- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ツアー
- マスターズ初出場で2位のオーバーグ “ほうき”で雪を掃いてプレーしたスウェーデン時代
「マスターズ」初出場で単独2位という堂々たる成績を残したルドヴィグ・オーバーグ。出身のスウェーデンといえば、冬は極端に日照時間が短く雪にも覆われます。オーバーグはどうやってアマ世界一に立つほどの実力を身につけることができたのでしょうか。
「ゴルフをプレーできるシーズンはとても短い」
◆米国男子プロゴルフ<マスターズ 4月11~14日 オーガスタナショナルGC(ジョージア州) 7555 ヤード・パー72>
日本時間の今朝終了した「マスターズ」で、優勝のスコッティ・シェフラーには4打及ばなかったものの、初出場で単独2位という堂々たる成績を残したルドヴィグ・オーバーグ。スウェーデン出身で米国のテキサス工科大に進み、世界アマチュアランキング1位に上り詰めて昨年プロ転向した新進気鋭のプレーヤーです。
2023年はプロ転向初年度にもかかわらず欧州で初優勝を遂げると、11月にはPGAツアーでも1勝し、エリートフィールドである米開幕戦「ザ・セントリー」にも出場したオーバーグ。大会終了後に行われたアディダスの最新シューズ「ツアー360 24」の発表イベントにも姿を現し、話を聞く機会がありました。
出身のスウェーデンといえば、アニカ・ソレンスタム、ヘンリク・ステンソンといった偉大なプレーヤーが輩出している一方、冬は極端に日照時間が短く雪にも覆われ、ゴルフをプレーするには多大なハンデを背負わされることも事実です。オーバーグはどうやってアマ世界一に立つほどの実力を身につけることができたのでしょうか。
「私のホームタウンではゴルフをプレーできるシーズンはとても短いです。同世代の米国の選手は1年中プレーできるわけですけど、自分はそういう環境だからといって練習しないわけにはいきません。もちろん、芝生のドライなコンディションと雪の中とはまったく訳が違いますし、練習できることも限られてきます。それでも、ボールが飛んでいくのを見るだけでも練習になります」
「それに、私が住んでいたスウェーデン南部は雪が一番降るような地域ではないので、ラッキーなほうだったと思います。雪が降っていても、近くに素晴らしいインドアの施設があったので、そこでトレーニングを積んでいました。もちろん芝生から打ったほうがいいと思いますが、仕方がないと割り切っていました」
やはり積雪のある状況ではインドアでのトレーニングや打撃練習が中心となっていたようですが、それでもたまには、銀世界のなか苦労してラウンドをすることもあったようです。PGAツアーの公式インスタグラムでは、その様子をオーバーグ自ら再現した動画が公開されています。
「パウダースノーの時はほうきを使える」
動画で「心の拠りどころ」だという地元のコースを案内したオーバーグは、キャディーバッグに“ほうき”を挿してラウンド。「パウダースノーの時はほうきを使えるので」と、ティーイングエリアの除雪をする様子を実演。「最大の難関はティーを地面に刺すことかな」と言います。
「簡単ではないですよ。ゴルフに対する情熱が必要です」と、北欧という環境下でトップレベルのゴルファーを目指すことの難しさを語ったオーバーグですが、地元で指導してきたコーチは「ルドヴィグは常に前向きで新しいことに何でも挑戦する」と振り返ります。続いてコーチは「天気やコースコンディションが悪かろうが、すぐに順応して、その状況で出来る限りのことをするように努めます」とオーバーグを評し、厳しい環境に置かれても腐らずへこたれず邁進するメンタリティーが培われたことをうかがわせます。
「ザ・セントリー」後のインタビューでは大先輩のソレンスタムとステンソンについて、「2人とも伝説的なプレーヤーで、すべてのスウェーデン人ゴルファーが目標とする存在。何より素晴らしいのは、スウェーデンのジュニアゴルファーへのサポートをとても熱心にやっていることです」と、尊敬の念を語ったオーバーグ。「そのことにとても感謝しているし、私自身も母国に恩返しできるようなプレーヤーになりたい」と、人間性も含めて2人のレジェンドを目標としています。
マスターズで見せたスケールの大きなゴルフと強靭なメンタルで、2人に肩を並べる存在に成長することを十分に期待できそうなホープです。
ルドヴィグ・オーバーグ
1999年生まれ、スウェーデン出身。スウェーデン南部の小さな町エスロフに生まれ、13歳でゴルフを本格的に始めるまでサッカーのミッドフィルダーとしてプレー。高校1年まで地元の学校に通うが、その後、国立のスポーツ学校に転入。大学は米国のテキサス工科大に進学し、世界アマチュアランキング1位に上り詰める。2023年にプロ転向し、同年、欧州1勝、米国1勝を挙げる。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking