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スロープレーに大甘のPGAツアーがようやく“重い腰”!? 罰打の導入でメジャーにも女子にもアマにも後れをとる現状は変わる?
PGAツアーのフラッグシップ大会「プレーヤーズ選手権」で、ジェイ・モナハン会長はスロープレーに対する強硬策に着手すると宣言した。今までが“大甘”と批判されてきただけに、選手からもメディアからも歓迎する声は多いが……。
まずは下部ツアーから罰打を導入
フロリダ州ポンテベドラビーチのTPCソーグラスで開催された「プレーヤーズ選手権」は、賞金総額2500万ドルを誇るPGAツアーのフラッグシップ大会。「第5のメジャー」とも呼ばれている。
ジェイ・モナハン会長が開幕前に会見に臨むことはすでに慣例化しており、今年もモナハン会長はリブゴルフに関する問題など多くのことを語った。

その中で最も注目されたのは、ついにPGAツアーがスロープレーに対する強硬策に着手するという待望の宣言だった。これまで重すぎるほど重かった腰を「ようやく上げた」「やっと上げた」と言っても過言ではなく、これは大きな前進だと誰もが感じた瞬間だった。
「ペース・オブ・プレーに向き合うことをここで正式に発表できて、とてもうれしく思う。今後は(選手1人1人の)プレーペースに関するデータも公表していく。まずは試験的に、4月14日からコーン・フェリーツアーとPGAツアー・アメリカスでスロープレーに罰打を課すことが決まった」
1人1人のプレーペースのデータを公表することは、スロープレーヤーの氏名を公にすることを意味しており、これまでペナルティーに関することを公表しなかったPGAツアーとしては、きわめて大きな方針転換と言っていい。
これを聞いて、「えっ!? これまでPGAツアーではスロープレー対策は取られていなかったのか?」と思われるかもしれないが、何も対策が取られていなかったわけでは決してない。
毎ラウンド、数名のルールオフィシャルがそれぞれカートに乗ってコース上を巡回し、前の組と間隔が空いていないか、スロープレーが見て取れる選手はいないかを小まめにチェックし、「これは怪しい」と思われる選手や組を発見すると、ルールオフィシャルは計測し、警告を行なう。そして「オン・ザ・クロックだぞ(計測するぞ)」と言われた選手たちは、にわかにプレーペースを速める。
それはPGAツアーの試合で実に頻繁に目にする光景ではあるのだが、本当に問題なのは、その先だった。
「PGAツアーは計測、警告、罰金を課すところまではやっているが、罰打を課すことはない」
「だからPGAツアーのスロープレー対策は甘すぎて、効力がないに等しい」
それが、ゴルフ界で今日の日まで、ずっと言われ続けてきた通説だった。
PGAツアーで罰打が課されたのは30年前に一例だけ
モナハン会長の発表を聞いた選手たちの反応は、すこぶる良好。ジャスティン・トーマスは「とてもいいことだ」とうなずき、PGAツアーの決定を高く評価している。
先日、ルーカス・グローバーから「エイムポイントこそがスロープレーの元凶だ」と指摘され、怒りの反論を口にしたコリン・モリカワも「罰打を課すことに大賛成だ」と、喜びの声を上げている。
ペース・オブ・プレー、いわゆるスロープレーの問題は、ゴルフ界全体の長年の課題で、ここ10数年ほどの間、世界中の主要なゴルフ団体が協力し合ってスロープレー撲滅のためのキャンペーンを張り続けてきた。
2013年マスターズでは、予選通過の瀬戸際だった14歳の中国人少年、関天朗にスロープレーによる1罰打が課された。それから3カ月後の全英オープンでは日本の松山英樹にスロープレーによる1罰打が課された。
そうやってオーガスタナショナルやR&Aは10年以上前からスロープレーに対して、罰打というペナルティーを課していた。
女子ゴルフの世界でも、22年全米女子プロで、首位を走っていたレクシー・トンプソンがスロープレーによる罰打を課され、2位タイに終わった。
23年のアムンディ・エビアン選手権では、スペイン出身のカルロタ・シガンダにスロープレーによる罰打が課され、納得しなかったシガンダは罰打を加算せずにスコアカードを提出。過少申告による失格とされた。
スロープレーに罰打を課すことはアマチュアの世界にも広がっており、24年のオーガスタナショナル女子アマチュア選手権では、22年大会の優勝者であるアンナ・デービスが1罰打を受け、カットラインに1打及ばず予選落ちとなった。
しかし、PGAツアーでは、スロープレーによる罰打が課された例は1995年のグレン・デイが最初で最後と言われており、以後は罰金を課すにとどめ、それも非公表。高額賞金を稼ぐ選手たちにとって罰金は大したダメージにはならない一方で、罰打となると、順位やポイント、賞金に大きく影響するため、「PGAツアーは選手に忖度して、罰打を課さない」。そんな批判の声が内外から上がり続けていたが、PGAツアーは頑固なまでに罰打を課さなかった。
リブゴルフが創設されてからは、スター選手の移籍を避けたいという思いも手伝って、PGAツアーはより一層スロープレーの罰打から遠ざかっていたのかもしれないと思う。
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