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- 手打ちスイングはルーティンで直す! “足踏みワッグル”で始動もスイングもスムーズに
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」の菊地絵理香(きくち・えりか)に注目した。
ゲーム運びのうまさのショット力
国内女子ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」は、大会レコード更新となる通算18アンダーをマークした岩井千怜選手が優勝しました。千怜選手のプレーで特に印象的だったのは、セカンドショットのクオリティーです。
グリーンに着弾してからのボールの挙動がおとなしく、ランが少なめ。イメージ通りのところに球を止められているように感じました。2022年、23年と2年連続で2勝ずつ挙げた千怜選手ですが、今年も女子ツアーを盛り上げてくれるに違いありません。
開幕戦で印象に残った選手はもう一人、菊地絵理香選手です。優勝した千怜選手(02年生まれ)や2位の西郷真央選手(01年生まれ)、4位タイの神谷そら選手(03年生まれ)、天本ハルカ選手(98年生まれ)、仁井優花選手(02年生まれ)と20代の選手が上位に入る中、88年生まれの菊池選手は単独3位フィニッシュ。ベテランの意地を見せてくれました。
昨年の「ニトリレディス」で通算6勝目を挙げた菊地選手は、「日本女子オープン」で活躍しているイメージがあります。単独2位に入った昨年大会は記憶に新しいところですが、さかのぼると20年7位タイ、18年単独3位、17年単独8位、16年10位タイ、15年はプレーオフに進んで2位タイ、14年は6位タイで13年は2位タイ。優勝こそないものの存在感を示しています。
「日本女子オープン」のような難しいセッティングでも結果を残し、10年以上も第一線で活躍している大きな要因は、ゲーム運びのうまさのショット力にあります。元々、攻守のバランスが良く、一定のテンポでプレーするタイプの選手でしたが、ベテランになった今はさらにその長所が生きている印象があります。
スイングの特徴は、体の屈曲やタメをあまり使わないこと。手首やヒジをしなやかに使うというよりも、腕を棒のように使ってリリース方向にテンションをかけながら再現性を保っています。セルヒオ・ガルシア選手や笹生優花選手のように腕をムチのように使うタイプもいますが、菊地選手はジャスティン・トーマス選手や小祝さくら選手らと同じような腕の使い方をしていますね。
スイング前のワッグルは手首だけにしない
スイングの動きをマネするのは難しいですが、ぜひ参考にしてもらいたいのがスイング始動までの脚の動かし方です。菊地選手はアドレスした後に右脚、左脚、右脚…と、その場で大きめに足踏みをした後にテークバックに入ります。この脚の動きを入れると始動しやすくなるだけでなく、スイング中の体重移動もスムーズになり、リズムやテンポが良くなります。
皆さんの中にはスイング前にワッグルをする人がいると思いますが、手首だけでワッグルするのは危険。手先の動きだけが強調されてしまい、手打ちスイングを助長する恐れがあります。
菊地選手のような足踏みと合わせてワッグルを入れると、プレッシャーがかかる場面でもスムーズに振りやすくなるはずです。
菊地 絵理香(きくち・えりか)
1988年7月12日生まれ、北海道出身。ティーチングプロである父の影響で6歳からゴルフを始める。2008年のプロテストに2度目の受験で合格し、12年には年間獲得賞金ランキング43位で自身初のシード入り。15年の「KKT杯バンテリンレディスオープン」でツアー初優勝。22年の「資生堂レディスオープン」で2位タイに入り、生涯獲得賞金6億円突破を果たした。ツアー通算6勝。ミネベアミツミ所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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