リブゴルフ全14戦が終了 メジャーへの道は限りなく狭まり下位選手は失業!? “理想郷”の未来はどこに?

今年のリブゴルフは個人戦とチーム戦が同時進行されるレギュラー大会13試合、チーム戦のみの最終戦1試合の合計14試合が開催された。フィル・ミケルソンは参戦したいという選手の問い合わせがひっきりなしと喧伝するが、甘くはない現実も明るみになってきている。

リブゴルフの年間王者は世界ランキング200位以下

 リブゴルフの未来は果たして明るいのか、暗いのか。

 切望していた世界ランキングのポイント付与の申請は、10月10日(米国時間)にOWGR(オフィシャルワールドゴルフランキング)から正式に却下された。今後、リブゴルフがいくつかの条件を満たすべくシステムやフォーマットを変更しない限り、リブゴルフ選手の世界ランキングは低下の一途を辿ることになった。

最終戦で優勝し、歓喜のシャンパンファイトをするブライソン・デシャンボー率いる「クラッシャーズGC」 写真:GettyImages
最終戦で優勝し、歓喜のシャンパンファイトをするブライソン・デシャンボー率いる「クラッシャーズGC」 写真:GettyImages

 それでもリブゴルフ選手たちは「メジャーに出ることさえできれば」と望みを抱き、メジャー4大会の主催者たちに出場資格の見直しを求めていた。

 だが、10月26日、マスターズを主催するオーガスタナショナルのフレッド・リドリー会長と全英オープンを主催するR&Aのマーチン・スランバーズ会長は、いずれも「2024年大会の出場資格の変更は行わない」と公言。25年大会以降に変更する可能性は否定しなかったが、肯定もしなかった。

 いずれにしても、リブゴルフ選手が来年のメジャー大会に出場する道は限りなく狭められた。

 現状では、24年のメジャー4大会すべてに出場できるのは、過去のメジャー優勝などのビッグタイトルを持つブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソン、キャメロン・スミス、ブライソン・デシャンボー、フィル・ミケルソンの5名のみ。メジャー大会1試合への出場が見込めるのは13名のみ。

 テーラー・グーチにいたっては、今季のリブゴルフの年間王者に輝いたにも関わらず、世界ランキングは200位以下まで後退しているため、来季以降のメジャー大会出場の可能性はゼロとなっている。

 もはやリブゴルフ選手の活躍の場は、リブゴルフという舞台以外には皆無となりつつある。「世界に挑む」という意味では八方塞がりとも言えるリブゴルフには、もはや未来はないようにさえ感じられる。

グーチは2000万ドル超、ジョンソン、スミス、ケプカは1900万ドル超を獲得

 しかし、それでもミケルソンは「今でもリブゴルフに来たがっている選手は大勢いる」「希望者からの問い合わせは、ひっきりなしだ」と自慢げに語っている。

 リブゴルフの独自の施策として実施されている各チームのフランチャイズ化は、今どんな状況なのかと言えば、チーム独自の名前とロゴマークを付したオリジナルグッズが製造・販売され、チームごとにさまざまなアピールを行って支援を募っているものの、ビッグスポンサーが付いたというニュースはほとんど聞こえてこない。

 だが、それぞれのチームのキャプテンを務めるジョンソンやバッバ・ワトソン、ホアキン・ニーマンらは「僕のチームを買いたがっている人は10人、いや20人以上いる」などと豪語している。

 リブゴルフを支援するサウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」のヤセル・ルマイヤン会長とPGAツアーのジェイ・モナハン会長が今年6月に統合合意を電撃発表して以来、リブゴルフの未来は「PGAツアーに託された」とされている。

 それゆえ、24年シーズンだけは当初の予定通りに行なわれることが確定しているが、リブゴルフに25年シーズンが到来するかどうかは、現状では定かではない。

 そんなふうに未来図を描くことができない状況にあるリブゴルフのチームを「是非とも買いたい」と申し出る投資家や篤志家が「20人以上いる」と言われても、にわかには信じがたく、「Really?(本当ですか?)」と問い返したくなる。

 そもそも、PGAツアー選手たちの同意を得て、PGAツアーとPIFの統合なるものが本当に成立かするかどうかも定かではなく、それが成立しなければ、リブゴルフ選手が古巣のPGAツアーやDPワールドツアーへ戻る道が開かれることはないだろう。

