「第一印象はとてもよかった」
◆国内女子プロゴルフ<ダイキンオーキッドレディス 3月2~5日 琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県) 6560ヤード・パー72>
「最後は恩返しというか、みなさんの前でいいプレーが少しでも見せられれば」
目を細めながらそう語るのは、イ・ボミの専属トレーナーの渡邊吾児也(あるや)氏。2015、16年の2年連続賞金女王時代を支え、その後、不調の時期も苦楽を共にしてきた人物だ。
トレーニングメニューの考案やコンディション調整のほか、鍼灸師の資格を持ち、試合後のケアもこなす。時に現場でマネージャー役にも徹する。

渡邊氏がイ・ボミの専属となったのは2015年シーズンから。それ以前は宮里美香のトレーナーとして米ツアーも転戦していた。
「目が合えば、『ニコ』っとあの笑顔であいさつしてくるので、第一印象はとてもよかったです(笑)。小さくてもショットはパワフルで、ドライバーもかなり飛んでいましたし、キレのいいスイングをする。私が初めて担当した女子プロゴルファーが宮里美香選手だったのですが、また違うタイプの選手で、『こんな選手がいるんだな』と感じていました」
11年に日本ツアーに初参戦し、目標としていた賞金女王まであと一歩と迫っていた14年。この年は父のソクジュさんが亡くなり、15年のイ・ボミには悲壮な覚悟があった。
キャディの清水重憲氏と共に“チーム・ボミ”の一員となった渡邊吾児也氏のトレーニングをイ・ボミは日々こなすようになった。
「体の特徴は陸上でいえば短距離タイプ」
「彼女の体の特徴は0から100の立ち上がりが早いところです。いわゆる瞬発系の筋肉と能力に優れていて、『バンッ』っと一瞬にして立ち上がるので、体が小さくてもスイングにもパワーが伝わるので飛びます。本当に陸上でいえば短距離タイプ。運動をさせても時間の長い運動はどちらかと言うと苦手でした」
その特徴をより最大限に引き出すためのトレーニングを課していたという。
「パワーを出すためのタイミングのところ。大きなものをドンと動かすというよりも、軽くてもスピードを上げていくような感じです」
以前、イ・ボミから聞いたことがあるのが「トレーニングがかなり過酷」という話。それについて渡邊氏に聞くと「初めてやらせることも多かったですし、僕はしんどいことしかやらせなかったと思います(笑)。例えば、バーベルを持って何セットというのではなく、体に負荷をかけるトレーニングにしても、体のポジションや動きの方向、そういう意識づけをたくさんしたので、体よりも頭が疲れていたと思います。ただ、一つやらせても呑み込みがすごく早い選手でした」と振り返る。