- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- ラームのリブゴルフ移籍は既存システムへの“クーデター”!? 「PGAツアーが失ったものはリブが得たものより大きい」の意味
ラームのリブゴルフ移籍は既存システムへの“クーデター”!? 「PGAツアーが失ったものはリブが得たものより大きい」の意味
かねてから噂されていたマスターズチャンピオンで世界ランキング3位のジョン・ラームのリブゴルフ移籍が正式発表。リブゴルフのスポンサーであるPIFとPGAツアーが統合合意を発表して以来初となる超大物の移籍とあって、今まで以上に大きな意味を持つものとなりそうだ。
PGAツアーはピラミッドの頂点から引きずり下ろされる!?
推定6億ドルもの超ビッグマネーで世界3位の大物選手であるラームを釣り上げたことは、リブゴルフによる「強奪だ」と米メディアは指摘している。
そして、その強奪によってPGAツアーが失ったものは、リブゴルフが得るものより大きいとも言われている。

その意味は「ラームの人気や集客力は、フィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソンらに比べれば小さく、6億ドルの価値があるのかは疑わしい」ということなのだろうが、リブゴルフがラームに期待していることは、目先の集客力やメディア露出などではないと私は思う。
世界ランキング3位の大物を絶頂期に奪い取ることができるというリブゴルフの強さをアピールすること。さらには、ラームが望む改革をラームに存分に行ってもらい、それがうまくいけば、リブゴルフはさらに強く大きなツアーへ成長することができる。
そして、PGAツアーを頂点としていたゴルフ界のピラミッドを、リブゴルフを頂点とする新たなピラミッドへ入れ替える。
そのための「手段」として、ラームを大金で獲得したのではないだろうか。
12月31日のデッドラインが迫る中、ゴルフ界では「再びPGAツアーが手のひら返しをして、PIFに背を向ける」という声が聞こえていた。
だが、その直前にリブゴルフがラームを奪い取ったことは、これ以上、スター選手を奪われたくないと思うPGAツアーをタイムリーに威嚇することになり、大晦日に笑顔で握手せざるを得ない状況を作り出したと見る向きもある。
そうだとすれば、PIFとリブゴルフは、PGAツアーとのディール(取り引き)を有利に運ぶための「手段」として、ラームを引き入れたということになる。
PIFとリブゴルフの勢いが増していくと思われる一方で、心配なのはPGAツアーのこれからである。誰がリーダーシップを取っていくのか。それが何より気になる。
モナハン会長は今年6月、統合合意を選手たちの誰にも告げずに推し進めた上で電撃的に発表したあのときから、すっかり信頼を失い、もはやリーダーとは思われていない様子である。
その直後に、健康上の理由で長期の休暇を取り、会長職から離れたことは、病気ゆえに不可抗力とはいえ、周囲を落胆させ、モナハン会長の後継者は誰かが取り沙汰され始めるきっかけになった。その挙句に、ラームを奪われたことは、モナハン会長への退任勧告と言っても過言ではない。
モナハン会長が退任したら、あるいは居続けるとしてもレームダック化してしまうとしたら、その後は誰がPGAツアーを率いていくのか。
選手会という見方もあるが、マキロイは理事を辞任し、代わりに理事になったジョーダン・スピースや世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーは、リブゴルフ絡みの事柄には積極姿勢を見せてはいない。
そうなると、期待できるのは、新たに理事に加わったタイガー・ウッズのみ?
課題はピラミッド以上の高さで山積しており、PGAツアーが失ったものは果てしない。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
最新の記事
pick up
ranking











