とばっちりを受けた形となったJGTOツアーの18人
出場選手にしてみれば、まさに青天の霹靂だろう。大会の開催週になってからいきなり国内ツアー賞金ランキングへの加算は行わず、優勝者にも残りシーズンとその先2年間のツアー出場資格を付与しないことが発表されたのだ。
JGTO(日本ゴルフツアー機構)が17日に発表したリリースによれば、同大会への出場するしないに関わらず全ツアーメンバーの不利益、不平等を最小限に抑える目的から決定したとあるが、一体何が起こったのだろうか。

事の発端は、前週に開催されたアジアンツアーのザ・シンガポールインターナショナルに出場するために、特別ビザでシンガポールに入国した選手にある。
シンガポール政府が定める隔離措置や行動規範に従わなかったため、法律を破ったと判断されたのだ。その結果、シンガポール国外から入国する際の特別ビザの発給を停止。その時点で特別ビザを申請中だった18人のJGTOツアーメンバー(日本人以外の選手も含む)が入国できなくなった。
JGTOのツアーメンバーではない選手の過失により、急きょ出場できなくなったツアーメンバーが18人も出たことをJGTOが重く考えて、今回の決定に至ったわけだ。
出場するつもりだった選手にとってはとばっちりを受けた形となったが、出場できなかった選手だけが不利益を被ったことにはならない。
すでに特別ビザを取得して本戦に出場する選手にしてみれば、いくら今大会で上位に入っても賞金ランキングに加算されず、各部門別ランキングに反映されなければ、何のために出場するのかと考えるのも当然だろう。
それにしても、なぜ特別ビザの発給に間に合った選手と間に合わなかった選手が存在するのだろうか。
上位4人はセントアンドリュースでの全英オープン出場権を獲得できる
理由はいくつかあるが、最も影響しているのはワクチンパスポートの取得だ。
これは新型コロナウイルスワクチンが接種済みであることを公的に証明するものであり、シンガポール入国の際に必要となる。この取得に意外と時間がかかってしまったという。

シード選手やQTランク上位の選手は早い時期から出場が決まっていたので対応できたが、繰り上げにより急きょ出場が可能になった選手はワクチンパスポートの取得が遅れたぶんだけ、特別ビザの申請もスムーズにいかなかった。
出場できなくなった選手だけでなく、出場選手にもマイナス要素が多い大会となったが、プラス要素もある。まずは上位4人に対して今年の全英オープン出場権が与えられることだ。
特に今年はセントアンドリュース・オールドコースが会場となるだけに、出場したいと願う選手は少なくないだろう。
また、今大会はワールドランキングの対象試合であり、ナショナルオープンのためポイントが高くなることが期待される。
さらに、国内ツアーの賞金ランキングには加算されないが、アジアンツアーの賞金ランキングにはしっかりと加算される。賞金総額が125万ドルと高額となれば、シード権を獲得できるチャンスも出てくるだろう。
この大会が20-21年のアジアンツアー最終戦であり、賞金ランキング30位以内に入ると、2月3日から開催されるアジアンツアー開幕戦・サウジインターナショナルへの出場も可能だ。同大会は賞金総額が500万ドルと高額で、国内ツアーの試合数が減っている日本選手にとっては魅力に感じるのではないか。
シンガポールオープンが共同主管競技となって、今年で6回目を数えるが、これまで日本選手は一度も優勝していない。たとえ賞金ランキングの加算対象外となっても、国内ツアーの開幕戦であることは間違いないだけに、今年こそ日本選手が優勝カップを掲げる姿を見たいものだ。