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米国から30年遅れでも確かな前進 女子ゴルフツアーに“スポンサー付き託児所”ができた大きな意味
子どもが楽しく遊ぶすぐそばで集中して仕事をし、子どもに何かあればすぐに駆け付けることができる――子育てには理想的な環境整備に向けて、ようやく日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が第一歩を踏み出しました。
若林舞衣子に育児と競技について質問する若手は少なくない

若い選手の活躍が目立つ最近のJLPGAツアーでは、30歳前後でツアーから離れる選手も増えていますが、同時に、出産してからもツアーで戦い続けたいという選手は増えています。龍之介くんを出産してから2年後の2021年「GMOインターネット・レディース サマンサタバサグローバルカップ」でツアー4勝目を挙げた若林選手に、育児と競技生活について質問しにくる若い選手も少なくないそうです。
これまで、ツアー会場に子どもを連れてくるときには、選手が自分で家族やシッターさんなど子どものケアをしてくれる人を連れてくる必要がありました。それができても、クラブハウスに子どものいるスペースがあることは少なく、おむつを替える場所を毎回探さなくてはならないような状況でした。
今回のプロジェクトが軌道に乗り、すべての試合で託児所が設置されるようになれば、出産後もプレーしようという選手は増えることでしょう。ツアーを転戦するプロの生活は、週に1、2日しか自宅にいられない厳しいものです。かわいい盛りの子どもを置いてくるのではなく、試合に連れてくることが可能になれば、可能性はもっと広がるでしょう。
高いハードルを乗り越えて試合に子ども連れで来ている選手の周りには、大勢の選手が常にやってきて笑顔で子どもを構う、というシーンが珍しくありませんでした。できれば自分も、と考える選手は多いはずです。
「利用者が多ければ『(託児所を)やってください』と言いやすいですが、少ないと自分のためにお願いしているようになってしまうので、試合に出ている人だけでなく会員はみんな使えるようになるといいですね。若い子たちも子育てしながらプレーできる環境ができれば『やっていけるな』と感じてくれるでしょう」と若林選手は言います。
米ツアーでは、練習日から長時間の託児体制が整い、毎週、同じスタッフが同じように子どもたちのケアをしてくれています。言ってみれば移動保育園のような形で、子どもたちもなじみやすくなっています。選手以外にもスタッフの子どもが預けられることもあるようです。30年近く続いたプロジェクトとあって、“ここで育った”子どもたちはたくさんいます。
米国では男子ツアーでも託児所は設置されており、会場に来た奥さんを始めとする家族は子どもを預けて応援できる状況がずいぶん前から整っていました。
30年近く遅れてようやく始まった日本の女子ツアーでの託児所開設。“初めの一歩”を踏み出したのは大きな意味を持っています。今後しっかり根付けば、選手、そしてツアーの幅は広がっていくことでしょう。
トーナメント会場に子どもたちの笑顔があふれ、その中には選手の子どももいて、仕事を終えたママとすぐに会える――。生涯スポーツであるゴルフを象徴するような光景が広がるようになれば“観るスポーツ”としてのゴルフの可能性も広がっていくに違いありません。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
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