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「トランプ」「コロナ」「リブゴルフ」? メジャーに次ぐステータスのWGCを崩壊に導いたもの

2023.02.07 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
砂場Talk(バンカートーク) 米国男子ツアー

メジャー4大会に次ぐステータスとされてきた「世界ゴルフ選手権シリーズ」(WGC)が消滅の危機と報じられている。2016年から17年にかけて松山英樹が2勝を挙げ、日本人にもなじみ深いシリーズとなったWGCは、なぜ崖っぷちに立たされることになったのだろうか。

「大会絡みの私物は段ボール箱に詰めて引き上げたほうがいい」

「世界ゴルフ選手権の存続が危うい?」「WGCが消滅の危機?」と言われても、昨今では「WGC」をご存じないゴルファーが増え、「えっ、何それ?」という反応になるのかもしれない。

2017年のWGCブリヂストン招待を制し、柔和な笑顔で記者会見に臨む松山英樹 写真:Getty Images
2017年のWGCブリヂストン招待を制し、柔和な笑顔で記者会見に臨む松山英樹 写真:Getty Images

 ひと昔前なら「WGC(ワールド・ゴルフ・チャンピオンシップ)=世界ゴルフ選手権」はメジャー4大会に次ぐハイステータスな大会シリーズとして崇められ、世界中のプロゴルファーの羨望の的だった。

 ゴルフ界の王者、タイガー・ウッズは史上最高のWGC18勝、ダスティン・ジョンソンはウッズに次ぐWGC5勝を記録。日本の松山英樹はWGC2勝を挙げ、名実ともに世界のトップ中のトップとみなされるようになった。

 しかし、1999年の創設以来、年間3~4大会が開催されてきたWGCは、さまざまな事情が重なったことで試合数が年々減少し、昨季も今季も開催が予定されているのは1大会のみだ。

 いまなお生き残っているその1大会は3月にテキサス州のオースティンCCで開催されるWGCデル・テクノロジーズ マッチプレーだが、そんな「最後のWGC大会」の存続までもが今、危ぶまれている。

 米ゴルフウィーク誌によれば、2024年のPGAツアーの年間スケジュールの中で、同大会の開催週には、現状では11月開催のケイデンスバンク・ヒューストンオープンが入れ替わりで入る見込みだという。

 言い換えれば、WGCデル・テクノロジーズ・マッチプレーは今年で終了となる可能性が高いということである。

 まだPGAツアーからの正式発表はされていないが、ツアー関係者から得られた談話は「24年以降のマッチプレー開催に関しては現在協議中」というもの。

 しかし、16年以来、毎年WGCデル・テクノロジーズ・マッチプレーの舞台となってきたオースティンCCの関係者やボランティアの間では「今年の大会が終わったら、大会絡みの私物はさっさと段ボール箱に詰めて引き上げたほうがいい」が、すでに共通認識になっているのだそうだ。

「最後のWGC大会」が打ち切られてしまったら、WGCそのものがゴルフ界から消滅することになるのかもしれない。あれほど輝いていたものが消えてなくなるとしたら、あまりにもさびしい現実である。

2016年から17年には松山英樹が2勝を挙げて世界のトップへ

 あらためて説明すると、「WGC」とは、ワールド・ゴルフ・チャンピオンシップ(World Golf Championship)の頭文字を取ったもので、日本語では「世界ゴルフ選手権(シリーズ)」と記されている。

 グローバルでハイステータスなゴルフ大会をシリーズで開催しようということで、1999年にオリジナルの3大会が創設され、米国拠点のPGAツアーや欧州拠点のDPワールドツアー、南アツアーや日本ツアーなど世界6大ツアーで構成される「インターナショナル・フェデレーション」によって運営されている。

 その年、初開催されたWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権を制したのはジェフ・マガートだったが、WGC-NEC招待とWGCアメリカン・エキスプレス選手権では、どちらもタイガー・ウッズが勝利を飾り、WGCには華やかな印象が抱かれ始めた。

 出場資格が世界ランキング上位選手に限定され、予選落ちがないのにレギュラー大会より格段に高額な賞金が用意され、最下位でも一定の賞金がギャランティーされた形式は、今あらためて振り返れば、昨今のゴルフ界を大揺れさせているリブゴルフのフォーマットと通じるものがあるが、その類似性はさておき、破格の賞金と出場選手のステータスの高さからすれば、WGCはメジャー4大会に次ぐビッグ大会と誰もが認める存在だった。

 その後、オリジナル3大会は、冠スポンサーが変わったり、開催場所が変更されたりといった変遷を遂げていったが、それらはポジティブなチェンジだった。

 2000年から06年までは従来のワールドカップ(国別対抗戦)もWGCのシリーズに組み込まれ、世界各国のゴルフファンを沸かせた。

 09年からは上海を舞台とするWGC-HSBCチャンピオンズが新たにWGCシリーズに加わり、アジア初進出を果たしたWGCは、その名の通り、グローバル化の道を歩み始めた。

 アンブレラ・スポンサーにはデル・テクノロジーズとHSBCが、オフィシャル・スポンサーにはロレックスが付いたあのころまでは、WGCの前途は洋々だった。

 松山は16年10月にWGC-HSBCチャンピオンズで勝利を挙げると、17年8月にはWGC-ブリヂストン招待でWGC2勝目を挙げ、「アジア人選手の最高峰」と呼ばれた。

 そして18-19年シーズンまでは年間4つのWGCがフル開催されていた。

 しかし、コロナ禍でツアーが一時休止された20年以降は、上海が舞台となるHSBCチャンピオンズの開催は一度も叶っておらず、他のWGC大会もさらなる変遷を遂げつつあり、昨季と今季はついに年間1試合まで減ってしまった。

 そして、今年限りで「最後の1試合」も消える可能性が高まっている。

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