ゴルフの上達速度は人と比べないほうがいい
ゴルフを始めると、上達につながるさまざまな情報をインターネットで検索するようになります。そうすると、自分が知りたいこととは関係ない広告が次々と表示されるようになります。
「5ラウンド以内に100切り達成」とか、「たった2カ月で100切り」とか、「ゴルフ歴1年で70台に到達」など、いろんな広告が目に飛び込んできます。
しかし、これらの広告はゴルフの上達のためにお金と時間をそれなりに投資できる人たちを対象にしています。ゴルフを始めて2か月で100を切らなければいけないわけではありませんし、1年で70台に到達する人なんてほんのひと握りです。こういった広告を気にする必要はありません。
ゴルフを教える人たちの多くは、子どものころにゴルフを始めています。ジュニア時代からゴルフをしている人たちと、大人になってから始めた人では、上達速度やスイングの再現性、ショットの精度もまったく別物です。
大人になってからゴルフを始めて短期間で上達した人たちも、よくよく話を聞いてみると学生時代に他のスポーツで全国大会に出場した経験があったりします。普通に考えれば、野球未経験者が大人になってから野球を始めても、バットにボールが全然当たらなかったり、相手のグローブ目がけてボールを投げても全然違うところに飛んでいったりします。それと同じことがゴルフでも起こるのです。
ゴルフ未経験者は止まっているボールにクラブのヘッドが当たらず右往左往します。最初のうちは空振りもしますし、ようやくヘッドに当たってもダフったりトップしたりでボールがキレイに飛びません。練習場のマットの上でもそんな状態ですから、ゴルフ場でも上手に打てるわけがありません。ゴルフを始めたばかりの人は、初ラウンドのスコアが144(ダブルパーペース)かそれ以上のスコアでスタートします。
そこからトリプルボギーペースの126、ダブルボギーペースの108、ボギーペースの90、パープレーの72とステップアップしていければいいのですが、大人になってからゴルフを始めてパープレーに到達する人なんてほとんどいません。多くの人が90から108の間を行ったり来たりしています。
ゴルフの上達が早い人の話は参考にならないことが多い
でも、実際にゴルフを始めると、ゴルフの上達が早かった人たちや、いいスコアで回れる人たちがやたらとマウントを取りたがります。
そういう人たちは上手に打てない人の気持ちが正直なところ分かっていません。彼らが使う「ダフり」「トップ」は、100ヤード打とうと思ったショットがダフって90ヤードしか飛ばなかったり、トップして110ヤード飛んでしまったりすることです。ビギナーのように100ヤード打とうと思ったショットがダフって10ヤードしか飛ばなかったり、トップして地をはうようなゴロになったりすることはありません。
筆者は以前、あるプロゴルファーから聞いたセリフで強烈に印象に残っているフレーズがあります。
「ゴルフでシングルハンディー(ハンディーキャップ9以下)になる人の9割は始めて2年以内でそのレベルに到達します。ですから、ゴルフを始めて2年以内に到達しなければ、シングルハンディーになれる確率は極めて低いということになります」
プロが言うのですから、実際その通りなのでしょう。しかしながら、大人になってからゴルフを始め、なかなか上達しない人間の立場から言わせてもらうと、次のように感じます。
「だからなんなの?」「ゴルフを始めたらシングルを目指さなきゃいけないの?」「シングルになれない人間はゴルフをする資格がないの?」
大人になってからゴルフを始めたアマチュアゴルファーは、上達の早さを競うのではなく、上達の遅さを楽しむ特権があると考えたほうが、焦りや悩みが生じにくくなります。