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- ウッズを見た10歳の頃の夢が現実に 比嘉一貴が初の賞金王に近づく大きな今季4勝目
国内男子ツアーのダンロップフェニックス最終日、単独首位でスタートした比嘉一貴が1イーグル、5バーディーの64で回り、通算21アンダーで今季4勝目、ツアー通算6勝目を飾った。比嘉と賞金王を争う星野陸也は通算13アンダーの8位タイ、前週優勝の石川遼はプロ転向3戦目となった蝉川泰果と並んで通算4アンダーの39位タイに終わった。
バンカーから捻じ込んだ13番イーグルで勝負あり
◆国内男子プロゴルフ<ダンロップフェニックストーナメント 11月17~11月20日 フェニックスカントリークラブ(宮崎県) 7042ヤード・パー71>
ダンロップフェニックスを開催するフェニックスカントリークラブのクラブハウスには、歴代優勝者の写真が飾られている。尾崎将司や中嶋常幸といった日本のレジェンドから、トム・ワトソンやセベ・バレステロスといった世界のレジェンドがズラリと並ぶ光景は圧巻だ。もちろん、その中には04、05年に大会連覇したタイガー・ウッズの写真もある。それを見ながら、比嘉一貴は当時のことを思い出していた。
「自分がゴルフを始めて、プロのトーナメントをテレビで見て楽しく感じたのがこの大会でした。ちょうどウッズ選手が出ていて、そのプレーに魅了されました」と振り返る。
当時10歳の比嘉にしてみれば、トッププロの激戦は夢のような世界に映っていたのだろう。同時に「いつか自分もあの大会で勝ちたい」という思いも芽生えたと言う。その思いはプロに転向してから一層強くなっていった。そしてテレビでウッズを見てから17年後の今年、絶好のチャンスを迎えた。
3日目を終えて2位に2打差をつける単独首位に立った比嘉。大会前は1日4アンダーを計算していたが、ここまでにそれを2打上回る通算14アンダーまで伸ばしていた。
ただ、油断はできない。同組には昨年の東京五輪4位タイ、今年の全米プロゴルフ選手権で3位タイに入ったミト・ペレイラがいる。それ以外の選手でもビッグスコアを出す可能性があるだけに、比嘉自身が伸ばさなければ逃げ切ることはできない。スタート前、通算20アンダーを目標に照準を合わせた。
その思惑どおり、比嘉は順調なゴルフを展開する。2番、3番ホールで連続バーディーを奪うと、7番、9番もバーディーとし、前半だけでスコアを4つ伸ばす。
逃げる人間がスコアを伸ばすと追いかける人間は苦しい。どこか無理な攻めをするようになり、2位につけていたペレイラと大槻智春が10番パー4でそろってボギーを叩き、4打差に広がる。
圧巻は13番パー4だった。332ヤードと短いホールで比嘉はティーショットをグリーン左のバンカーまで運ぶ。そこから20ヤードのバンカーショットをなんとカップインさせたのだ。そこまで冷静な比嘉だったが、思わずガッツポーズが出た。
賞金ランキング2位以下に約7425万円のリード
その後、ペレイラが2打差まで迫ってきたものの、最終18番パー5では無理せず3オン狙いに徹し、2メートルのバーディーパットを沈めた比嘉。3打差で逃げ切っただけでなく、16年にブルックス・ケプカがマークした大会記録に並ぶ通算21アンダーでのフィニッシュとなった。
これで比嘉は今季ツアー4勝目、ツアー通算6勝目を挙げたが、そのうち3勝は大会レコードもしくはレコードタイを記録しているだけに、伸ばし合いに強い印象を与えた。
「決勝ラウンドの2日間をノーボギーで回れたのは自信になりますし、歴代のレジェンドに仲間入りできたことは光栄に思います」と、笑顔を見せた比嘉。大会2日目からティーショットが思うようにいかなかったが、「飛距離よりもフェアウェイキープ優先で低い球を打つようにしたことがよかったです」と、好調の要因を語る。
これで今季の獲得賞金も1億7914万1233円となり、2位の星野陸也に約7425万円の差をつけた。これで星野は残り2試合で両方勝たなければならず、比嘉が初の賞金王を大きく手繰り寄せた。
ただ、星野も諦めたわけではない。今大会では通算13アンダーの8位タイに終わったが、「残り2試合とも勝てるように頑張ります」と前を向いた。
また、前週優勝を飾った石川遼は、通算4アンダーの39位タイでフィニッシュ。「今週はグリーン上の読みとタッチが合わなかったですね。来週のカシオワールドオープンは思い入れが強い大会なので、優勝争いを目指します」と、ホスト大会へ向けて気持ちを切り替えていた。
プロ3戦目となった蝉川泰果は最終日に今大会初めての60台となる66をマークし、石川と同じ通算4アンダーの39位タイで4日間を終えた。
比嘉 一貴(ひが・かずき)
1995年4月23日生まれ、沖縄県出身。東北福祉大学を経て、2017年にプロ転向。19年RIZAP KBCオーガスタで26アンダーの大会レコードを記録してツアー初優勝。ツアー通算6勝。
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