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ワニやヘビがすむ池でも「ウイニング・ダイブ」は受け継がれた 開催地移転のシェブロン選手権で考えた“伝統”
25歳の米国人選手、リリア・ヴの優勝で幕を閉じた米女子ゴルフのシーズン最初のメジャー大会、シェブロン選手権。この大会で注目されていたのは2023年最初の女子メジャーチャンピオンが誰になるのかということはもとより、勝者が移転した会場でも池に飛び込むのかということだった。
40年にわたって開催地だったミッションヒルズから今年移転
米女子ゴルフのシーズン最初のメジャー大会、シェブロン選手権は、25歳の米国人選手、リリア・ヴの優勝で幕を閉じた。
通算10アンダーで先にホールアウトして待機していたヴは、同じ米国人のエンジェル・インとのサドンデス・プレーオフに突入。その1ホール目でインが第2打を池に落とした一方で、ヴはバーディーパットをしっかり沈め、メジャー初優勝を遂げた。
2人の優勝争いは手に汗握る熱戦だったが、ヴの勝利が決まった後も、人々の視線は彼女に釘付けになっていた。なぜなら、この大会を制したチャンピオンが18番グリーン脇に広がる池に飛び込むかどうかは、開幕前から大きな話題になっていたからだ。
そもそも、この大会は1972年に「コルゲート・ダイナショア・ウイナーズサークル」という名前で創設され、10年後の82年からは大会名に「ナビスコ」の文字が付されるようになった。「ナビスコ・ダイナショア・インビテーショナル」「ナビスコ・ダイナショア」「ナビスコ選手権」、2002年から14年は「クラフト・ナビスコ選手権」と呼ばれていた。
そして、15年からは「ANAインスピレーション」、昨年からは「シェブロン選手権」に変わった。
タイトルスポンサーが変われば大会名が変わるのは当然だったが、それでも戦いの舞台は変わることなく、第1回から昨年大会までカリフォルニア州ランチョミラージュのミッションヒルズであり続けてきた。
そして、優勝者が18番グリーン脇のポピーズポンドに飛び込み、ずぶ濡れになった体に白いバスローブを羽織って優勝トロフィーを掲げることが、この大会の恒例儀式と化していた。
しかし、今年からこの大会の舞台はシェブロンのビジネス拠点の1つであるテキサス州ヒューストン郊外のザ・クラブ・アット・カールトンウッズへ移され、優勝者が池にダイブする恒例儀式の存続が危ぶまれていた。
「あの大会は“私たちのマスターズ”だった」
大会のタイトルスポンサーがANAからシェブロンに変わって1年目の22年大会までは、従来通りミッションヒルズで開催されるものの、23年大会からは試合会場がテキサスへ移されると発表されたとき、ネリー・コルダをはじめとする多くの選手たちは一斉に嘆きの声を上げた。
「あの大会は“私たちのマスターズ”だった。誰もが『プロになったら、あそこで勝ちたい』『あの池にダイブしたい』と目指してきた」
毎年、同じコースで開催されるメジャー大会という意味では、男子のマスターズと同じであり、マスターズのキャディーが白いつなぎのユニフォームを着用するのと同様、この大会のキャディーも白いジャンプスーツに身を包み、女子選手たちを支えてきた。
しかし、シェブロン選手権に変わってからは、キャディーはネイビーブルーのビブスを付ける形に変わった。
優勝に輝いた選手がキャディーとともに池に飛び込む場面は、男子のマスターズチャンピオンがグリーンジャケットを羽織るのと同様、メジャーチャンピオンの誕生を祝う儀式だと選手も関係者もファンも認識していた。
その儀式まで消滅してしまうことは、あまりにもさびしい。まるで、おなじみの大会がその大会ではなくなってしまうような、そんな喪失感を覚えていたのは、選手もキャディーもファンも、みな同じだった。
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