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- 「アメリカの試合で優勝!」→納税先ってどこ? 世界各国を転戦するプロゴルファーの税金事情とは
プロゴルファーの多くは個人事業主のため、自分で確定申告を行い税金を納めなければなりません。試合で獲得した賞金ももちろん課税の対象。国内のみならず、世界中を転戦するプロゴルファーの税金事情とは。
ポイントとなるのはプレーヤーの居住地
松山英樹がジェネシス招待で約2年ぶりのPGAツアー優勝を果たしました。今季から同ツアーに参戦している久常涼もザ・アメリカンエキスプレスで11位タイに入るなど上々の滑り出しを見せています。
また、2月29日に開幕する国内女子ツアーに先駆け、米女子ツアーはすでに2試合を消化。日本勢からは古江彩佳、畑岡奈紗、笹生優花らおなじみのメンバーに加え、今季は西郷真央、吉田優利、稲見萌寧の3人が新たに参戦を表明しています。
そのほか、近年目覚ましい活躍を見せている山下美夢有、岩井明愛・千怜の双子姉妹ら国内のトッププレーヤーたちも主戦場を日本に据えつつ、賞金総額175億円を超えるビッグトーナメントへのスポット参戦もシーズン中には予想されるでしょう。
そこで気になるのが、獲得賞金の納税先。国内に限らず海外の試合に参戦して賞金を稼ぐこともあるプロゴルファーですが、その場合の税金の納め先はどこになるのでしょうか。
アメリカの大手会計事務所に在籍していた経験を持つリソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社 日本/韓国カントリー・マネージャーの島田嗣仁さんに話を聞きました。

Q.日本人選手がアメリカの試合で賞金を獲得した場合、税金の納め先はどこになりますか。
島田さん「居住地が国内であれば日本の税務署です。しかし、アメリカの場合は何度もツアー参戦が重なるなどして、過去3年間で183日以上滞在している場合は居住者とみなされます。その場合、税金の支払先はアメリカの税務署になります」
「この“過去3年間で183日以上”に該当するかどうかについては、少々複雑な計算式があります。該当するのは今年(申告する年度)のアメリカに滞在する日数が31日以上あることが前提で、『今年の滞在日数+前年の滞在日数×1/3+前々年の滞在日数×1/6』の合計が183日を超えていると所得税の申告対象者扱いになるのです」
「例えば今年、前年、前々年にそれぞれ120日滞在したと仮定します。上記の計算式に当てはめると120+40+20=180日となり、過去3年間で183日に満たないので非居住者とみなされます。つまり、所得税の申告対象となりません」
Q.居住地が国内の日本人選手がアメリカの試合に“スポット”で参戦して賞金を獲得した場合は?
島田さん「スポット参戦で仮に入国から出国までを1週間~10日と想定すると、そのような短期間では居住者とはみなされません。そのため、税金の支払先は日本国内の税務署です」
Q.居住地がアメリカの日本人選手は、日本に全く税金を納めなくてもOKなのでしょうか。
島田さん「住民税は住民票を国内からなくし、非居住者となればかかりません。ちなみに、アメリカは連邦税と州税に分かれますが、プロゴルファーが多いフロリダは州税がないもののカリフォルニア州では8.75%がかかります」
「所得税も海外の試合で得た収入に関して日本ではかかりません。一方で、日本の試合にスポットで出場した場合、所得税は課税されます。ただ、日米間では二重課税を回避すべく外国税額控除制度を設けており、居住地国での課税に際しては相手国で課された税額の全額または一部控除が認められます」
Q.タイガー・ウッズをはじめ、プロゴルファーがフロリダに居を構えるケースが多いのは上記の税制優遇があるからと考えられるのでしょうか。
島田さん「優遇税制があるからだと考えられますが、一年中ゴルフが練習できる気候であったり、大きな空港も近くにあったりと理由はそれ以外にもあるでしょう。ちなみに、マイアミやボカラトンなどフロリダ州南部は、高額所得者がリタイアして移住しているケースも多く、生活水準は高いもののそこまで物価が高くないところも人気を集めている理由の一つです。このあたりはプロゴルファーに限った話ではありませんが」
Q.アメリカでは過去3年間、183日以上の滞在で居住者とみなされますが、残りを日本で生活している場合は両方の国に税金を納めることになるのでしょうか。
島田さん「日本での住民税は1月1日が課税基準日で、法的に非居住者であれば課税されません。所得税は日本で収入を得た全額が日本での課税対象です。アメリカでの所得税は連邦税と州税として日本国内での所得も課税対象です」
プロゴルファーは多額の経費も発生する
ちなみに、昨季の国内女子ツアーで最も優勝賞金が高額だったのは「アース・モンダミンカップ」の5400万円。もちろん、この金額が丸々手元に残るわけではありませんが、1試合に勝つだけでこれだけの賞金を手にすることができると考えると「やっぱりプロゴルファーはうらやましい……」と思う人も多くいるでしょう。
しかし、個人事業主であるプロゴルファーは試合へ出場するたびにエントリーフィー、遠征費、キャディーへの報酬などさまざまな経費が発生するのです。
これらに加えて多額の税金を納めなければならないと考えると、プロゴルファーは試合で結果を出し続ける実力がないと生き残るのが難しい本当に厳しい職業。一見、華やかに見える世界でも、ツアー参戦だけで生活できる選手はトップのほんの一握りであると言えそうです。
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