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「勝とうともがくことはスーパー・ストレスフルだった」 シャウフェレはいかにして“メジャーに縁のない名選手”から脱皮したか?
今季メジャー最終戦「全英オープン」。2カ月前の「全米プロゴルフ選手権」でメジャー初優勝を飾ったザンダー・シャウフェレが、通算9アンダーでメジャー2勝目を飾った。「メジャータイトルなきグッドプレーヤー」という屈辱的な呼称をシャウフェレはいかにして返上したのだろうか。
タイガー・ウッズの元コーチ、クリス・コモに師事
スコットランドの名門ロイヤルトゥルーンが舞台となった今年の全英オープンは、米国出身の30歳、ザンダー・シャウフェレの圧巻の勝利で幕を閉じた。
最終日を首位から1打差の2位タイで迎えたシャウフェレは、前半で2つスコアを伸ばすと後半は次々に4つのバーディーを奪い、2位に2打差の通算9アンダーで見事優勝トロフィーのクラレットジャグを手に入れた。
シャウフェレと言えば、2015年のプロ転向以来、昨年までに通算7勝を挙げたが、メジャー大会ではどうしても勝てず「メジャータイトルなきグッドプレーヤー」という屈辱的な呼称を授かっていた。
20年東京五輪では金メダルを獲得。それがシャウフェレにとって輝かしい栄冠となったことは言うまでもない。
しかし、金メダルは幼いころから夢見てきたメジャータイトルとはやっぱり異なり、ゴールドメダリストになってからも、メジャー優勝を挙げることは、依然としてシャウフェレの悲願であり続けてきた。
しかし、今年5月の全米プロを制し、ついに悲願のメジャー初優勝を達成すると、今度は全英オープンでも勝利を挙げて、瞬く間にメジャー2勝の強者と化した。年間にメジャー2勝を挙げたのは、18年のブルックス・ケプカ以来の快挙となった。
シャウフェレはなぜそんなにも強くなったのか。なぜ一気にメジャー2勝を挙げることができたのか。その秘密を探ってみた。
昨年までにPGAツアーで通算7勝を挙げ、ほぼ毎年、ほぼ毎週、コンスタントに上位入りを果たしてトッププレーヤーとしてのポジションを維持してきたシャウフェレの技術面での実力は、すでに実証済みだったと言っていい。
だが、メジャータイトルを獲るためには、あと一歩、前へ進まなければと考えたシャウフェレは、思いつくことは何でも試そうと意を決し、今年からは長年のスイングコーチである父親ステファンに加え、タイガー・ウッズの元コーチだったクリス・コモの指導も受け始めた。
そうした努力と工夫が実を結び、スイングとショットの完成度がより一層向上したことが、5月の全米プロ制覇に結び付いたのだが、彼がようやくメジャー初制覇を達成できた最大の要因は、技術的な面より、欲望や渇望をコントロールしながら戦うことができたというメンタル面の成長だった。
「1つ勝ったら、まったく異なる道のりで2つ目を獲れた」
米ゴルフウイークによると、全米プロ優勝後、愛妻や友人たちが開いてくれた祝勝会で、シャウフェレは親友から「これで軽くなったかい?」と尋ねられ、「うん、とても軽くなったよ」と答えたのだそうだ。
メジャータイトルを獲るというプレッシャーは、長年シャウフェレの肩に重くのしかかっていたのだろう。その苦しみを感じ取っていた友人は、だから「おめでとう」という言葉ではなく、「軽くなったかい?」という言葉で、シャウフェレを祝福したのだろう。
シャウフェレ自身、メジャーで勝てそうで勝てなかった9年間の日々を、こう振り返っていた。
「勝てない日々に勝とうともがくことは、スーパー・ストレスフルだった」
しかし、全米プロを制して、ついにメジャー初優勝を挙げたと思ったら、わずか2カ月後に今度は全英オープンを制して、メジャー2勝目を達成。
「メジャーで1つ勝つまでの道のりは、永遠に終わらないかと思うぐらい遠いものだった。でも、1つ勝ったら、それまでとはまったく異なる道のりで2つ目を獲ることができた」
すでにメジャータイトルを1つ獲っているという事実が、シャウフェレの心を軽くし、自信を倍増させていた。
「だからトゥルーンでは、心に押し寄せる嵐をうまくコントロールしながら戦うことができた」
メジャーで1つ勝ったことが、シャウフェレのメンタル面に次々に好作用をもたらし、プラスの連鎖が起こり、それがメジャー2勝目につながったということなのだろう。
相棒キャディのオースティン・カイザーいわく、「最終日のターニングポイントは11番だった」。
左ラフからピン1メートルに付け、バーディーを奪って2位タイに浮上。ピンチをチャンスに変えたあのホールから、シャウフェレの快進撃が始まり、さらなる3バーディーを決めて、勝利への階段を上っていった。
しかし、シャウフェレ自身は、最終日の流れや展開もさることながら、勝因は「全米プロで勝っていたことだ」と言い続けた。
「全米プロを制してメジャー1勝目を挙げていたことが、この全英オープン最終日を戦う上で、何より役立った。今日のトゥルーンのバック9は、これまで戦ったどんなバック9より難しかったけど、メジャーですでに勝っていたことが役立ったからこそ、キャリアで最高のベストラウンドを行うことができた」
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