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SNSで知った“戦力外”… 「リブゴルフ香妻陣一朗」の不憫すぎる結末 去りたくないのに去る選手、去りたいのに留まる選手
ブルックス・ケプカの脱退、そしてPGAツアーへのスピード復帰が決まって以来、リブゴルフの動きが忙しい。転換期にある同ツアーの煽りを受けたのが日本の香妻陣一朗だ。なんと自身が実質的な“戦力外”となったことを誰にも告げられることなく、新チーム結成を知らせるSNSで悟ったという。
マスターズ覇者リードは「今季の契約書にサインをしていない」
ブルックス・ケプカがリブゴルフから脱退し、PGAツアーへ復帰することが正式に決まった直後、タイガー・ウッズがチェアマンを務めるFCC(未来競技委員会)によって作成された復帰プログラムの対象とされていたブライソン・デシャンボー、ジョン・ラーム、キャメロン・スミスの3名は、PGAツアーからのオファーを却下し、リブゴルフに残留する意思を即座に明言した。
その数日後。復帰プログラムをオファーされてはいなかったリブゴルフ選手のパトリック・リードが「PGAツアーに戻りたがっている」と報じられた。
DPワールドツアーの「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」に出場していたリードは、米欧メディアの取材に応じ、「PGAツアーこそがベストツアーだ。あの場所で戦う自分の姿をもう一度見たい。チャンスがあれば、戻りたい」と語ったため、「ケプカの次はリードか!?」と大きく報じられた。
リードはDPワールドツアーに出続けたいという強い意思を示しており、同ツアーから科される罰金がたとえ100万ドルであろうとも、「罰金の金額が僕のDPワールドツアー参戦を止めるものではない」と断言した。
DPワールドツアーから科される罰金は、以前はリブゴルフが肩代わりして支払っていた。だが、現在は選手自身が支払う形に変わっており、ラームとティレル・ハットンは支払いを拒否した挙句、DPワールドツアーを提訴している。
しかし、リードは「たとえいくらであっても、罰金を支払ってDPワールドツアーに出続けたい」と言い切った。
そして、ヒーロー・ドバイデザートクラシックで堂々勝利を挙げると、こんな驚きの告白をした。
「今季のリブゴルフで戦う契約書にサインをしていない。まだコトは流動的で、交渉を続けている。もしも今年、リブゴルフでプレーしないことになったら、このDPワールドツアーにもっと出て、ランキングでトップ10入りして来季のPGAツアー出場権を獲るつもりだ」
年間ランキング32位でリブゴルフに留まる権利はあるが…
そんな中、リブゴルフで戦う唯一の日本人選手だった香妻陣一朗は、ふと気づいたらチームから押し出されて居場所を失うという、後味の悪い悲劇に見舞われた。
香妻は2023年12月に行なわれたリブゴルフのプロモーションイベントでトップ3に食い込み、24年シーズンの出場資格を獲得。初年度はポイントランキング45位で終え、翌シーズンの出場が可能となる48位以内にぎりぎりで食い込んだ。
25年シーズン序盤戦は故障による欠場を余儀なくされたが、それでも最終的には32位と前年よりランクアップ。そして、自身3シーズン目となる26年に挑もうと身構えていた。

しかし、米スポーツイラストレイテッドが紹介した香妻のマネージャーの談話によると、開幕を2週間後に控えた1月末になって、自分が元のチームから押し出されたことに初めて気が付いたという。
香妻はケビン・ナがキャプテンを務めていた「アイアンヘッズGC」なるチームに所属していたが、ナが昨季終了後にシード落ちしてリブゴルフから去ることになると、リブゴルフはPGAツアー選手だった韓国出身のアン・ビョンフンを迎え入れ、アイアンヘッズGCを改編する形で、韓国勢4名による「コリアンGC」という新チームを結成。
それは、アイアンヘッズGCに所属していた香妻がチームから押し出され、所属先を失ったことを意味していた。
