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LED照明で夏ゴルフはナイターがスタンダードに!? 国内最高気温を出した市原で猛暑対策の体験会 参加者は無事だった?
7月23日に39度の国内最高気温を記録した千葉県市原市でゴルフ場の猛暑対策を体験する勉強会が開かれました。場所はナイターゴルフが人気のムーンレイクゴルフクラブ市原コース。ナイターは今後、夏ゴルフのスタンダードになっていくのでしょうか。
韓国ではナイターゴルフのほうが料金が高いケースも
気温39度。気象庁によれば、2024年7月23日に日本で一番暑かったのは千葉県市原市でした。
この日、日本列島は高気圧に覆われ、全国914の観測地点のうち256地点で35度以上の猛暑日を記録しました。その中で最高気温を記録したのが、市原市だったわけです。
その市原市で興味深い体験会が開かれました。同市内の新生にあるPGMグループの「ムーンレイクゴルフクラブ市原コース」で日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)が「熱中症予防」をテーマに掲げた勉強会を開催。日頃からゴルフ関係の取材現場で活躍するジャーナリストら各所で活躍するメンバーたちが、LEDメーカーのトップとナイターゴルフを実施しているゴルフ場関係者に登壇を要請。ナイターゴルフ市場の実態を聞き、実際に熱中症対策を講じて9ホールのナイターゴルフを体験しようという試みです。
会場ではLED照明メーカーである(株)スリーエスの櫻木邦善会長からナイターゴルフが急速に普及している韓国の事情が説明されました。「韓国では弊社の提携会社が600コースのうち88カ所のゴルフ場にナイター設備を導入しています。全体で100コースくらいにナイターが導入されていますから、日本の約7倍にあたります。韓国の場合、電気料金が日本の約半分ですから」。ゴルフ人口も多く、ゴルフ場の数が不足している現実も、韓国でのナイターゴルフ普及に拍車をかけているとのことですが、日本の場合は地球温暖化により夜へのシフトが進みそうです。
日本は2100コースあまりのゴルフ場がありながら18ホールすべてのナイター設備は15コースですが、今後の伸びしろは相当ありそうです。日本もスポーツ環境が気候変動によっていろいろ変わってきています。昼間の炎天下でやる野外スポーツはだんだんなくなっていくでしょう。
そんな状況を踏まえて、桜木会長はこう予想を口にします。
「野球にしても、サッカーにしても、朝早くか、夜の少しでも太陽が落ちた後のプレーということでナイター施設が盛んになっていく。韓国では『ナイター設備を入れることによって昼間に入る入場者数を夜にシフトさせ、キャディーを入れて夜の料金の方が高く取れるようになり、収益率が非常に上がっている』という話を今回行った時に聞いたんです」
18ホールでポール100本程度のナイター設備を導入する場合のコストは「地形によってですが、普通に予定できるような4億から5億円くらいで18ホール全部やって、満足いく光を提供します」と明言。景観を大事にするコースではナイター時のみ遠隔でポールが上昇する昇降ポールも開発したことも付け加えました。
女性の比率は日中の15%から19%に跳ね上がる
続けてムーンレイクGC市原Cの滝口和祐支配人とPGMの須賀隆マーケティンググループ・グループ長から、ナイターゴルフの現状が語られました。
「当クラブは他のクラブに比べてご来場いただいている年齢層が若いんです。10代から30代までは通常のコースで行きますと、だいたい20%強なんですけど、当クラブは37%強。40、50代が41%強、その分60代以降がかなり減りまして、残りの20%強という形になりました(直近1カ月のデータ)」(滝口支配人)
PGMグループ、同コースのデータによると、ナイターゴルフはツーサムの割合が高く、平日の予約は当日に入ることが多いとのこと。予約枠は遅い時間から埋まっていくことが分かります。仕事を終えてからプレーしようとするゴルファーの傾向が見えてきます。日焼けの心配がないことは大きな魅力で、女性の比率は日中の15%から19%に跳ね上がるというのも、その表れでしょう。
18時過ぎからのスタートでしたが、参加者は氷のうやネッククーラー、凍らせたスポーツドリンクなどを用意し、熱中症対策は万全。この時点で暑さのピークは過ぎており、カートでの移動中はCool Cart(送風機付きゴルフカート)が作動し、フェアウェイも風が吹き渡るため汗が噴き出ることはありません。またLEDと自ら光るボールの併用により、ロストボールの心配もほぼありません。光が届かないレッドペナルティーエリアに打ち込み、通常のプレーでは絶対にロストになるケースでも、ボールが自ら光っていたため簡単に見つかることが何度もありました。
プレーもスムーズに進行し、20時台にホールアウト。入浴も午前0時半までできるため、汗を流し、疲れをいやすこともできました。また、ありがたいのは渋滞がないこと。
アクセスに東京湾アクアラインを使う場合。土日祝日は社会実験によるETC特別料金で上り線(木更津→川崎方面)午後1時から8時までが1200円なのに対し、午後8時から12時までが半額の600円と半額になっており、渋滞回避による時間だけでなく、料金的にもお得なことが分かります。コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する若いゴルファーたちには大きなメリットに感じられるでしょう。LED照明の美しさの中でのカジュアルなゴルフの楽しさもあります。年配ゴルファーには、何より熱中症リスクが低いのが魅力なはずです。
猛暑が避けられない日本列島では、これからナイターゴルフのニーズが高まっていくのかもしれません。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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