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「難しすぎる全米プロ」が生んだドラマ 伏兵ライ優勝と“リブ勢復活”の深層
「難しすぎる」と選手から不満が噴出した今年の全米プロ。しかし、超難設定のアロニミンクGCが生んだ大混戦の末、伏兵アーロン・ライの戴冠、リブ勢の復活劇、スター選手たちの競演が実現した。そこには、ゴルフ界が長年求めてきた“理想の景色”が広がっていた。
超難設定が生んだ大混戦の裏で輝いた“リブ勢”の変化
今年の全米プロゴルフ選手権は、名匠ドナルド・ロス設計のアロニミンクGC(ペンシルベニア州)が舞台となった。
アロニミンクはバンカーの数が170とも180とも言われている屈指の難コースだが、大会を主催するPGA・オブ・アメリカは、その難コースに「超」が付くほどの難設定を施した。
そのため、選手たちからは「ピン位置が難しすぎる」「グリーンが難しすぎる」という批判が初日から噴出。寒気に包まれた天候も加わり、大半が苦戦を強いられた。
その影響でプレーペースはスローになり、それがさらなる批判を呼ぶ負の連鎖も引き起こした。

しかし、快晴に恵まれて気温が上がった3日目からは、コース設定もやや緩められ、選手たちのプレーには勢いや活気が感じられるようになった。
リーダーボードは最初から最後まで「団子状態」の大混戦だったが、最後の最後にリードを3打に広げ、通算9アンダーで堂々勝利をつかんだのは、31歳の英国人選手、アーロン・ライだった。
PGAツアーで2024年「ウインダム選手権」を制して初優勝を挙げたライは、以後、勝利から遠ざかり、今季の成績は決して振るってはいなかった。
今大会前週は、シグネチャーイベントの「トゥルーイスト選手権」には出場できず、同週開催の「ワンフライト・マートルビーチ」に出場していたほどで、いわゆる「下位選手」の1人にすぎない存在だった。
そんなライが、メジャー大会の全米プロで大混戦を制し、しかも3打差で圧勝したことは、ある意味、予想外の展開であり、勝敗が決するまでには、ライ以上に目立っていた選手が多数いた。
リブゴルフ選手が目覚ましい活躍を見せたことは、これまた予想外だった。PIFからの支援が今季いっぱいで打ち切られることが決まったリブゴルフは、27年以降は消滅の危機にさらされており、その状況下で出場していたリブゴルフ選手たちは、心が揺れているに違いないと見られていた。
しかし、ジョン・ラームは初日から上位で発進し、優勝争いにも絡んで2位タイになった。キャメロン・スミスはリブゴルフへ移籍して以来、メジャー大会では不調続きだったが、今大会では7位タイに食い込み、満足の笑顔を輝かせた。
ラームはDPワールドツアーから科されて積み上げられていた巨額の罰金を「絶対に払わない」と拒否し続けていたが、リブゴルフの危機が報じられるやいなや、態度を一変させ、「罰金を全額支払って、仲直りした。ようやく長年のストレスがなくなった」と、清々した表情を見せていた。
自ら招いていたトラブルだったとはいえ、大きな懸案が解消されたことは、ラームのメンタル面を健やかに変え、それが今週の彼のゴルフを良きものにしたのではないだろうか。
もちろんラームとて、ピン位置の難しさやグリーンの読みやタッチの難しさに対しては、苛立ちも見せていた。
だが、大混戦を生んだPGA・オブ・アメリカのコース設定は「大会を盛り上げている。グレートジョブだ」と高く評価したところに、ラームの精神面の健やかさを感じ取ることができた。
そして、「リブゴルフ選手たちのためにも勝ちたいか?」と問われると、「メジャー大会では、僕は自分のことしか考えていない」と正直に返答したところが、なんともラームらしかった。
一方、スミスは「リブゴルフは27年以降も生き残る」と信じ続けているが、自身のゴルフに対しては、むしろ革新的になっており、9歳から師事してきた長年のコーチに別れを告げて、今週からクロード・ハーモンを新コーチに据えたばかりだった。その効果がさっそく表れ、7位タイに食い込んだと言えそうである。
結局、リブゴルフ選手たちの頭の中を占めているのは、リブゴルフのことより、自分のことである。それは、アスリートとしても、あるいは一人の人間としても、何ら責められるものではなく、ごく当たり前の自然な現象と言っていい。
リブゴルフの将来未来が揺らいでいる今、リブゴルフ選手たちは自分自身のことをより一層強く思い始めた様子で、それがアスリートとしての自分を取り戻すことにつながり、ラームやスミスの好成績につながったのではないだろうか。
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