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今年は全英オープンが例年以上に熱いともっぱら… 「マキロイ凱旋」は分かるが「トランプ大統領」も絡んでくる理由とは?

2025.05.07 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
ドナルド・トランプ ローリー・マキロイ 全英オープン 砂場Talk(バンカートーク) 米国男子ツアー

ローリー・マキロイのキャリアグランドスラム達成で、例年以上の盛り上がりが予想される今年の全英オープン。同大会をめぐっては、ドナルド・トランプ米大統領が所有するターンベリーの開催ローテーション復帰という話題も取りざたされている。

「今年のポートラッシュには延べ27万8000人が来場する見込みだ」

 今年の全英オープンの舞台は、ローリー・マキロイの生まれ故郷、北アイルランドのロイヤルポートラッシュだ。

 悲願だったマスターズ初制覇を果たし、史上6人目となるキャリアグランドスラムを達成したマキロイ自身と彼のゴルフを是非とも見たいという人々が、内外から殺到することは想像に難くない。

2014年、全英オープンを制してグランドスラムに大手をかけたローリー・マキロイ。ここからが長かった 写真:Getty Images
2014年、全英オープンを制してグランドスラムに大手をかけたローリー・マキロイ。ここからが長かった 写真:Getty Images

 実際、全英オープンを主催するR&Aは「今年のポートラッシュには延べ27万8000人が来場する見込みだ」と発表した。

 前回、ポートラッシュで開催された2019年全英オープンの来場者数は23万7750人だったので、今回は17%増の大幅アップが見込まれている。

 マキロイが偉業を達成したその年の全英オープンの舞台が、彼の母国、北アイルランドのポートラッシュに設定されていたことは、もちろん偶然ではあるのだが、まるで運命の必然だったのではないかとさえ思えてくる。

 いずれにしても「マキロイ効果」は絶大の様子だが、現在、そして将来未来の英国ゴルフや全英オープンに大きな影響を及ぼしそうな人物が、もう1人いる。

 アメリカ合衆国の大統領、ドナルド・トランプ氏だ。

 R&Aのマーク・ダーボン新CEOは、今年の全英オープンの観客数予想を発表した際、トランプ氏が所有するトランプ・ターンベリーを全英オープン開催コースのローテーションに戻す可能性にも言及し、世界のゴルフ関係者を大いに驚かせた。

 ターンベリーはスコットランドに位置するリンクスコースで、これまで4度、全英オープンの舞台になった。

 1977年大会では、ジャック・ニクラスとトム・ワトソンが死闘を演じ、勝利したのはワトソンだった。

 86年大会ではグレッグ・ノーマンが5打差で快勝し、94年大会ではニック・プライスがイエスパー・パーネビクを抑えて勝利した。

 そして2009年大会では、ターンベリーをこよなく愛するトム・ワトソンの2度目の勝利に世界が期待していたが、残念ながらスチュワート・シンクに勝利を奪われ、世界のメディアは「シンクの優勝」より「ワトソンが敗れた」ことを大きく報じた。

 そんなふうに素敵なドラマが繰り広げられてきたターンベリーは、スコットランド・リンクスの象徴的な存在の一つだった。

 しかし、14年にトランプ氏によって購入されたターンベリーは、以後、全英オープンから切り離される流れになった。

 トランプ氏のさまざまな言動が問題視され始めた15年、PGAツアーもPGA・オブ・アメリカもトランプ氏の所有コースを大会開催コースから外し、R&Aもターンベリーを全英オープンのローテーションから除外した。

 当時、R&Aを率いていたマーチン・スランバーCEOは、「将来、ターンベリーでチャンピオンシップゴルフを開催する予定はない。人々のフォーカスが(トランプ氏ではなく)プレーヤーとコースに戻るまでは、R&Aの大会がターンベリーに戻ることはない。ターンベリーで大会を開催することは、現状では不可能だ」と言い切っていた。

 しかし、それから10年ほどの歳月が流れた今、R&Aの新たな舵取り役となったダーボンCEOは、ターンベリーがローテーションに戻る可能性に対し、「そうなることが望ましい」と前向きに語り、関係者の希望が膨らんでいる。

「いつかは自分のコースで男子のメジャー大会を開催したい」

 ダーボンCEOによると、ここ10年、ターンベリーが全英オープン開催コースのローテーションに戻らなかった背景には、トランプ氏の問題以外に、鉄道を含めたアクセスの問題や宿泊施設の不足といった物理的な困難もあったという。

 ターンベリーで最後に全英オープンが開催された09年大会は、ワトソンの勝利を見たいと願うファンが押し寄せ、観客数は延べ12万人になったが、それは、狭いターンベリーでは収容できる限界に近い数だった。

 一方、今年の舞台となるロイヤルポートラッシュには、前述の通り27万8000人ほどが訪れる見込みだが、その人数を楽々受け入れることができるという。

 プロゴルフは興行ビジネスだ。開催コースのキャパシティーが小さいとなると、ビッグイベントの会場には適さないという判断になる。それが、ターンベリーがローテーションに戻ってこない、いや戻らせることができない大きな理由だったそうだ。

 しかし、ターンベリーを購入したトランプ氏は、コース内外のホテルの集客アップを目指し、ここ10年ほどの間、トランプ・ターンベリーのコースやその周辺のあらゆる面を徹底的に改修、改良してきたそうだ。

「いつかは自分のコースで男子のメジャー大会を開催したい」

 以前からそう語っていたトランプ氏は、おそらく今でも、その夢を実現させたいと思っているのではないだろうか。だからこそ、ターンベリーやその周辺のインフラ整備にも力を入れてきたのだと思う。

 ターンベリーでのプレーフィーは、トランプ氏が購入した14年当時は176ポンド、米ドルでは約230ドルだった。

 トランプ氏が購入した後は、一時は1000ポンド(約19万円)まで跳ね上がり、今年は545ポンド(約10万円)前後とのこと。いずれも破格だが、コースも施設も、その金額に見合うハイグレードなものに仕上がっているということのようだ。

 ダーボン氏いわく、「ターンベリーはトランプ氏によって、すっかりアップグレードされている。オーナーである彼らと話し合いながら、ターンベリーを再び(全英オープンの舞台として)輝かせるための方策を探っていきたい」。

「地球環境にやさしい」リンクスを建設中のトランプファミリー
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【写真】バレたら永久追放!? これがマスターズで“持ち込み厳禁”の品目です

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