「リブゴルフには収益を出すためのプランはありません」
今年6月に創設されたリブゴルフは、ロンドンでの初戦に始まり、全8試合をすべて終了した。今年の8試合の賞金総額は2億5500万ドルだったが、リブゴルフが費やしたお金の総額は賞金以外にも山ほどあった。

PGAツアーやDPワールドツアーから引き寄せてきた有名選手たちに事前に支払った莫大な契約金などを合わせると、「今年のリブゴルフの出費は総額8億ドル(約1110億4000万円)に上る」とは、米シカゴ・ビジネスジャーナル誌の独自調査の結果だ。
そして、2年目となる2023年のリブゴルフは、当初の予定だった年間10試合が14試合へ増額され、賞金総額は4億500万ドルへグレードアップされることが、すでに発表されている。
破格の賞金以外にも、諸々の出費は今後もまだまだあるはずだから、それらを考慮すると、来年のリブゴルフの出費は、さらに増えて「総額15億ドル(約2082億円)を超えるのではないか」と、米メディアは試算している。
こうした数字を眺めるにつけ、リブゴルフを資金面で支援しているサウジアラビアの政府系ファンドには、お金が沸き出してくるのだろうかと思えてくる。
しかし、その一方で「オイルマネーとて無尽蔵なはずはない」「サウジ政府側の鶴の一声で、突然、資金援助が打ち切られるのでは?」「莫大な投資を得ているのだから、莫大な見返りを求められるはず」等々、リブゴルフの今後を疑問視する声も多々聞こえてくる。
11月10日(米国時間)には、リブゴルフのCEOがグレッグ・ノーマンから元テーラーメイドCEOのマーク・キング氏に代わると英国紙「ザ・テレグラフ」によって報じられたが、その数時間後、リブゴルフ側はその報道をきっぱり否定。
火のないところに煙は立たないのだとすれば、リブゴルフの上層部には不安定になる要素や事情があるのかもしれない。
だが、今ではフルタイムで勤務する従業員が120人を超え、世界3カ所に拠点となるビッグなオフィスを構えているリブゴルフは、たとえCEOが交代するとしても、すぐさま倒れることはないだろう。
ノーマンCEOの派手な言動とは対照的に、世界中から集められた敏腕ビジネスマンたちは、組織の頭脳となって、日夜リブゴルフの今後の運営や経営に力を尽くしているという。
前出のシカゴ・ビジネスジャーナル誌によれば、リブゴルフ社長兼CCOのアトゥル・コスラ氏は、毎朝「見返り」という言葉に重いプレッシャーを感じているという。
「出資してくれているサウジ政府側は、5年、7年、10年といった長期の支援を約束してくれています。見返りを求められているわけではない。しかし、それでも私は、なんとかして利益を出して、投資に対するリターン(見返り)をもたらさなければならないと、毎朝、プレッシャーを感じています。でも、そうすることが私の仕事です。なんとかして収益を出してみせます」
焦燥感を隠し切れない様子のコスラ氏とは対照的に、副社長のモニカ・フィー氏は、こう言い切っている。
「幸運なことに、私たちを支援してくれている投資家は長期的視野を持っており、即座の見返りはまったく求めていない。だから、リブゴルフには収益を出すためのプランはありません」