現役の頃はオフが一番つらかったとツアー7勝・飯島茜
国内女子ツアーはオフシーズンの真っ只中です。
「ハワイやグアム、東南アジアで合宿中の選手もいますよね!? ゴルフして食事や買い物も楽しめて“天国”ですね。うらやましいなあ」。そんな声も聞こえてきそうです。

しかし、もちろんツアープロたちの合宿は、一般の方々が想像する観光付きゴルフツアー的なものとは180度違います。どのような生活を送っているのでしょうか。
「きつい練習とトレーニングをするのが目的ですから、“天国”ではないです。現役の頃はオフが一番つらかったですよ。ひどい筋肉痛や酸欠になるほど体を追い込むトレーニングをするし、疲れて外食にさえ出かけられない日もあります。1カ月弱の合宿中、買い物に行って気分転換する日もたまにありましたが、海外旅行を楽しむ感覚はまったくなかったですね」
そう振り返ってくれたのは、シード選手として長年活躍し、ツアー7勝を挙げた飯島茜です。7つの優勝には、日本の女子プロゴルファーNo.1を決める日本女子プロゴルフ選手権のタイトルも含まれています。
飯島はこれまでにアメリカ本土、ハワイ、グアム、サイパン、タイなどで合宿を行なってきました。海外で合宿を張るのは、現地在住コーチの指導を受けるのと、気候をはじめ、よりよい練習環境を求めるためです。
「温暖な国ではケガの不安が格段に少なく、存分に体を動かすことができますからね。厳冬の日本を離れることで気分も上がります。多いときはキャディー、トレーナー、スイングを見てくれていた父、マネジメントをしてくれている妹も一緒に、コテージや一軒家を借りて同行していました」
合宿地を世界中のトップアスリートが集まるような温暖地に定めることでプロ意識を鼓舞し、きつい練習やトレーニングをしに行く悲壮感を振り払って、モチベーションを維持していたのかもしれません。
飯島はオフのうちに合宿を2回行なっていました。1回目は1月中旬から1カ月弱の海外合宿、2回目は帰国後間もない2月中旬から2~3週間の国内合宿です。前者は体づくりのトレーニング、スイングの課題克服、打ち込み、アプローチ・パットの練習が中心。後者はそれにラウンドをプラス。開幕戦の開催地・沖縄に近い合宿先からそのまま試合に入るパターンが多かったそうです。
「1回目の合宿は、前年ダメだったところを克服・強化するのが一番の目的です。時間をたっぷりかけないと癖は直らないし、癖や良くないところを直さないと、やりたいゴルフができないからです。2回目の合宿は1回目の内容を踏襲しながら、薄れた“試合勘”を取り戻すようにしていました」
すべては開幕戦に間に合わせるため。身体もスイングも技術も完璧に仕上げた状態でシーズン初日を迎えるためです。