「笑っちゃうぜ」とラームが不満を漏らした世界ランキングの新制度は不公平なのか?

欧州ではフラッグシップ大会であるDPワールドツアー選手権が開催され、ジョン・ラームが優勝、ローリー・マキロイが年間王者に輝き、米ツアーとのダブル年間王者を達成した。しかし、この華やかな大会よりも、トップ選手が出ていない米ツアーの平場の大会がなぜか世界ランキングのポイントが多い。

ラームが優勝しマキロイが年間王者に輝いた華やかさとは裏腹に…

 先週、欧州ではDPワールドツアーのフラッグシップ大会であるDPワールドツアー選手権が開催された。

最終戦で優勝したジョン・ラーム(左)と年間王者を決めたローリー・マキロイ 写真:Getty Images
最終戦で優勝したジョン・ラーム(左)と年間王者を決めたローリー・マキロイ 写真:Getty Images

 同大会はDPワールドツアーのポイントレースであるレース・トゥ・ドバイのトップ50だけが出場できるエリート大会だ。世界ランキング1位のローリー・マキロイを筆頭に、少数精鋭の洗練されたフィールドで熱戦が展開され、勝利したのはジョン・ラーム、そしてマキロイが生涯4度目の欧州年間王者に輝いた。

 一方、先週の米国ではPGAツアーの2022年を締め括るRSMクラシックが開催された。同大会は、そもそもはデービス・ラブが彼の地元ジョージア州のアトランタ郊外で創設した「ラブの大会」だったが、PGAツアーのフォール・シリーズに組み込まれ、タイトルスポンサーも付き、立派な大会に成長している。

 だが、かつてならシーズンオフとされていたこの時期の開催ということもあり、毎年、トッププレーヤーの参加はほとんど見られない。今年も世界ランキングの上位20位以内の選手は皆無で、いわゆる無名選手たち156名が栄光を夢見ながら腕を競い合い、カナダ出身の28歳、アダム・スベンソンが夢にまで見た初優勝をツアー4年目にして、ようやく挙げた。

 こうして同週に開催された欧州と米国のそれぞれの大会を眺めてみると、小さなフィールドの中に世界ランキング上位選手がひしめく欧州のフラッグシップ大会のほうが少数精鋭でステイタスの高い大会という印象を受けるのではないだろうか。

トップ選手が顔をそろえる欧州より一人もいない米国が上!?

 そんな中、スペイン出身のラームは、欧州と米国の両大会を見比べ、開幕前から「笑っちゃうぜ」と不満の声を上げていた。

 というのも、世界ランキングのトップ25が7名も揃っているDPワールドツアー選手権の優勝者が得る世界ランキングのポイントは21ポイントと見られていたのに対し、世界のトップ20が1人もいないRSMクラシックの優勝者が得る世界ランキングのポイントは37ポイントと試算されていたからだ。

 世界ランキング5位の位置からDPワールドツアー選手権に臨んだラームは、欧州の年間王者を決める重要で華やかなその大会が、スター選手が皆無だったPGAツアーの1大会より軽視されているかのような状況に、あからさまに首を傾げていた。

「新しい世界ランキングのシステムは、もはや笑うしかない。本当に笑っちゃうぜ」

 世界ランキングのポイント配分が見直され、新しいシステムが施行されたのは今年8月8日からだった。

 これまで世界の各ツアーの優勝者に与えられていた「最低ポイント」が撤廃され、「ストロークゲインド・ワールドレーティング(SGWR)」という新たな指標が導入された。

 これは、各大会の出場選手たちのクオリティー(質)に応じてポイントを算出・分配するというもの。「選手のクオリティー」とは、各大会における過去2年間の実績(順位とスコア)のこと。つまり、より良いスコアを出して、より上位になった選手が、より多く出場している大会で好成績を出せば、より高いポイントが付与されるということになる。

 これをズバリ言い換えると、最も効率的にポイントを稼いで世界ランキングをアップさせることができるのは、クオリティーの高い選手が最も多く存在しているPGAツアーということになる。

 逆に、スコアや順位という意味でクオリティーが劣る選手が多いツアーでは、たとえ優勝しても、さほど世界ランキング向上にはつながらないということ。日本ツアー然り。アジアツアー然りである。

 そして、この新システム下では、フィールドのサイズ、つまり出場人数がポイント計算上、大きな役割を果たし、わずか50人しか出場しないDPワールドツアー選手権より156人がしのぎを削るRSMクラシックのほうが「勝つことは難しい」ということになる。

 同様に、出場人数が20名に限定されているヒーロー・ワールドチャレンジや30名限定のツアー選手権も世界ランキングの計算上は、格段に位置づけが低くなる。

 そうした現象は、まるで「人数が少ないのだから、勝つのは簡単でしょう?」と言われているようで、だからこそラームは「笑っちゃうぜ」と、嘆きの声を上げたのだ。

世界ランキングは当初「日本ツアーの配点が高すぎる」と批判された
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