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- ショットの調子が20~30%でも勝てる! 香妻陣一朗が新たな自分を発見した耐えるゴルフとは?
今季の国内男子ツアー第2戦であり、国内での開催初戦となった「東建ホームメイトカップ」。強い雨の中行われた最終日は、前日までのトップの香妻陣一朗と5打差の4位タイから追い上げてきた桂川有人とのプレーオフに持ち込まれた。1ホール目、バーディを奪った香妻がツアー通算2勝目を飾った。
残り2ホールでようやく本来のショットを取り戻す
首位を走っていた香妻陣一朗が9番パー4で約3メートルのパーパットを決め、2位の星野陸也との差を5打に広げた段階ではこのまま逃げ切ると思われた。
しかし、ゴルフは分からない。開幕戦の「SMBCシンガポールオープン」で2位タイに入り、今年の全英オープンの出場権を手にした桂川有人が怒涛のバーディーラッシュで順位をどんどん上げてくる。
「12番ホールを終えてスコアボードを見たとき、桂川君がいいプレーをしているなと気がつきました。そこからですね。優勝を意識し始めて緊張で手が動かなくなってきたのは」と香妻を焦りが襲う。
このオフ、宮崎での合宿では例年よりもトレーニングの量を増やしたこともあり、ショットの調子が今一つの状態で今大会に臨んでいた。
初日が30%、2日目は50%まで上がったが、3日目、最終日は20~30%の仕上がり具合だった。自分のイメージどおりのボールを打つことができない。なんとか練習場で調整はするが、コースに出ると予想外の打球になってしまうのだ。それをアプローチとパットでしのぎながらスコアを伸ばしてきた。
しかし、勝負どころでそのごまかしが効かなくなっていた。ショット力が要求される13、16番のパー3がまさにそれだ。13番ではグリーン右のバンカーに、16番パー3ではグリーン左のバンカーにティーショットがつかまる。
13番では2メートル、16番では3メートルのパーパットを外してボギー。ついに首位の座を桂川に明け渡す。
それでも残り2ホールになり、ようやく開き直ることができた。「17番のティーショットが今週で一番振れたショットでした。セカンドも構えた瞬間によさそうな感じがしましたね」と、土壇場で本来の感覚を取り戻したのだ。
こうなると追う者の強みだろう。その17番パー5でバーディを奪うと、続く最終18番でも6メートルの長いバーディーパットを沈め、力技で勝負をプレーオフへと持ち込んだ。
賞金王争いと海外メジャー挑戦が今後の目標
18番パー4が舞台となったプレーオフ1ホール目、先に桂川がバーディーパットを外し、香妻は約6メートルを残していた。ラインは違うが、本戦でのバーディーパットと似たような距離だ。
「同じような感じで打てば入るだろう」と思い、同じリズム、同じストロークでボールを転がすと、カップの左サイドからボールが沈んでいった。
その瞬間、「シャーッ!」と雄叫びを上げながら、拳を2度3度振り下ろした香妻。苦しい戦いを制した思いが一気に爆発する。
「何が何でも勝ってやろうという気持ちだったので、どういう心境で言ったのか覚えてないです」
4日間のスタッツを見ると、フェアウェイキープ率が55.357%(28位タイ)、パーオン率が69.445%(13位タイ)、平均パット数が1.6939(11位)と、とても優勝者の数字とは思えないが、そんな状況でパーセーブ率を93.056%(2位)としたのは、耐えるゴルフに徹し切れたからだろう。
「ゴルフの調子が悪くても勝てたことは自信になりますし、今後のゴルフ人生の中でも調子が悪い時のゴルフの仕方とか考えさせられる試合だったと思います」と得たものは大きい。昨年は2位が3回ありながら勝てなかったが、今年は早々と優勝することができた香妻。
「いいときと悪いときのムラをなくして、2勝目、3勝目を挙げ、最終的に賞金王争いまでいければ」と今後の抱負を語る。さらにはチャンスがあれば海外メジャーもその視界に入っているが、その目標に向けて大きな一歩を踏み出したことは間違いない。
香妻陣一朗(こうづま・じんいちろう)
1994年7月7日生まれ、鹿児島県出身。高校3年で九州アマ優勝、日本アマ3位といった実績を残し、松山英樹らと世界アマに代表に選ばれる。2016年にチャレンジツアーで初優勝、2020年には三井住友VISA太平洋マスターズで自身初のレギュラーツアー優勝を果たす。ツアー通算2勝。国際スポーツ振興協会所属。
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