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- 西村優菜の特徴あるルーティンの意味とは? トップから腰までクラブを下ろすシャドースイングの効果
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、米女子ツアー「ファーヒルズ・朴セリ選手権」の西村優菜(にしむら・ゆな)です。
米ツアーでFWキープ7位、平均パット6位の西村優菜
3月21~24日の期間、米女子ツアー「ファーヒルズ・朴セリ選手権」が行われました。開催コースのカリフォルニア州パロスバーデスGCは、アップダウンが激しくグリーンが小さいのが特徴です。また、ポアナ芝をはじめ、バミューダ芝やキクユ芝などが混在し、いつも以上にショットのクオリティーが求められます。日本でいえば、「フジサンケイレディスクラック」を開催する川奈ホテル富士コースのような印象です。
今大会には9名の日本勢がエントリーし、西郷真央選手、勝みなみ選手、西村優菜選手、古江彩佳選手、稲見萌寧選手が予選を通過。日本勢の最上位は、通算4アンダーで13位タイの西郷選手でした。
強風が吹く難しいコンディションの中、通算9アンダーで並んだライアン・オトゥール選手をプレーオフで下したのは、ネリー・コルダ選手でした。1月の「ドライブオン選手権」に続く今季2勝目、ツアー通算10勝目を挙げ、7カ月ぶりに世界ランキング1位に返り咲きました。
コルダ選手の優勝で幕を閉じた今大会でしたが、今回注目したいのは西村選手です。ここまで米女子ツアーに4試合出場し、2戦目の「HSBC女子世界選手権」では3位タイフィニッシュ。スタッツを見ると、フェアウェイキープ率7位、平均パット数6位などで上位に入り、ポイントランキングは現在23位につけています。
前述のように、開催コースのパロスバーデスGCはテクニックが求められます。西村選手はこの難コースをドローボールとフェードボールの両方を駆使して戦いました。もともと軽いドローボールが持ち球の西村選手ですが、ピンが右サイドに切ってある時や枝が邪魔になりそうなシチュエーションでは、左のスペースをうまく使って攻略していました。また、ドロー回転の球よりもフェードの方が小さいグリーンに球を止めやすいという点も、フェードボールを使っていた理由でしょう。
クラブを下ろす軌道をショット前にチェック
そんな西村選手がショット前に行っていた動作が印象的でした。トップの形を作ると、ダウンスイングのクラブ軌道をなぞるように腰の位置まで丁寧にクラブを下ろし、再びトップの位置に戻してフィニッシュまで振り切ります。西村選手はこのルーティンをしてからショットに臨んでいました。
ダウンスイングのクラブ軌道は、球筋に大きな影響を与えます。フェース向きや打点なども関係しますが、ショット前にクラブを下ろす軌道をチェックすることで球筋をコントロールしやすくなるわけです。
西村選手のようにドローとフェードを打ち分けるプレーヤーでなくても、ダウンスイングの軌道を確認する動作は有効です。例えば、スライスに悩んでいる人なら、トップを作った後に胸を後方に向けたまま、腰の高さまで腕を下ろしてみてください。このイメージでスイングすれば、インサイドからクラブが下りやすくなるはずです。
西村 優菜(にしむら・ゆな)
2000年生まれ、大阪府出身。19年のプロテストに合格し、20年の「樋口久子 三菱電機レディス」でプロ初勝利。21年は「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」でメジャー優勝を飾るなど、年間3勝をマーク。2020-21シーズンは賞金ランキング5位と躍進した。22年は2勝を挙げ、メルセデス・ランキング5位につけて通算勝利数を6に伸ばした。23年シーズンから米女子ツアーを主戦場にしている。スターツ所属。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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