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- 球が2つの障害にかかる場合どうする? “2段階救済”を知ってれば“お得なライ”を選べるかも!?
R&A発行の「ゴルフ規則のオフィシャルガイド」(日本語版)に、規則16.1/3 「2つの状態による障害が存在する場合、プレーヤーはどちらの状態から救済を受けるか選ぶことができる」という解説が掲載されています。これはどういうケースで適用できる救済処置なのでしょうか?
救済の順番次第でドロップ地点は大きく変わる
R&A発行の「ゴルフ規則のオフィシャルガイド」(日本語版)に、規則16.1/3 「2つの状態による障害が存在する場合、プレーヤーはどちらの状態から救済を受けるか選ぶことができる」という解説が掲載されています。これはどういうケースで適用できる救済処置なのでしょうか? 競技ゴルフのプレーヤーには知っておいて損のない処置です。確認しておきましょう。

例えば、フェアウェイに水が浮いている、つまりルール上の「一時的な水」の障害が発生したコース状況のなか、プレーヤーのボールが雨水の集まる排水溝のフタの上に止まったとします。
このときプレーヤーは、排水溝のフタという「動かせない障害物」による障害と、「一時的な水」のなかにスタンスがかかる「異常なコース状態」の2つの状態による障害が発生したことになります。
一般のレジャーゴルファーであれば、迷わず大きく広がる「一時的な水」からの救済を選択するでしょう。つまり、ボールが止まった箇所から最も近く、かつホールに近づかない、「一時的な水」による障害を避けられる地点=「完全な救済のニヤレストポイント」を決め、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップすることになります。
しかし、競技ゴルフのベテランは、もう一つの選択肢を“計算”するかも知れません。
それは、排水溝のフタという「動かせない障害物」からの救済です。先にその障害を避けられる「完全な救済のニヤレストポイント」を決定し、そこを基点にホールに近づかない1クラブレングスの「救済エリア」にドロップするのです。しかし、その「救済エリア」は排水溝の周囲なので、たいていは水が浮いているでしょうから、そこからあらためて「一時的な水」からの救済処置を行うことになります。
救済のドロップを2度行うのは面倒ですが、その代わり2カ所の「救済エリア」から実際にドロップする地点を選択できることになります。つまり、より有利――つまり、より芝の状況の良い、ストロークしやすいライを選択できるかも知れないのです。
同時に2つの状態による障害が発生したとき、どちらの救済を先に選択するかでドロップ地点が大きく変わる可能性があります。競技プレーヤーは、頭のなかに入れておくといいでしょう。
今年のPGAツアーでこんなスマートな救済が
今年のPGAツアー「ファーマーズインシュランスオープン」最終日。優勝争いに加わり最終的に3位タイになったステファン・イエーガーは、14番パー4でティーショットを大きく右に曲げてしまいます。ボールはホールと並行して走るカート道路のすぐ右横(ラフ側)のマンホールのフタの上に止まっていました。その奥はより密集した深いラフが広がっています。
そこからイエーガーはマンホールのフタによる障害からの救済を選択すると思われたのですが、彼はそうはせず、競技委員を呼んで何事か話し合うシーンがテレビの中継画面に映し出されました。そしてその様子を見た解説者が「彼はルールをよく知っていますね」とコメントしたのです。
その後、イエーガーが行った救済の過程は逐一中継されることはありませんでしたが、どうやら彼はマンホールのフタからの救済ではなく、アドレス(次に使用するクラブでアドレス)したときスタンスがカート道路にかかることを確認。そのうえで、その障害からの救済を選択しました。
結果、「完全な救済のニヤレストポイント」はマンホールのフタのすぐ右横で、スタンスはマンホールのフタの上となったのですが、ニヤレストポイントの辺り(=マンホールのフタの周囲)は芝が踏まれるためでしょう、周りと比べてラフは浅く(一部は枯れている)、ストロークしやすい状況でした。一方、先にマンホールのフタからの救済を選択した場合、その「完全な救済のニヤレストポイント」はラフの深い箇所になったはずです。
イエーガーは「救済エリア」内の状況の良い箇所にドロップ。そして、そこから――マンホールのフタの上にスタンスして――放った第2打をグリーン手前の花道まで運ぶことができたのです。ルールの熟知は身を助ける。その好例でした。
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