リブゴルフでは、ランキング24位までが、いわゆるフルシード選手とされる「ロックゾーン」、25位から48位まではシード選手ではあるが、チーム間トレードの対象になる「オープンゾーン」、49位以下はシード落ちしてツアーから去る「ドロップゾーン」と定めている。
香妻は32位でオープンゾーンだったため、元のチームから別のチームへトレードされる可能性は、そもそもあった。
しかし、香妻に新たな所属先は与えられず、香妻自身は「僕を欲しいと言ってくれるチームはありませんか?」と声を掛けようともしたそうだが、シーズン開幕が迫っている現段階で彼を欲するチームは見つからず、香妻の居場所は失われてしまった。
何より悲惨に感じられたことは、香妻が誰からも何も告げられず、いつの間にか無言で押し出されていたという信じがたい事実だ。
アイアンヘッズGC、あるいはリブゴルフの然るべき人物から「韓国チームを新規に結成するので、日本人のあなたは戦力外となりました。チームから出ていってください」と戦力外通告を受けたなら、納得のしようもある。だが、そうした通告は何もなく、彼はコリアンGCが結成されたことをSNSで目にしたことで、自分が押し出されたことに初めて気付かされたという後味の悪い終わり方になった。
「(昨年末以来)アイアンヘッズとはコミュニケーションが一切なく、自分の置かれた状況を理解するのが難しい時期がしばらくあった。最終的に分かったこの現状は、予想外ではあるが、次なる最善のステップを我慢強く探っていきたい」
香妻は所属チームのない遊軍としてリブゴルフに残ることも可能だが、26年は日本ツアーとアジアツアーに挑む意思を同誌に示したという。
リブゴルフでの2年間で高額賞金を懐に入れ、チームから押し出されたら今度は日本ツアーに出戻って、日本からDPワールドツアー経由でPGAツアーへ、あるいはアジア経由で再びリブゴルフへ。依然として、いろいろな道や可能性が残されているという意味では、香妻の動きは“いいとこ取り”と言えなくもないが、それはさておき、知らぬ間に無言で押し出されたことは気の毒ではあった。
リブゴルフから去りたくて去ったケプカ、去りたいけど今は去らず静観するリード、去るつもりはなかったけど去らざるを得なくなった香妻。
事情や形は異なるが、リブゴルフから去るケースと傾向は、着実に増えつつある。
新CEOは冷静に理論的に動き始めている
リブゴルフのリーダーが初代CEOのグレッグ・ノーマン氏から2代目のスコット・オニール氏に代わって以来、リブゴルフは感情的になることなく、冷静に理論的に動き始めている。
一度は却下された世界ランキングの再申請はその一つ。ケプカの離脱を快く認める寛大さを見せたことも、「リブゴルフは世界のトッププレーヤーのために存在するツアー」であることを広くアピールするための戦術の一つと考えられる。
米国のカレッジゴルフ、NCAAの個人チャンピオン、マイケル・ラ・サッソーを迎え入れたことは、リブゴルフを若くて優秀な力の結集体にするための施策の一つなのだろう。
26年は年間14試合のうち米国内での開催は5試合となる。そのうちの一つ、ニュージャージー州のトランプナショナル・ベッドミンスターが戦いの舞台として復活した背景には、トランプ氏との関係強化がある。
そして、米国開催の5試合は、いずれも春先から8月末までのいわゆるメジャーシーズンに開催される予定で、これはPGAツアーやメジャー4大会に「ぶつけてきた」わけではなく、むしろ同時期に開催することで、みんな一緒にゴルフ界を盛り上げようという相乗効果を見込んでいるのだと私は思う。
最終的にリブゴルフがどんな立ち位置に立つことになるのかは、今はまだ定かではないが、ツアーも大会も選手も、歳月の流れとともに自然淘汰され、最後は残るべきものが残るのではないだろうか。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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