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- なぜ世界1位は振り切らないのか シェフラーの93ヤードに見る圧倒的完成度
PGAツアーの解説も務めるゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎氏が、ツアーの第一線で活躍する選手のプレーを独自の視点で分析。今回は「ザ・アメリカンエキスプレス」を制し、ツアー通算20勝目を飾ったスコッティ・シェフラー選手のショットに注目しました。
シェフラーの“らしさ”を象徴する一打
PGAツアー「ザ・アメリカンエキスプレス」はスコッティ・シェフラー選手の優勝で幕を閉じました。
首位と1打差の2位タイで最終日をスタートすると、5バーディー、1ボギーで前半をプレー。2位に2打差をつけて後半に入ると、11番から16番で4つのバーディーを奪って後続を引き離します。17番はダブルボギーとしましたが、最終日を「66」で回り、2位に4打差の通算27アンダーで今季初勝利を挙げました。
PGAツアーの通算勝利数は、史上40人目となる20勝に到達。29歳7カ月4日での達成は、タイガー・ウッズ選手の24歳5カ月19日に続く年少記録です。

注目したいショットは、首位タイで迎えた7番ホールの2打目です。
7番は右サイドに大きな池が広がる355ヤードのパー4。シェフラー選手はティーショットでドライバーを握らず、262ヤード先のフェアウェイにボールを運びました。そしてピンまで93ヤードのセカンドショットをピンハイに着弾させ、バックスピンをかけてカップ横60センチにピタリ。難なくバーディーパットを沈めて、単独トップに躍り出ました。
世界ランキング1位に君臨するシェフラー選手は穴のないプレーヤーですが、なかでも大きな武器にしているのがショット。昨シーズンのスタッツでは、ショット精度の指標となる「SG:アプローチ・ザ・グリーン」で1位(1.291)を獲得しています。
今大会はドライビングディスタンス3位(323.70ヤード)と、飛ばしに重きを置いていたこともあり、「SG:アプローチ・ザ・グリーン」は47位(0.460)でしたが、7番の2打目は“らしさ”を象徴するショットでした。
100ヤード前後でミスしないための番手選び
残り100ヤード前後のフェアウェイからセカンドショット――。一般ゴルファーの皆さんにも多く訪れるシーンでしょう。絶好の位置からの2打目ですが、「ダフりやトップ、引っ掛けなどでチャンスを台無しにしてしまった……」という経験がきっとあるはずです。
ミスする大きな原因は番手選び。例えば、アプローチウェッジ(AW)を100%の力で振った時の飛距離が90ヤードとした場合、「残り93ヤード」でAWを選択する人は多いと思います。しかし、これがミスの元。ウェッジやショートアイアンを100%で振ると、ヘッドが走ってクラブの動きをコントロールできなくなります。また、短いクラブはタテ振りになるため、思い切り振ると打ち込みすぎてダフる可能性も高くなるのです。
AWの100%の距離が90ヤードなら、「AWのフルショットの距離は70~80ヤード」くらいをイメージしてください。つまり、8割程度の力をフルショットと考えるのです。すると、残り93ヤードの状況でAWを使わなくなり、リキみからくるミスが出なくなります。振り幅を抑える際は、手先でコントロールするのではなく、腕と体を同調させると緩みのミスはなくなるでしょう。
改めてシェフラー選手の7番ホールのセカンドショットを見ると、スピード、振り幅を抑えてゆったり振っているのが分かります。「フルショット=80%の力」としてクラブ選択をすれば、残り100ヤード前後からの“もったいないミス”が防げるようになるはずです。
スコッティ・シェフラー
1996年生まれ、米・ニュージャージー州出身。2018年にプロ転向し、19年に米下部ツアーで最優秀選手に輝く。レギュラーツアーに昇格した翌シーズンは、ポイントランキング5位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞。世界ランキング1位に上り詰めた22年は「マスターズ」でメジャー初制覇。24年の「マスターズ」で2勝目を飾り、同年の「パリ五輪」で金メダルを獲得。9月の「ツアー選手権」でも優勝を飾って年間王者に輝いた。25年は「全米プロ」「全英オープン」の2つのメジャー大会で勝利。26年は「ザ・アメリカンエキスプレス」を制し、ツアー通算20勝を達成した。
【解説】吉田 洋一郎(よしだ・ひろいちろう)
1978年生まれ、北海道出身。世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回、米国、欧州へ渡り、ゴルフに関する心技体の最新理論の情報収集と研究活動を行っている。欧米の一流インストラクター約100名に直接学び、世界中のスイング理論を研究している。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。
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