“完全優勝”をかけた22歳VS19歳の最終決戦… 伸ばし合い必至のバーディー合戦　雌雄を決する運命の18ホール

　大会初日から首位に立ち続けている佐久間朱莉と荒木優奈。互いに譲らないデッドヒートを繰り広げていた両者だが、その戦況は最終日までもつれることになった。

　3日目は互いにスコアを5つ伸ばし、通算16アンダーで首位をキープ。4月の「KKT杯バンテリンレディス」で悲願の初優勝を飾った22歳の佐久間、昨年のプロテストに合格した19歳のルーキー・荒木の2人が、最終日最終組で運命の決戦を迎える。

「荒木さんがすごいいいプレーをしてたので、それに引っ張ってもらいながら、くらいついていけた。楽しかったです」

　伸ばし合いの一日をそう振り返った佐久間は、この日をボギーフリーの5バーディーでプレー。さらには4つのパー3をすべてバーディーとし、2番では80センチにつける超スーパーショットを披露。さらに4番と15番では5メートルを、12番では10メートルの距離を沈めるなど、パッティングもさえわたってスコアを伸ばす。

　それだけにパー5で一つでもバーディーを取っておければ試合をさらに優位に運べるところだったが、「ドライバーをちらほら曲げていたので……」と原因は分析済み。今大会の目標を「20アンダー」と掲げているが、ここまでの戦いぶりを見る限りそこは通過点となるだろう。

　トーナメントレコードは23年大会の覇者・山下美夢有が記録した「18アンダー」。さらに昨年大会は竹田麗央が制している。優勝者がいずれも同年の“年間女王”に輝いている、いいジンクスのある大会だ。

　競り合いの展開は「嫌いではない」と話す佐久間。4月にようやく手にした1勝が大きな自信にもなっているようで、「最終日に生かしていきたい」と意気込んだ。

　一方の荒木は、16番のバーディーで一時単独首位に躍り出たものの、直後の17番でまさかの3パットを要してボギー。佐久間と序盤から伸ばし合いを繰り広げ、終盤でリードを奪うほぼ完璧なゴルフを展開していただけに悔やまれる結果となった。

　それでもホールアウト後に報道陣の前に姿を現すと「楽しかったし、面白かったです」とにっこり。ういういしい受け答えとおっとりとした口調とは裏腹に、何事にも物怖じしない強いメンタリティーが垣間見えた。

　自らを“負けず嫌い”と評する19歳だが、ここまで来れば当然狙うは優勝。同期の中で誰もまだ成し遂げていない“レギュラーツアー優勝”のチャンスが巡ってきた。

　挑むは自身初の最終日最終組。多くのギャラリーを引き連れるだけでなく、計り知れないプレッシャーがのしかかることも予想されるが、「きょうが大丈夫だったので、大丈夫な気がします」と持ち前の精神力を武器に、歓喜の瞬間を迎えたい。

2002年12月11日生まれ、埼玉県出身。アマチュア時代はナショナルチームで活躍。コロナ禍で延期となっていた20年度のプロテストにトップ合格。24年シーズンはメルセデス・ランキング8位に入り、3年連続3回目のシードを獲得した。25年4月「KKT杯バンテリンレディス」で悲願の初優勝を飾る。

2005年6月17日生まれ、熊本県出身。4歳からゴルフを始め、22年「日本ジュニアゴルフ選手権」、23年「オーストラリアン・マスター・オブ・アマチュア」で優勝の実績を持つ。24年のプロテストに合格し、同年の「JLPGA新人戦加賀電子カップ」も制した。