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- 衝撃の“年間20試合説”も!? 再来年PGAツアー大幅縮小の観測が米国で現実的と見られている理由
米国のPGAツアーは1月初旬の開幕戦から11月のフォールシリーズ閉幕まで、ほぼ通年で行われるロングシーズンだが、2027年からは2月半ばからの開始となるシーズン縮小が現実的に見られている。
NFLとのバッティングによる、観客動員、視聴率の低迷
PGAツアーのシーズンは、かつては10月、ときには11月まで続く“長い1年”で、最終戦の「ツアー選手権」は、寒気が流れ込む中での戦いだった。しかし、9月以降は米国の国民的スポーツであるアメフトのNFLシーズンと重なっていたため、観客もTV視聴率もNFLに奪われていた。
PGAツアーはその事態を憂慮し、そうなることを避けるために、フェデックスカップのレギュラーシーズンを8月いっぱいで完結させる現行の短期決戦スケジュールが考案され、実施されてきた。
だが、シーズン序盤の1月2月がNFLのプレーオフとバッティングしていることは、これまでPGAツアーでは「ほとんど考慮されてこなかった」と、米メディアは指摘している。
唯一、2月の「WMフェニックスオープン」だけは、最終日がNFL最大のイベントであるスーパーボウルとぶつかることが以前から広く知られていた。

しかし、それでもフェニックスオープンは1週間の入場者数が数十万人に上る人気大会であり続けているせいか、PGAツアーの1月2月がNFLとバッティングしていることをシリアスに捉える声がPGAツアー側から聞かれたことは、私が知る限りでは、これまで一度もなかった。
とはいえ、フェニックスオープンに大観衆が訪れることは、ある意味、特例であり、PGAツアーの1月2月の他の大会の実態を見れば、NFLの影響をまともに受け、入場者数でもTV視聴率でも苦闘を続けてきた。
NFLのメディアビジネスを手掛けてきたブライアン・ローラップ氏がPGAツアーの新CEOに就任した今年、その“1月2月問題”が、ようやく討議され始めている。
2026年シーズンの日程はすでに発表されているが、米ゴルフウイークによると、27年からはシーズンの始まりが2月半ばに設定されることが、すでにPGAツアー内部で検討されているという。
それにしても、シーズンのキックオフを1カ月半も遅くしたら、全日程が秋までに終了できなくなるのではないかと心配になるが、その心配は無用なようで、浮上している案は、全日程を後ろにずらすのではなく、試合数を減らす方向である。
年明け早々の「ザ・セントリー」は、ハワイ・マウイ島の水不足が原因で26年は開催中止がすでに決まっているが、その背後には、シグネチャーイベントに対するPGAツアーからの金銭的要求が高すぎて、スポンサーのセントリーが今後の支払いに難色を示しているといった事情もある。
米メディアの中には、「ザ・セントリーの大会は、このまま消滅する」と見る向きがきわめて多く、そうなる可能性は高そうである。
そうなると、続く「ソニーオープン」のためだけに、米本土からは遠く離れたハワイまで足を運ぶトッププレーヤーは激減することだろう。
そして、タイミングがいいのか悪いのか、PGAツアーとソニーとのタイトルスポンサー契約は26年いっぱいで切れることになっている。
さらには、やはり入場者数やTV視聴率が伸び悩んでいる1月の「ザ・アメリカンエキスプレス」との契約は28年まで、「ファーマーズインシュランスオープン」との契約は26年までとされている。
これらの大会がすべてなくなった上で、さらに2試合ほどをフォールシリーズに回せば、1月と2月半ばまでを空け、シーズン開始をスーパーボウル終了後の2月半ばへ変えることができるという「2月スタート説」は、そこそこ現実的と見られている。
試合数減により、トップ選手がえり好みできなくなる?
しかし、同じ2月スタート説ではあるのだが、そこに驚きの変更を加える別の説が、あるベテラン選手の口から語られ、米ゴルフ界に衝撃が走った。
PGAツアーで通算5勝を挙げている36歳の米国人選手、ハリス・イングリッシュは、日ごろから落ち着いた言動を取ると思われている熟練選手である。PGAツアーの内部事情にも通じていると見られている。
そのイングリッシュが、フォールシリーズ最終戦の「RSMクラシック」に出場した際、米メディアにこんなことを語った。
「PGAツアーのシーズンの開始は、NFLのスーパーボウル終了後の2月半ばが望ましい。27年以降は2月半ばにキックオフし、年間試合数は20~22試合前後になる。そして、シグネチャーイベントやレギュラーイベントといった区別はなくなり、全試合が同列になる。試合数が大幅に減れば、トッププレーヤーも試合のえり好みができなくなるから、どの試合もトッププレーヤーが一堂に会し、“勢揃い”の状態になるはずだ」
米メディアいわく、イングリッシュが言った「20~22試合」は、メジャー4大会を除いた数字だという。
ちなみに26年シーズンは、メジャー4大会以外では合計33試合が予定されている。その後に、今季同様、フォールシリーズが7試合行われるとすれば、年間では40試合となる。そこにメジャー4大会を加えると44試合となる。
しかし、これが20~22試合になり、メジャー大会を含めても24~26試合となれば、試合数はほとんど半減することになる。
そして、イングリッシュが語った通り、シグネチャーイベントがなくなって全大会が同列になるのだとすれば、プレーオフシリーズもなくなることになる。そうなったらフェデックスカップはどうなるのかも、とても気になる。
心配されることはそれだけではない。営利法人のPGAツアー・エンタープライズが創設された今、PGAツアーは経営合理化が至上命題とされている。そのため、シーズン終了後のポイントランキングで上位125名に授けられていた翌年のフルシード権は、今季終了後からは100名に絞られた。
そして、26年シーズンからは各大会の出場者数も絞られることになっており、従来156名だった大会は144名へ、144名だった大会は132名あるいは120名へと、すべて人数が減らされ、大会のスリム化が図られている。
27年以降、年間の試合数が半分ほどに減らされるとしたら、フルシード権の獲得ラインはどうなるのか。各大会に出場できる人数はどうなるのか。
分からないことだらけで、選手たちの間にも心配や不安が広がっている様子である。
とはいえ、“2月スタート説”も“ハリス・イングリッシュ説”も、PGAツアーからの公式なコメントや発表は何も出されていない状況ゆえ、今はあくまでも噂レベルではある。
しかし、ハワイあるいは西海岸シリーズの大会が消滅危機に近い状態であることは事実だ。PGAツアーは1月2月の大会とNFLプレーオフとのバッティングを、なぜもっと早くから問題視して対策を取らなかったのだろうか。
PGAツアーの大会なら黙っていても大勢のギャラリーが来るはずだといった慢心があったのではないかと考えると、そこはとても残念に感じられ、悔やまれてならない。
だが、唯我独尊だったゴルフ界にリブゴルフというライバルが登場したことで、ゴルフ界の勢力図に変化が生じ、PGAツアーとて生き残るためには熾烈な競争を勝ち抜かなければならなくなった今、新CEOによって新風が吹き込まれ始めた現在のPGAツアーは、なんとかして変わろう、変えようとしている。
それが、良き方向への改良であることを、心の底から願っている。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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