帰を目指してリハビリに励んでいます。

　2022年6月の「リシャール・ミル ヨネックスレディス」からトーナメント特別保障（公傷）制度適用を受けていた2006年賞金女王の大山志保も回復が遅れており、来季シーズン末まで期間を延長することが承認されました。

「ブリヂストンレディスオープン」と「宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント」で2戦連続予選落ちを喫した渋野日向子も左手を負傷しており、苦しいゴルフが続いています。

　プロゴルファーは練習量もラウンド数も膨大ですからケガをしやすいのかもしれませんが、アマチュアゴルファーもたまに練習したり、たまにラウンドしたりしたときにケガをしやすいといわれます。

　障害が起こらなければ生涯楽しめるスポーツであることは間違いありませんから、準備運動と整理運動を欠かさず、くれぐれもケガには気をつけたいものです。