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- R&AとUSGAが目論む“飛ばないボール”導入 リークされたPGAツアーとプロ団体の“反論”の中身とは?
R&AとUSGAが提案した、プロやトップアマチュアらがプレーするエリート競技において、公認球よりも飛ばないボールの使用を求めるローカルルール。2026年1月の施行を目指し、競技団体や用品メーカーなど利害関係者から意見を聴取してきたが、それに対するPGAツアーとPGA・オブ・アメリカの意見が先日、相次いでリークされ、メディアに報じられた。
ヘッドスピードが最も速い選手の飛距離が14~15ヤード落ちる
世界のゴルフルールを統括する英国のR&Aと米国のUSGA(全米ゴルフ協会)は今年3月、プロやトップアマチュアらがプレーするエリート競技において、公認球よりも飛ばないボールの使用を求めるローカルルールのひな型(モデルローカルルール)を発表。2026年1月から有効になるとして、競技団体や用品メーカーなど利害関係者から意見を聴取してきました(8月14日に締め切り)。
それに対するPGAツアーとPGA・オブ・アメリカの意見が先日、相次いでリークされ、メディアに報じられました。その中身を紹介しましょう。
R&AとUSGAから提案された、エリートゴルファーに「飛ばないボール」の使用を求めるモデルローカルルール。その骨子は、ジェネラルルールでは「クラブヘッドの時速:120マイル/時(編注:日本でよく用いられる単位では約53m/s)、打ち出し角:10度、回転数:2520回転/分の打ち出し条件で、飛距離が317ヤード(+3ヤードの許容値)を超えないこと」とされている公認球の規定を、それぞれ「127マイル、11度、2220回転」と、より飛ぶ打ち出し条件で試打(テスト)して、飛距離はやはり317(+3)ヤードを超えない、事実上の「飛ばないボール」の使用をエリート競技に求めるものです。
このローカルルールに合格するボールでは、現在最も速いヘッドスピードを有するロングヒッターの飛距離が平均14~15ヤード落ちるだろうと言われています。
この規制に対し、先にリークされたPGAツアーの基本姿勢は「受け入れられない」というもので、メディアが入手した書面の中で、コミッショナーのジェイ・モナハンは次のように述べています。
「先日行われた選手会とのミーティングでは、将来的に飛距離の伸びを抑えることにはある程度の支持があったが、今回の提案には根拠がなく、最善の策ではないと、皆が明確に反対した。彼らの考えを受け、われわれはUSGAとR&Aだけでなく、業界のパートナーとも協力しながら、プレーヤー、ファン、そしてあらゆるレベルのゴルファーにとって最善の解決策を導き出すよう努めるが、このモデルローカルルールを支持することはできない。そのようにUSGAとR&Aに伝えた」
PGAツアーからのこのフィードバックに対し、USGAは「PGAツアーは重要な利害関係者であり、彼らが返答してくれたことには感謝している」とコメント。ただし、PGAツアーの同意が得られない場合、どう対処するのかの問いに対する答えはなかったとのことです。
プロ団体は「ゴルフの成長を著しく阻害する」と主張
PGAツアーのフィードバックが報じられた2週間後、欧米豪など各国PGA(プロゴルフ協会)の連盟であるワールド・アライアンス・オブ・PGAが、PGA・オブ・アメリカのセス・ウォー代表の名義でR&AとUSGAに提出した書面が別のメディアにリークされました。
その内容は、やはり今回のモデルローカルルールには反対するというもの。
「ご存じのように、ゴルフは現在、世界的に大きな関心を持たれ、ゴルフ人口が急増するという恩恵にあずかっています。われわれは、今回の提案がゴルフの成長を著しく阻害し、長い目で見て基本的なダメージと不利益をもたらすことを恐れています」と前置き。
そのうえで、R&AとUSGAに対し、「この問題についての協議時間を延長して、提出されている相反するデータを再検討。さらに飛距離を抑制することが本当に必要なのかを明らかにするため、より多くのデータを集めることを求める」としています。
実は、彼らはR&AとUSGAが根拠とするデータとは相反する数値のデータを持っており、
「われわれが持つデータは、R&AとUSGAが主張するデータとは矛盾するもので、このままでは混乱が生じる。最終的な決定を下す前に、十分に検討、見直し、そして結論を出す必要があると考える」と記されています。
これでは、各国PGAが今回のモデルローカルルールをすんなり受け入れる、つまりそれぞれの競技会に採用することはないでしょう。
PGA側のフィードバックについても、USGAからは「われわれはゴルフ業界すべてから意見を聞いている。PGAはわれわれの重要な利害関係者であり、彼らがフィードバックを送ってくれたことに感謝している」と、対PGAツアーと同様のコメントが返ってきたと記事は伝えています。
PGAツアーと各国PGAの連盟、2つの大きな団体が反対しても、R&AとUSGAは予定通り26年からこのローカルルールを採用するのでしょうか?
先にPGAツアーの意見を報じた記事のなかで、トッププレーヤーのジョン・ラームは次のように語っています。
「どうもならないさ。僕がどう考えようが、USGAとR&Aは彼らのやりたいようにやるだろう」
しかし、そうなれば26年のメジャートーナメントのうち、少なくともUSGA主催の「全米オープン」とR&A主催の「全英オープン」は「飛ばないボール」で争われる可能性があります。本当にそんな事態が……。今後の展開に注目です。
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