岩崎亜久竜の日本OP劇的1打応用で“簡単に”球がつかまる!? スタンスとフェース向きの“ギャップ”が鍵

多くの男女ツアープロのコーチを務め、ゴルフ中継で解説も務めている石井忍が、国内外ツアーで気になった選手やシーンをピックアップ。独自の視点で分析します。今回注目したのは、「日本オープンゴルフ選手権」で初優勝を遂げた岩崎亜久竜(いわさき・あぐり)です。

左の池を向いて20ヤードもスライスをかけ2オン成功

 10月12~15日の期間、大阪府の茨木カンツリー倶楽部・西コースで「日本オープンゴルフ選手権」が行われました。優勝したのは岩崎亜久竜選手です。最終日は首位と3打差の7位タイからスタートし、6バーディー、1ボギーの「65」でプレー。通算8アンダ―でツアー初優勝を日本タイトルで飾りました。

初優勝を日本タイトルで飾った岩崎亜久竜 写真:JGTOimages
初優勝を日本タイトルで飾った岩崎亜久竜 写真:JGTOimages

 昨シーズンは、ドライバーの飛距離(2022年ドライビングディスタンス9位・299.32ヤード)を武器に戦い、賞金ランキング3位と躍進。今シーズンは、ランキング上位の資格で欧州ツアーに参戦していましたが、思うような結果が出せずにいました。そんな中での日本オープン優勝です。

 優勝を決定的にしたのは、最終日最終ホール(パー5)のセカンドショットでした。ティーショットを右の林に入れ、テレビ塔の障害物による救済を受けてドロップ。ラフからの残り238ヤードのセカンドショットは、目の前に木があって直線的にグリーンは狙えないシチュエーション。2オンさせるには、左方向に打ち出してスライスをかける必要があります。しかし、グリーン左サイドには池が広がっているため、池を向いて打たなければいけません。

 この時点でトップに立っていた岩崎選手ですが、後ろの組でプレーする石川遼選手が1打差に迫っていたこともあり、4番アイアンで2オン狙いを選択します。スライスをかけたボールは、左からの風にも乗ってグリーンをとらえることに成功。2パットでバーディーを奪い、優勝に王手をかけました。

球をつかまえるには右にスタンスを向けフェース面はスタンスより左に

 絶対にスライスをかけたいこのシチュエーションで、岩崎選手は極端なカット打ち、俗にいう大根切りをせずに、右に約20ヤードもボールを曲げました。なぜこんなにスライスがかかったのでしょうか。

 球筋は、クラブパスとフェース向きの関係性で決まります。スタンスの向きとフェースの向きにギャップをつけることで、ボールにヨコ回転を加えることができるわけです。今回の状況でいえば、スタンスを池の方向(左)に向け、フェースを池よりも右に向けてセットアップ。このアドレスからスタンスなりに振って、ボールにスライス回転をかけたのです。

 この理屈を応用すれば、フック系の球も打ちやすくなります。例えば、レンジで球を打つ時に、練習場の右角にスタンスを向け、フェース面をスタンスよりも左に向けて構えてください。そして、スタンスなりにスイングすればOK。球がつかまり、フック系の球筋になるはずです。スライスで悩んでいる人は、ぜひ試してみてください。

岩崎 亜久竜(いわさき・あぐり)

1997年生まれ、静岡県出身。学生時代は、「日本アマ」4位(2019年)、「日本学生」9位(19年)などの戦績。20年にプロ転向し、21年はABEMAツアーでプレー。レギュラーツアーにフル参戦した22年は、開幕戦で最終日最終組を経験した他、度々上位に顔を出し、賞金ランキング3位に。23年は欧州ツアーにも参戦し、「日本オープン」でツアー初優勝を飾った。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

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初優勝を日本タイトルで飾った岩崎亜久竜 写真:JGTOimages
初優勝を日本タイトルで飾った岩崎亜久竜 写真:JGTOimages
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