米女子ツアーデビュー戦で新人選手唯一のトップ10入り
今シーズンの米女子ゴルフツアーが開幕し、日本人選手の結果が連日報じられているが、なんといっても注目は昨年のQシリーズ(最終予選会)を突破した古江彩佳と渋野日向子だろう。
プラチナ世代の古江彩佳は「ゲインブリッジLPGA」で米ツアーデビューを飾り、通算3アンダーの18位とまずまずの成績を残した。

一方の渋野日向子は、米ツアー第4戦のHSBC女子世界選手権(3月3~6日、シンガポール・セントーサGCセラポン)がデビュー戦になることが決まった。推薦での出場だが、米ツアー本格デビューとなる初戦で、どのようなゴルフを見せてくれるのかが今から楽しみなところ。
古江と渋野には初優勝という目標もそうだが、新人賞にあたる「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」獲得の争いも注目ポイントの一つ。米ツアー1年目の選手同士が争うタイトルで、昨シーズンは22歳のパティ・タバタナキット(タイ)が獲得している。
いわば新人選手の頂点を争うわけだが、ライバルが多いのも事実。その中でも、注目しておきたいのが、韓国の22歳、チェ・ヘジンだ。
昨年の米ツアーQシリーズを8位で突破し、古江彩佳と同じく「ゲインブリッジLPGA」で米ツアーデビューを果たしたばかり。同大会では、通算6アンダーの8位タイで、新人選手の中では唯一のトップ10入りを果たしている。
アマチュア時代に全米女子オープンで2位に入る
では、韓国女子ツアー時代はどんな選手だったのか。
1999年生まれの22歳で、すでに韓国ツアーは通算10勝(アマチュア2勝含む)。プロ1年目の2018年に2勝、19年に5勝して初の賞金女王のタイトルを獲得した。
20年も1勝し、18年から3年連続で「KLPGA大賞」(年間最優秀選手=MVP)を受賞。韓国内では実績と人気はトップクラスの選手だ。

さらにアマチュア時代からナショナルチームとして活躍し、世界にその名をとどろかせたのが、17年の海外メジャーの全米女子オープンだった。アマチュアながらも通算9アンダーの単独2位。当時、優勝した韓国のパク・ソンヒョンに2打差と優勝まであと一歩に迫った。
長らく「国内は狭い」、「すぐに米ツアーでも通用する」と言われ続け、満を持して今季から米ツアー参戦となったわけだ。
彼女の武器は、ピンにぴたりとつける正確無比のアイアンショットにある。18年から21年までの韓国女子ツアーで、4年連続でパーオン率1位。4シーズンのパーオン率の平均値は約82.0545パーセントと高い数字を誇る。彼女の能力の高さを証明するには十分だろう。
外見だけ見るとあどけなさが残るが、淡々としたプレーとミスのあとにも動じないメンタルは1年目とは思えない雰囲気が漂う。
まだシーズンは始まったばかりだが、米ツアー初優勝の可能性も十分にあり得る選手。今から“チェ・ヘジン”の名を覚えておいても損はないだろう。