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- 堀川未来夢の勝因は「あえてイップスを発症させる」ことだった!?
カシオワールドオープン最終日、初日から首位を独走していた堀川未来夢が6バーディ、1ボギーの67で回り、通算19アンダーでフィニッシュ。19年の日本ゴルフツアー選手権以来、2年半ぶりのツアー通算2勝目を飾った。イップスに悩んだ長く険しい道をついに乗り越えた瞬間だった。
遠かった2勝目を手にすることができた原因とは
「初優勝よりも2勝目のほうが難しい」とはツアー界における格言めいた言葉だが、カシオワールドオープンでは堀川未来夢がその呪縛からにようやく解き放たれた。

堀川がツアー初優勝を飾ったのは、19年6月に開催された日本ゴルフツアー選手権だった。ツアー初優勝が公式戦という快挙だったが、意外とそこに落とし穴がある。複数年シードを得たことで、ホッとするのか2勝目どころか、賞金シードすら獲得できないパターンが少なくないのだ。
代表的な例が94年の日本プロに優勝した合田洋だろう。
当事無敵を誇ったジャンボ尾崎との激闘を制し、一躍時の人となった。それまで賞金シードを持っていなかった選手がいきなり10年シードを獲得したのだから当然かもしれない。
ところが、合田のツアー優勝はその1勝のみとなった。10年シードの終盤には賞金を稼ぐことができず、試合に出ることが苦痛だったとすら語っていた。それも一つの要因となり、10年シードは廃止され、現在の複数年シードは5年が最長になっている。
堀川も日本ゴルフツアー選手権を制して5年シードを得たが、ほかの選手とは異なり、複数年シードが原因で2勝目が遠かったわけではない。
18年のダンロップフェニックスや日本シリーズJTカップでは最終日を首位で迎えながら、あと一歩及ばずに優勝を逃していたものの、いつ勝ってもおかしくないと言われていた。それが、初優勝となった日本ゴルフツアー選手権では初日から首位を守り続けての完全優勝だっただけに、このまま一気に優勝を重ねていくのではと期待された。
しかし、その後は2位に入ることはあっても優勝するまでには至らなかった。その原因はパッティングの“イップス病”を患ったことにあった。
イップス克服にはイップスをよく知ることが必要
イップスにも症状はいろいろあるが、要するにパッティングのストロークを行う際、両手がスムーズに動かない状態のことをいう。
当然、距離感や方向性が合わず、信じられないような大ショートや大オーバーをしてしまう。ロングパットよりもショートパットで多く見られるのも特徴だ。堀川の場合、自分の意志に反して右手が余計な動きをするため、狙ったところにボールを打ち出せなかった。
「練習では症状が出ないんですよ。ところがラウンド中に発症して、落ち込んだ気持ちでラウンド後に練習グリーンへ行くともう直っているんですっているんです」と堀川。
これじゃあ練習しても意味がないじゃないかと思い、自暴自棄にもなったが、発想を切り替えた。本番でイップスが出ないようにするのではなく、練習でイップスを発症させようと考えたのだ。
「練習グリーンでイップスになれば、あとはその対策を考えるだけですからね。上りのフック、スライス、下りのフック、スライスとラインごとに打ち方を変えたり、自分がどのような状況になったときに発症するのかなど徹底的に研究しました」と、ようやく光を見出した。
もちろん、簡単に練習でイップスを発症できたわけではない。当初は試合と同じメンタルに持っていくことがなかなかできなかった。それを試合と練習で同じルーティーンを行うなど、あらゆることを試してようやく見つけることができた。
「ボクはイップスと付き合っていく気はありません。絶対に直そうとそうと思っているんです。イップスにはなるには何か原因があるわけですからね」と堀川。以前はパッティングで悩むことなどなく、それほど練習時間を割くこともなかったが、イップスで悩むようになってからは、圧倒的に練習グリーン上にいる時間が長くなった。
同時に、ゴルフに対して取り組む姿勢も変わり、いろんな角度から自分のゴルフを見直すようにもなり、今ではそれがプラスになっているという。
「ある意味、イップスになって良かったなと思います。治すためにいろいろ探求するようにもなったし、治ったときには自分の実力も上がっていると思いますからね」
カシオワールドオープンの最終日では、14、15番ホールで右手が勝手に動いたが、なんとか乗り切り、2位以下に2打差をつけて逃げ切った。もちろん、今回の優勝でイップスが完治したわけではない。しかし、完治に向けて大きく前進できたのは間違いない。
「今年は無理でも来年は賞金王を目指したいですね」と堀川。苦難を乗り切った人間ほど強い。2勝目までは多少遠回りしたが、3勝目まではそれほど時間を必要としないだろう。
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