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- 弟との二人三脚で日本オープン初制覇!ショーン・ノリスが2年連続2位の雪辱を果たす
最終日を2位に5打差の首位で迎えた南アフリカのショーン・ノリスが通算19アンダーの大会最少スコア記録で今大会初優勝を飾った。新型コロナの影響で昨年は出場できなかったが、今回の優勝で賞金ランキングが7位。終盤戦に向けて、怖い存在となるのは間違いない。
7番の3パットでリズムを崩すも弟・カイルさんのアドバイスで我に戻る
最終18番でウイニングパットを沈めると、同組でラウンドした小平智らと健闘をたたえ合ったショーン・ノリス。その後にキャディーを務めていた弟のカイルさんをゆっくりと抱きしめた。
自身にとってツアー通算6勝目となったナショナルオープン制覇は、この日に誕生日を迎えた4歳下の弟には最高のプレゼントになったが、ノリスからの感謝と激励も込められていた。
2位以下に5打差をつけてスタートしたノリスだが、1番ホールで同組の小平がトリプルボギーを叩いたこともあり、すぐに7打差に広がる。前日までのプレーぶりを考えれば楽に逃げ切れると予想されたが、この日から急に吹き始めた強風が思うようなゴルフをさせてくれなかった。
3日目まではバーディーが先行していたが、最終日はボギーが先にくる。7番パー4でファーストパットがカップを大きくオーバー。返しのパーパットを決めることができなかった。
すると、次のホールからノリスのリズムが微妙に変化する。打ち急いでいるのか、あきらかにプレーのリズムが早くなっていた。その結果、方向性や距離感が合わず、本来ならバーディーを奪いたい8番と10番のパー5でもパーセーブしかできなかった。
そんなノリスを支えたのがカイルさんだった。これまでの試合と同じようにノリスを落ち着かせようと何度も声を掛けた。「守りに入ったらショットを加減するのでミスが出る。落としどころをしっかりと確認して、積極的にティショットを打とう。あとは下りのパットを残さないようにしよう」と、自分たちがスタート前に立てたゲームプランをノリスに思い出させた。
ようやく落ち着きを取り戻したノリスは12番パー4でこの日初めてのバーディーを奪う。いつの間にか池田勇太に3打差にまで詰め寄られていただけに、早い段階で自分のリズムに戻せたことは大きかった。
父を亡くしたショックを癒すために19年からノリスのバッグを担ぐ
13番以降の6ホールでは1バーディー、ノーボギーと安定したゴルフを見せたノリス。ピンを刺すようなショットこそなかったが、ゲームプラン通りに上りのパットを残し、危なげないゴルフを展開した。最終的に2位以下に4打差をつけて逃げ切ったが、通算19アンダーというスコアは94年にジャンボ尾崎が記録した最少スコアを1打更新する新記録となった。
「名誉ある大会ですし、ジャンボさんや青木功さん、松山英樹選手といった素晴らしい優勝者がいる大会に名をつねられることができてうれしいです」と笑顔を見せたノリス。実は、この大会後にカイルさんが南アフリカに一時帰国する。カイルさんは高血圧の持病を抱えており、キャディーをしていても疲れやすくなったり、ストレスレベルが上がる傾向があった。それを抑えるために服用していた南アフリカで処方された薬が切れるからだ。
「キャディーの仕事だけでなく、移動の計画も立ててくれたので、弟が不在になると大変だけど、まずは彼が元気になってもらうことが大切だと判断しました」とノリス。1歳下の弟であるエレインさんとカイルさんの3兄弟で全員プロゴルファーというノリス兄弟。彼らの父であるパトリックさんは2年前の7月に他界した。
3人にゴルフを教え、人としての生き方、男としての生き様、厳しい社会の荒波を生き抜くための術を教えてくれた父だった。その父を亡くした際、ノリスは日本にいたが、とてもゴルフに集中できる状態ではなかった。そんなノリスを支えるために、父と体型だけでなく性格も似ているカイルさんがキャディーとして来日した。
19年のトップ杯東海クラシックでは、ボギーを叩いて感情的になっていたノリスに「父さんならこう言うよ。落ち着いてプレーしていれば、必ずバーディーはくるよ」と随所でカイルさんの助言があり、父に捧げる優勝を飾ることもできた。
ノリスにとっては欠かせない存在のカイルさんが元気な姿で日本に戻ってくるためにも、日本オープンで優勝して送り出したかった。それを叶えることができたことが何よりもうれしかった。はなのだ。12月には南アフリカオープンも控えているが、年間2つのナショナルオープン制覇は今年の大きな目標でもある。もちろん、その試合でもカイルさんにゴルフバッグを担いでもらうつもりだ。
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