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- 賞金女王・稲見萌寧、目指すは「“すべて完璧”な“最強”の“永久シード”選手」
2020-21年シーズンに9勝を挙げた稲見萌寧が大会を9位タイで終え、賞金女王に輝いた。獲得賞金は2億5519万2049円。3位タイだった古江彩佳とは約844万円差となり、デッドヒートとなった賞金女王レースを逃げ切った。
稲見を成長させた東京五輪と賞金女王争い
「五輪でメダルを獲れて、メジャーも優勝できて、複数回優勝もできて、賞金女王も獲れたので、自分の中では100点だと思います」
初の賞金女王を手にした稲見萌寧は今年1年をそう振り返った。
2020-21年シーズンの最終戦となった今大会。賞金ランキング1位の稲見萌寧は、同2位の古江彩佳と賞金女王の座を争っていた。
最終日は15位から出て、4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの73とどうにか耐えしのぎ、通算イーブンパーの9位タイ。一方の古江は3位となり、逆転女王を逃した。
モニターを見ていた稲見は賞金女王確定の瞬間、奥嶋誠昭コーチが喜びの涙を流すと、「泣くつもりじゃなかったんですけれど、先に泣かれるともらい泣きしてしまいました」と、自身も涙が頬をつたっていた。
昨年と統合された今シーズンは9勝で、獲得賞金は2億5519万2049円。2007年上田桃子の21歳156日に次ぐ、22歳122日で歴代2位の年少記録で女王の座についた。
稲見にはあまりにも長く辛いシーズンだったに違いない。統合されたシーズンの計52試合という長丁場で、酸いも甘いも経験した。例年と違う環境のなかで戦いながら、稲見は大きく成長した。
それを感じさせてくれたのが、次の言葉だった。
「私自身、人前でしゃべることだったり、舞台の上に立っても全然大丈夫なタイプです。なので(普段のトーナメントでは)影響は何にもないのですが、東京オリンピックや賞金女王争いのときは、考えてなかったことを知ってしまうこと、知りたくなかったことを知ってしまうこともあったので、プレッシャーもありました。でもそれに勝つからこそ、より一層パワーアップできると思っていました。プレッシャーをどんどんかけてもらって、それに勝るくらい乗り越えようという気持ちできたので、逆に良い経験になりました」
SNSが発達する現代においては、自分が意識しなくてもいらぬ情報が勝手に飛び込んでくる。稲見は逆にそうした状況で、プレッシャーを乗り越える強さを学んでいた。
腰痛で棄権し「賞金女王はしょうがない」
いつの時代も、スター選手は注目される場所に放り込まれるもの。今夏の東京五輪での銀メダル獲得のあと、10月のNOBUTA GROUPマスターズGCレディースでは腰痛で棄権したときもそうだ。「何度か心が折れた」と、賞金女王を争う重要な時期に重圧に押しつぶされそうなことも、一度は二度ではなかったはずだ。
「ぶっちゃけ言うと、マスターズGCレディースで棄権したときは、『賞金女王はしょうがない』と諦めたときでした。本当にそのときは原因も分からないですし、歩けないぐらい痛かったので、しょうがないなと思うぐらいの覚悟で棄権しました」と振り返る。
ただ、それらはすべて稲見が成長するために与えられた試練だったのかもしれない。
充実した今シーズンを過ごした稲見。賞金女王という最高の結果が待っていたにもかかわらず、「どれも完璧ではないので、すべて完璧を目指して、もっともっと最強のプロゴルファーになれるように、すべて極めていきたいと思います」と話す。
最終的に何を極めれば満足するのだろうか――。
そもそも、その日によって出来たこと、出来なかったことが毎回変わるプロゴルファーには“完璧”などないのかもしれない。
そして、最後にこれからの目標についてこう語った。
「誰もが認める最強のゴルファーにはなりたいですけれど、一番の目標は永久シードです」
国内ツアーは通算30勝で永久シード選手になれる。今年の稲見を見る限り、それも決して不可能ではないような気がする。この先、彼女がどれだけ強くなれるのか見ていきたい。
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