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- 「人生が変わる1勝」を! “ゲーム断ち”“漫画断ち”“懺悔ノート”で生まれ変わった青木瀬令奈が首位
「資生堂レディスオープン」3日目、首位と1打差の4位タイからスタートした青木瀬令奈が5バーディ、1ボギーの68で回り、通算11アンダーでホールアウト。2位以下と1打差ながら単独首位に立つ。最終日は、昨年の「宮里藍サントリーレディスオープン」以来のツアー3勝目を目指す。
「とにかく曲げたくない」とティーアップを2センチ低く
数字にしてみればわずか2センチの違いかもしれないが、その2センチがプロ12年目、29歳の青木瀬令奈にツアー3勝目のチャンスをもたらした。
というのも、ドライバーショットの際、ティーアップの高さを通常よりも低くしたが、その数字が2センチだというのだ。
「昨日のラウンドでティーショットを結構曲げてしまったので、今日はとにかく曲げたくないという思いでティーアップを低くしました」と青木。いつもはクラブヘッドの屋根の部分であるクラウンからボールが半分ぐらい出る程度にティーアップしていたが、今回はほとんどボールが出ない高さにした。アイアンでティーショットしたらテンプラが出るぐらいのイメージだという。
ティーアップを低くすると、当然ボールが上がりにくくなる。その分、ボールが早く落下するため、大きく曲がりにくいというのが定説だ。ただし、高く上がらない分キャリーが減るため、飛距離自体もロスすることになる。
「無理に飛ばそうとしてラフに打ち込むより、確実にフェアウェイをキープしたほうがリズムをつくれると判断したからです。実際、フェアウェイを外したのは2回だけで、いいところから2打目を打てたことでバーディーを多く取れました」と、満足げな表情を見せる。言ってみれば、“肉を切らせて骨を断つ”作戦が功を奏したといえる。
その青木だが、単にその場の思い付きでティーアップの高さを低くしたわけではない。昨年、コーチを務める大西翔太氏から苦言を呈されたという。
「自分の中では年齢や体の変化などで自分のゴルフに対するモチベーションや熱量が低くなっていたんです。シード権を取れなかったらQTを受けるかどうかとか、引退はいつかなとか、後ろ向きの気持ちになっていましたが、それを真っ向から否定されたんです」
ゴルフに対して全力で向き合っていないのに、なぜそんなマイナスなことを考えるのか、なぜやるべきことをやらずに先のことを考えようとするのか。大西コーチはそれが許せなかったのかもしれない。
大きなショックを受けた青木は、その日以来、ゲームや漫画を読むことに使っていた自分の時間を捨て去った。さらに“懺悔ノート”と自ら呼ぶノートを記し始める。その日の反省や気が付いたことを文字として残すためだ。
当然、普通なら思いもつかないアイデアも記した。今回のティーアップを低くすることもそれがあったから浮かんだことだし、パッティングに関してもそうだ。多くのプロは試合で使うパターで練習するが、青木はあえて別のパターを使うという。試合でリフレッシュした気持ちでパッティングに臨めるからだ。
それ自体が独特の発想だが、その効果もあって今季は平均パット数が27.74(2位)と高い数字をキープしている。
「もし勝てば、人生が変わる1勝になると思います」と青木。これまでの努力が実るかどうか、最終日の青木のプレーに要注目だ。
青木 瀬令奈(あおき・せれな)
1993年2月8日生まれ、群馬県出身。2011年プロテスト合格。21年の宮里藍サントリーレディスオープンで4年ぶりとなるツアー2勝目を挙げた。さらに、コース外でもJLPGAプレーヤーズ委員長として選手と協会の「つなぎ役」として尽力している。
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