モナハンPGAツアー会長の“懺悔”を受け入れた有力選手たち 懐疑的なメディアには「答えは年末に出る」 | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

モナハンPGAツアー会長の“懺悔”を受け入れた有力選手たち 懐疑的なメディアには「答えは年末に出る」

PIFとの統合発表後に体調を崩して約1カ月休職していたPGAツアーのジェイ・モナハン会長。一部で囁かれていた引退説を覆し、7月17日に会長職に復帰することを発表した。その後も表舞台に立つことはなかったが、プレーオフシリーズ第1戦のフェデックス・セントジュード選手権では、試合会場に足を運び、ほぼ2カ月ぶりに公の場に姿を現した。

「職務から離れ、心身を休養させる必要に迫られた」

 PGAツアーのジェイ・モナハン会長が、リブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」との統合合意を電撃的に発表したのは6月6日のことだった。

フェデックス・セントジュード選手権で約2カ月ぶりに公の場に姿を現したジェイ・モナハンPGAツアー会長 写真:Getty Images
フェデックス・セントジュード選手権で約2カ月ぶりに公の場に姿を現したジェイ・モナハンPGAツアー会長 写真:Getty Images

 その日のうちに米CNBCのニュースショーにPIFのヤセル・ルマイヤン会長と並んで出演したモナハン会長は、満面の笑顔を輝かせ、誇らしげだった。

 しかし、その発表を「寝耳に水」で知らされたPGAツアー選手たちからは、モナハン会長に対する批判が噴出。

「選手からの信頼が地に堕ちた」と米メディアからも書き立てられると、モナハン会長は、驚きの発表からわずか1週間後の6月14日に、体調不良による休職を発表。

 米ゴルフ界には「モナハン会長は、もうPGAツアーには戻ってこないのでは?」と見る「モナハン会長引退説」がまことしやかに囁かれ始めていた。

 だが、モナハン会長は引退説を覆し、7月17日に会長職に復帰することを発表。久しぶりにカムバックした会長は、選手たちにメモを回してPIFとの統合合意の内容を再度説明するなど、当面はひっそりと活動していたが、プレーオフシリーズ第1戦のフェデックス・セントジュード選手権では、試合会場に足を運び、ほぼ2カ月ぶりに公の場に姿を現した。

 8月8日には選手25名と向き合ってミーティングを開き、翌9日には米メディアとのラウンドテーブル・ディスカッションに参加した。

「再びジェイの顔を目の前で見ることができて良かった」

「ジェイが思った以上に元気そうで安心した」

 リッキー・ファウラーやジョーダン・スピースといったナイスガイたちは、ヘルシーな姿で復帰したモナハン会長を笑顔で受け入れていた。

 AP通信によれば、モナハン会長はキャリアで初めて自身の都合で職務から一時離脱せざるを得なかった経緯を、選手たちに正直に明かしたという。

「これまで私は、常に前のめりでアグレッシブに動いてきた。ビジネスの厳しい戦いに飛び込んでいくのが私のスタイルだった。しかし、今回だけは自分の不安がどんどん広がっていき、自分のためにも家族のためにも、一度、職務から離れ、心身を休養させる必要に迫られた」

 ほぼ5週間の休養中、モナハン会長が何かしらのコンサルティングや治療を受けたのかどうかは明かされていない。だが、陽の当たる場所に再び戻ってきたモナハン会長は「私は以前よりずっと強くなってカムバックできた」と言い切り、自信も強気の姿勢も取り戻している様子を披露したという。

「もう2度と、こんなやり方はしない」

 モナハン会長には、今になって後悔していることが、1つだけあるという。

 それは、PIFとの交渉を水面下で秘密裏に進め、選手たちには何も告げず、彼らを暗闇の中に置き続けてしまったこと。そして、統合合意に達したことを、誰にも告げず、いきなり抜き打ちで発表してしまったことだ。

 交渉に携わったのは、PGAツアー側はモナハン会長を含めた3名のみ。PIF側はルマイヤン会長1名のみだったと言われている。

 この4名だけで会合を持ち、ルマイヤン会長があらかじめ用意していた「統合の青写真」に、モナハン会長側がいくつかの要望を加えるなどの調整を行ない、数回の会合を経て統合合意に達した。

 そして、モナハン会長は6月6日に唐突に声明を出して統合合意を電撃発表。それから数時間後、今度は米CNBCのニュースショーに出演して、世紀の統合合意を広く世間に公表したのだが、「そうする前に、選手たちに内容を諮り、了承を得るべきだった」と悔やんでみせた。

「もう2度と、こんなやり方はしない」

 そう誓ったモナハン会長の姿に心を打たれた選手は多かったようで、マスターズ覇者のジョン・ラームも全英オープン覇者のブライアン・ハーマンも「ジェイがいなかったら、PGAツアーは新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミックの危機を乗り越えられなかったかもしれない」「ジェイのけん引力は素晴らしい」と高評価。

 他の選手たちもモナハン会長に拍手を送り、米メディアも「モナハン会長は以前の決断力とリーダーシップを取り戻した」「モナハン会長は選手たちからの信頼を取り戻した」と報じている。

「PIFによる投資を得て、新たなるツアーに成長する」

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メジャー2勝、ジョン・デーリーのRV。日本で言うところの観光バスを居住できるようにカスタマイズ(写真は2002年のもの) 写真:Getty Images
メジャー2勝、ジョン・デーリーのRVの室内。大好きなギターもRVならツアー会場に持っていける(写真は2002年のもの) 写真:Getty Images
メジャー2勝、ジョン・デーリーのRVの室内。まるで高級ホテルのスイートルームと見まがうばかり 写真:Getty Images
ジョーダン・スピースも“RVライフ”を好む選手の1人 写真:Getty Images
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
“クラブプロの星”マイケル・ブロックとケプカのハグ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
惜敗したビクトル・ホブランと握手するケプカ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
ウェルズファーゴ選手権で記者の囲み取材に答えるPGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハン氏 写真:Getty Images
英サッカー・プレミアリーグ、ニューカッスル・ユナイテッドの会長であり、サウジアラビアの国営石油企業「サウジ・アラムコ」の会長を務めるヤセル・アル・ルマイヤン会長(右)。スポーツビジネス界にとどまらない経済界の大物だ 写真:Getty Images
RBCカナディアンオープン開幕に先立って行われたプレーヤーミーティングに向かうジェイ・モナハン会長 写真:Getty Images
グレッグ・ノーマン(右)とヤセル・アル・ルマイヤンPIF会長(中央)の蜜月はあっさり終わった!?(左はドナルド・トランプ前大統領。写真は2022年のリブゴルフ・ベドミンスター大会) 写真:Getty Images
今年のジェネシス招待で話すタイガー・ウッズとジェイ・モナハンPGAツアー会長 写真:Getty Images
ローリー・マキロイは予選カットなしの試合に賛意を示していたが、タイガー・ウッズは違ったようだ 写真:Getty Images
フェデックス・セントジュード選手権で約2カ月ぶりに公の場に姿を現したジェイ・モナハンPGAツアー会長 写真:Getty Images
統合相手であるPIFのヤセル・ルマイヤン会長(左)と傘下のリブゴルフCEOであるグレッグ・ノーマン 写真:Getty Images
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