ラウンド中のスイング修正で「ショットが真っすぐに」
◆国内女子プロゴルフ〈日本女子オープン 9月29日~10月2日 紫カントリークラブ・すみれコース(千葉県) 6839ヤード・パー72〉
ディフェンディングチャンピオンとして予選落ちだけは避けようと考えていた勝みなみだが、それをクリアしたことで安心したのか、決勝ラウンドを迎えてようやく本来のゴルフスタイルを取り戻した。
「このコースはドカンと(大きな)スコアが出ないだけに、なんとか粘っていけば上位に行けるかなと思ってプレーしました」と勝。

その言葉どおり、前半の2番パー4で2メートルを沈めてバーディーを奪うと、残りの7ホールを全てパー。我慢のゴルフに徹した。後半に入ってさらにスコアを1打伸ばし、この日は3バーディー、1ボギーの70をマーク。首位の申ジエとじわり3打差に迫った。
女子ツアーではスイングコーチをつけているプロが大半だが、勝はデビュー以来、コーチに師事したことはない。そのため、些細な変化に気づかないことも少なくないという。
「練習場で気づいたときには修正しますが、練習場とコースではスイングが全然違いますからね」
そのため、ラウンド中にスイングを急きょ修正することもある。まさに、この日のラウンドがそうだった。
「4、5番ホールで続けて左ラフにティショットを打ち込んだときに、スイング軌道がいつもよりインサイドアウトになっていないと思ったんです。それでもう少しインサイドアウトを強調したら、真っすぐ飛ぶようになりました」と勝。その後のホールではほぼフェアウェイキープできたことで、グリーンを楽に狙えたという。
今年の7月に開催された楽天スーパーレディースでも、同じようなことに気がつき、インサイドアウトの軌道に修正したことで、ショットが安定。4日間を22アンダーでまとめ、5打差をつけるブッチ切りで優勝した。スイングコーチがいる選手と比べて、自分の力で見つけたことをすぐに実践できるところが勝の強みでもある。
その勝を後押ししたのが、大勢のギャラリーだ。昨年は人数制限があったものの、今季はそれが撤廃され今季最多の7914人が来場。多くの選手に大きな拍手を送り、プレーを盛り上げた。
「いいプレーしたときに拍手してもらうとうれしいし、気持ちも乗ってきます。プロの試合に来たなと感じますね」。コロナ禍で多くのギャラリーに囲まれてのプレーがほぼなかっただけに、喜びもひとしおだ。
昨年の今大会では2位に6打差をつけて優勝を飾ったが、その記憶は心の奥にしまい、今年は挑戦者の気持ちで臨んでいるという勝。それでも、ナショナルタイトルの重さは十分感じているだけに、大会連覇へ向け、最終日はベストを尽くすことに集中するつもりだ。
勝みなみ(かつ・みなみ)
1998年7月1日生まれ、鹿児島県出身。渋野日向子、畑岡奈紗、原英莉花らツアーを席巻してる「黄金世代」の一人。2014年の「KKT杯バンテリンレディス」で、アマチュアながらJLPGAツアー史上最年少優勝(15歳293日)を達成し注目を集める。2017年のプロ入り後、翌年の「大王製紙エリエールレディスオープン」でプロ初優勝。所属は明治安田生命。