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「難しすぎる全米プロ」が生んだドラマ 伏兵ライ優勝と“リブ勢復活”の深層
「難しすぎる」と選手から不満が噴出した今年の全米プロ。しかし、超難設定のアロニミンクGCが生んだ大混戦の末、伏兵アーロン・ライの戴冠、リブ勢の復活劇、スター選手たちの競演が実現した。そこには、ゴルフ界が長年求めてきた“理想の景色”が広がっていた。
伏兵の戴冠とスター集結 全米プロで見えたゴルフ界の未来像
「元リブゴルフ選手」のブルックス・ケプカとパトリック・リードが終始、生き生きした表情を見せていたことも、とても印象的だった。
どちらも初日から上位発進を切り、ケプカは2日目と最終日にオーバーパーを喫して55位タイに甘んじたが、それでも達成感に溢れる顔をしていた。リードは最終日まで持ちこたえ、10位タイに食い込んだ。
ケプカもリードも、PGAツアー時代から言いたいことを遠慮なく言い放ち、周囲との軋轢を招くことは、決して少なくなかった。リブゴルフへ移籍後も尊大な態度を見せることが多かった。
だが、PGAツアーに出戻ることができた現在のケプカ、出戻りを目指している現在のリードは、すこぶる謙虚な姿勢で今大会に臨んでいたことが言動の端々から伝わってきた。
ケプカは「昨年は家庭の事情でタフな1年だったが、今年は(リブゴルフから脱退してPGAツアーに復帰したことで)自宅で過ごす時間が増え、新鮮な気持ちでゴルフに取り組めている。こうして試合に出られて、とても楽しい」と穏やかに語った。
リードは「このコースで苦しんでいるのは僕だけじゃない。どこのツアーのどんな大会、どんなコースであれ、いいショット、いいパットを打ち、いろいろなことをコントロールすることができれば、勝てる。それがゴルフの素晴らしさだ」と笑顔で語った。
リブゴルフ脱退を決めた自分を受け入れてくれるツアーがあることに感謝の念を抱いており、それがケプカやリードの態度を謙虚に前向きに変えている。それが彼らのメンタル面を変え、グッドパフォーマンスにつながったのだと私は思う。
大混戦の激戦が終了した後のリーダーボードをよくよく眺めてみると、2位タイにはラーム、4位タイにはジャスティン・トーマス、7位タイにはスミス、ローリー・マキロイ、ザンダー・シャウフェレ、10位タイにはジャスティン・ローズとリードが入り、トップ10以内の13人中7人がメジャー覇者となっている。
前述した「リブゴルフ選手」「元リブゴルフ選手」のみならず、JTやマキロイなどPGAツアーのスター選手の奮闘も目立ったことが、あらためて見て取れる。
その一方で、見事、勝利をつかんだのは、PGAツアーでは1勝を挙げていたとはいえ、日ごろは「伏兵」と見られてきたライだった。
初日から首位を守り通し、最終日を最終組で回った米国出身の29歳、アレックス・スモーリーは、6番のダブルボギーと8番のボギーで優勝争いから脱落したかに見えていたが、16番のイーグルで巻き返し、72ホール目をバーディーで締め括って2位タイになった挽回力は、実に見事だった。
「難しすぎる」「進行がスローすぎる」等々、予選2日間は批判の嵐にさらされた今年の全米プロは、4日間を終えて振り返ってみると、リブゴルフ選手も、元リブゴルフ選手も、PGAツアーのスター選手も、目立たなかった選手も、みなアロニミンクという難コースの上で、苦労しながらも素晴らしい戦いぶりを披露し、世界中のファンを沸かせてくれた。
ここ5年ほどの間、ゴルフ界が切望してきた「世界のベストプレーヤーが一堂に会し、同じ土俵で戦う機会を作りたい」という願いは、この全米プロで実現されていたのではないだろうか。
ゴルフ界が目指す「未来の理想形」を見せてもらったように感じられてならない。
文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
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