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- 渋野日向子の「首を左右に動かしながらのライン読み」にはどんな意味があったのか?
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「AIG女子オープン」での渋野日向子のパッティングだ。
全英女子3位は“間”をうまく作ることで実現したショットの安定感が一つの要因
女子メジャー第5戦「AIG全英女子オープン」がスコットランドのミュアフィールドで開催されました。
最終日は、米ツアー未勝利の南アフリカのアシュリー・ブハイ選手、2019年大会を制している渋野日向子選手、今年6月の「全米女子プロ」で完全優勝を果たし、メジャー4勝目を狙う韓国のチョン・インジ選手の三つ巴になりました。
こういった試合の場合、いずれかの選手に流れが傾き勝者が決まるパターンが多いのですが、今大会は最後まで息を呑む展開になりました。
渋野選手は通算9アンダーでフィニッシュ。1打及ばず惜しくもメジャー2勝目に届きませんでした。通算10アンダーで並んだブハイ選手とチョン選手はプレーオフへ。4ホールの戦いの末、勝利を手にしたのはブハイ選手。米ツアー初勝利をメジャーで飾りました。
さて、ホールアウト後のインタビューで悔しさをにじませていた渋野選手ですが、初日に6アンダーで単独首位に立ち、3日目も5アンダーをマークしています。ここ数試合は予選落ちが続いていましたが、今大会はショットが安定していたことが単独3位に入った要因のひとつといえるでしょう。
ショットの精度が高かったのは、“間”を作れていたから。渋野選手は2019年のメジャー制覇以降、スイング改造に取り組み、トップの位置を低くコンパクトにしました。このスイングでポイントになるのは、切り返しで上半身と下半身の時間差を作ることです。今大会の渋野選手は、右腕を長く使った大きなスイングで切り返しで間を作り、ゆったりとスムーズにスイングしていた印象を受けました。
何本も想像したラインの中から最適な1本を見つけるため
また、彼女のストロングポイントであるパッティングでは、ラインの読み方に興味深い仕草がありました。ボール後方からラインを読んでいる時、パントマイムのように首だけを左右に動かすシーンが何度かあったんです。
この仕草にはどんな意味があるのでしょうか。私もラインを読む時にすることがありますが、実はこれ、「少し右に打ち出したらどうだろう?」「ちょっと左ならどうかな?」と、イメージの中でラインを変え、転がりを想像している時の首の動きなんです。
以前このコラムで、「渋野選手は素振りをせずにストロークすることがある」という話をしました。実際にパターを動かして素振りをしなくても、彼女は頭の中で何度も何度もボールを転がし、その中から最適な方向とスピードのラインを見つけ、実際にストロークしているのです。
最初から1本のラインだけをイメージしてストロークするより、ラインを何本も想像した後で最適な1本を見つけた方が精度は上がります。ショットの動きをマネすることは難しいですが、ライン読みのイメージの仕方ならすぐに取り入れることができるはず。みなさんも“渋野流ライン読み”を参考にしてみてはいかがでしょうか。
渋野日向子(しぶの・ひなこ)
1998年生まれ、岡山県出身。2019年のAIG全英女子オープンでメジャー初制覇。同年は国内ツアーでも4勝をマークし、賞金ランキング2位と躍進した。2020-21シーズンは、スタンレーレディスゴルフトーナメントと樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメントで勝利。今季は米ツアーを主戦場に戦っている。国内ツアー通算6勝。サントリー所属。
石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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