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- 前評判通りの活躍でマスターズを制したS・シェフラー プロ転向5年で一気に頂点まで上り詰めた要因とは
今年のマスターズは、直近5戦3勝と絶好調で臨んだスコッティ・シェフラーが2位に3打差の通算10アンダーでメジャー初勝利を飾った。史上4人目の大会連覇を賭けて臨んだ松山英樹は、首や肩を故障したことによる調整不足もあり、通算2オーバーの14位タイに終わった。
4パットの最終ホールではスコッティコールが沸き起こる
“看板に偽りなし”の4日間だった。フェデックスカップポイントランキング、世界ゴルフランキングも1位で臨んだスコッティ・シェフラーが、2日目に単独トップに躍り出ると、一度も首位の座を譲ることなく、通算10アンダーでグリーンジャケットに袖を通した。
世界ゴルフランキング1位の選手がマスターズで優勝したのは20年のダスティン・ジョンソン以来6人目となる。
ただ、数字の上では2位以下に3打差をつけての優勝だったが、最終日は決して楽な試合展開ではなかった。2番を終えた時点では同組のキャメロン・スミスに1打差まで迫られる。
その後スコアを伸ばして4打差でハーフターンすると、10番パー4でこの日初めてのボギーを叩く。スミスもこのホールでボギーを叩いたため4打差は変わらなかったが、続く11番パー4ではスミスが先にバーディーを決め、シェフラーは2メートル強のパーパットを残す。それを外せばスミスとの差は2打に縮まる。流れ的にも外せなかったが、どうにか沈めて3打差をキープ。
12番パー3でスミスがトリプルボギーを叩き、ひと安心したいところだが、生涯グランドスラムを狙うロリー・マキロイがこの日ベストスコアの64で回り、3打差でホールアウトしていた。
何が起こるか分からないコースだけに、3打差はセーフティリードではなかったが、14、15番で連続バーディーを奪う。2位のマキロイに5打差をつけた時点でようやく優勝の2文字が見えてきた。
それでも安心させないのがオーガスタナショナルGCのグリーンだ。最終18番パー4では2オンに成功しながら、まさかの4パットでダブルボギーを叩いたシェフラー。60センチのボギーパットを外したときは、18番グリーンを囲んでいたパトロンから“スコッティコール”が沸き起こったほどだ。
ラウンド後、「家に帰りたい! 私はかなり疲れています」と語ったシェフラーだが、紛れもない本音だろう。
それでも4日間すべてアンダーパーを並べたのはシェフラーただ一人であり、特に強い風が吹いた2日目や寒さに襲われた3日目もしっかりスコアを伸ばしたことにポテンシャルの高さをうかがわせた。まだ25歳と若いだけに、さらなる成長が期待されるところだ。
メンタルの強さと機を逃さない目ざとさを持つ
鮮やかなメジャー初制覇を達成したシェフラーだが、その成長曲線はあまりにも急激だ。
全米ジュニアを制し、テキサス大に進学した後もナショナルチームに選ばれたり、17年の全米オープンでローアマになるなど、トップアマであったことは間違いない。
大学を卒業して18年にプロ転向すると、19年は下部ツアーであるコーンフェリーツアーで2勝し賞金ランキング1位に。19-20年シーズンはPGAツアーでトップテンに7回入り、フェデックスカップポイントランキングを5位で終える。
さらに20-21年シーズンはマスターズこそ18位タイだったが、全米プロで8位タイ、全米オープンで7位タイ、全英オープンで8位タイとトップテンに入って見せた。
さらに、21-22年シーズンは、WMフェニックスオープンでついにツアー初優勝を飾るが、そこからわずか42日で世界ゴルフランキング1位に上り詰めている。要するに、今最も勢いのある選手が持てる力を発揮した結果が、マスターズ優勝だったのだ。
「最終日の朝は赤ん坊のように泣いてしまうほど不安にかられたが、コースにきてからはすぐに落ち着くことができた。18番グリーン以外は集中力を切らさなかったよ」と笑顔で話したシェフラー。
いざというときに開き直れるメンタルの強さを感じるが、それだけではない。今回彼をロープの中で支え続けたキャディのテッド・スコットはバッバ・ワトソンのキャディとしてマスターズを2度も制している。ワトソンとのコンビを解消した途端、シェフラーはスコットに連絡をしたという目ざとさも持ち合わせているのだ。
今回の優勝で、フェデックスカップポイントランキングも世界ゴルフランキングも首位の座をしっかりと固めたシェフラー。残り3つあるメジャーでの活躍も十分期待できそうだ。
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