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- コロナ禍規制から生まれる「選手とファン、メディア」の距離感と弊害 韓国ツアーと比較すると…【女子ゴルフ】
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内女子プロゴルフツアー現場の規制も状況に合わせて変化している。徹底した感染対策は仕方がない部分でもあるが、選手とファン、メディアとの距離が少しずつ遠ざかっている気も……。
現場でファンサービスのない寂しさ
国内の新型コロナウイルスの感染者数が連日、20万人を超える状況が続くなか、ゴルフ取材の規制も“難しい”環境に置かれている。
先日、国内女子ゴルフの「北海道meijiカップ」の取材に行ったが、同大会は3年ぶりの開催で他のトーナメント同様にギャラリーの入場規制(各日3000人)がかかっていた。それでもロープ外から選手のプレーを見るには十分で、ギャラリーサービスとして飲食ブースも用意されるなど、大会の雰囲気は少しずつ戻ってきている雰囲気はある。
ただ、違和感があるのが「選手とファン」、「選手とメディア」の距離感である。
入場チケットを購入して、現場で応援するギャラリーにとって一つの醍醐味は、応援している選手からファンサービスを受けられることだ。
コロナ禍の前は選手がホールアウトしたあと、行列を作るファンの姿をそこかしこで見られたが、現状で選手のファンサービスは中止になっている。これは寂しい光景だ。
応援する選手にサインをもらったり、「頑張ってください」と声をかける時間があったものだが、今はそれが皆無。ベテランの選手ともなると、顔見知りのファンから声をかけられて、それに応える姿も見られるが、若い選手たちは今もなお十分なファンサービスをした経験がないため、対応の仕方が分からないことも多いと想像する。多くのファンに支えられているという“ありがたみ”を感じることも少なくなったのではないだろうか。
つまりギャラリーやファンとの距離感をどのようにつかめばいいのかがわからないまま、時が経ってしまっていて、コミュニケーションを取る場が少ないことによる弊害が生まれつつあると感じる。
これは選手とメディアとの関係性もしかりだ。通常、その日のトップの選手や成績上位の選手が、プレスルーム内に用意された会見場に呼ばれる。だが、先週の「北海道meijiカップ」ではコロナ感染対策として、現場にいながらも選手は別室の“リモート部屋”へ移動する。タブレットの画面越しから取材をするのだが、通信状況が悪いと話が途切れたり、選手の表情や空気感も読みづらい。両者ともにストレスを感じることも少なくなかった。
コロナ禍の状況下で守らなければならない“規制”で、しょうがない部分ではあるが、このままでは現場にいる意味がないと感じるメディアも多いはずで、筆者もその一人である。
韓国は入場制限なしでファンサービスも
そこで気になったのは、お隣の韓国女子ツアーのコロナ禍における規制だ。8月に入ってからは一日の新型コロナウイルスの感染者数は約15万人(8月10日)を記録するなど、日本よりも少ないが、厳しい状況にそう変わりはない。
韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)の広報担当、キム・ウィジュ氏に聞いてみると、「開幕2戦目(4月14日~)からギャラリーを入れ、入場制限をなくしました」という。無制限のギャラリー入場で、ソウル近郊のトーナメントでは3日間で3万人が入った大会もあったほどだ。さらに選手のファンサービスも通常通りに行っているという。
「選手のサインや写真撮影も訪れたギャラリーのみなさんに応じるようにしています。選手とギャラリーの間にロープを挟み、ある程度、距離を保った状態で実施しています」
メディアの取材対応も日本とは違っていた。
「トーナメント会場の取材自体に厳しい制限は特にありません。ただ、選手との接触にはある程度、制限は設けています。外には別に設置したミックスゾーンで選手のインタビュー(屋外なのでマスクなしでの対応)を行っていますし、プレスルーム内の記者会見場ではマスクをする決まりはあります。写真撮影時のみマスクを取るように伝えています。現場にいながらリモート会見することはありません」
韓国ではこうした対応で問題なく毎週、試合は成立しており、なるべく通常の状態に近づける努力を続けているという。
つまりトーナメント観戦や現場取材の自由度は、日本よりも韓国のほうが高い。もちろん米女子ツアーでも、日本のような取材規制はない。その国の実情に合わせた対策なのはわかるが、日本女子ツアーも“ファン目線”に立ったうえで、柔軟な対応や対策ができないものだろうか。
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