 そんなふうに今のリブゴルフには不確かな要素があまりにも多すぎる。

 唯一、確かなことは、この2年間で破格のビッグマネーがリブゴルフ選手たちの懐へ入ったという事実だ。

 今年のリブゴルフは個人戦とチーム戦が同時進行されるレギュラー大会13試合、チーム戦のみの最終戦1試合の合計14試合が開催された。

 レギュラー大会13試合は賞金総額2000万ドル、個人戦の優勝賞金は400万ドルが授けられ、個人戦のみの賞金に目をやると、年間王者のグーチは2000万ドル超を稼ぎ、ジョンソン、スミス、ブルックス・ケプカらは、いずれも1900万ドル超を手に入れた。

 さらには、デシャンボーが1500万ドル、ブランデン・グレースも1490万ドル、パトリック・リードは1290万ドル以上を稼ぎ出し、48名中11名が1000万ドル超を手に入れた。

 最大の賞金をゲットしたグーチは、PGAツアーでは123試合で稼いだ総額が920万ドルだったのに対し、リブゴルフでは、わずか1年間13試合でその2倍以上を稼ぐことができた。

 世界ランキングが200位を下回ろうとも、メジャー大会に1つも出場できなくなろうとも、お金の面から眺めれば、PGAツアーより格段にスピーディーに稼げるリブゴルフが彼にとって魅力的であることは誰にも頷ける。

 グーチだけではない。PGAツアーでは、これといった実績がなかったピーター・ユーラインが、リブゴルフでは今年1年で1200万ドルを稼ぐことができた。彼にとってリブゴルフは、まさに理想郷だ。

最低1名はリブゴルフから落ち、戦う場所は米欧ゴルフ界にはない

【写真】バスの中とは思えない豪華内装! PGAツアー仕様“キャンピングカー”は高級ホテルのスイートルーム並み

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メジャー2勝、ジョン・デーリーのRV。日本で言うところの観光バスを居住できるようにカスタマイズ(写真は2002年のもの) 写真:Getty Images
メジャー2勝、ジョン・デーリーのRVの室内。大好きなギターもRVならツアー会場に持っていける(写真は2002年のもの) 写真:Getty Images
メジャー2勝、ジョン・デーリーのRVの室内。まるで高級ホテルのスイートルームと見まがうばかり 写真:Getty Images
ジョーダン・スピースも“RVライフ”を好む選手の1人 写真:Getty Images
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
全米プロを制したブルックス・ケプカに駆け寄りハグをするローリー・マキロイ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
“クラブプロの星”マイケル・ブロックとケプカのハグ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
惜敗したビクトル・ホブランと握手するケプカ 全米プロゴルフ選手権のフェイスブック(@pgachampionship)
ウェルズファーゴ選手権で記者の囲み取材に答えるPGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハン氏 写真:Getty Images
英サッカー・プレミアリーグ、ニューカッスル・ユナイテッドの会長であり、サウジアラビアの国営石油企業「サウジ・アラムコ」の会長を務めるヤセル・アル・ルマイヤン会長(右)。スポーツビジネス界にとどまらない経済界の大物だ 写真:Getty Images
RBCカナディアンオープン開幕に先立って行われたプレーヤーミーティングに向かうジェイ・モナハン会長 写真:Getty Images
グレッグ・ノーマン(右)とヤセル・アル・ルマイヤンPIF会長(中央)の蜜月はあっさり終わった!?(左はドナルド・トランプ前大統領。写真は2022年のリブゴルフ・ベドミンスター大会) 写真:Getty Images
最終戦で優勝し、歓喜のシャンパンファイトをするブライソン・デシャンボー率いる「クラッシャーズGC」 写真:GettyImages
今も変わらず人気者のフィル・ミケルソン 写真:GettyImages
「禁止されている品目」として、大きく注意喚起されている
電子機器(携帯電話、ノートパソコン、タブレット、ポケットベル等)、ラジオ、テレビや音楽再生機器、旗、横断幕等、カメラ(静止画を個人的に使用するだけなら練習日は撮影可能)、足先の尖ったイス、折り畳みのひじ掛けイス、折り畳みでないイス、ベビーカー
飲食物、メタルスパイクシューズ、はしご、潜望鏡、セルフィー・スティック、約25センチ×25センチ×30センチ以上のリュックやバッグ
スマホ完全禁止のマスターズでは、外部と連絡をとる手段は公衆電話のみ
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