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- 名変料が220万円から550万円に上昇したところも… 値上がりが続く2024年上半期のゴルフ場では何が起こっている?
コロナ禍以降、上昇傾向にあったゴルフ会員権の取引価格はここのところ落ち着きをみせていますが、全体的な品薄傾向は続いているといいます。2024年上半期、ゴルフ場ではどのような動きが見られたのでしょうか。専門家に聞いてみました。
プレー代も昼食代、年会費も名変料も… ゴルフ場は値上げのラッシュ
コロナ禍以降、活気を取り戻したゴルフ会員権市場。過熱傾向にあった取引価格もここのところ一段落したとはいえ、依然として人気コースの会員権は品薄傾向が続いているといいます。
コロナ禍を境にゴルフを継続的に楽しみたいと考える新たな層も加わり、バブル期以来の活況をみせるゴルフ業界ですが、その一方、「ゴルフに行きたいけど、何もかも高過ぎてムリ……」というゴルファーの声も聞きます。
今年の上半期、ゴルフ場ではどのような動きが見られたのでしょうか。ここ10年、年間200回を超えるラウンドを楽しみ、四半世紀に渡ってゴルフ会員権を専門に扱ってきた加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さんに話を聞いてみました。
「プレー代も昼食代も本当に上がりましたね。何から何まで値上げですもん。ゴルフしたい気持ちを抑えなきゃいけない方が出てきても不思議じゃないと思います」
「さらに“上げるなら今!”とばかりに、年会費や名変料を上げるゴルフ場が増えているのも事実なんです」と前田さん。
「1~2万円程度の金額をさりげなく上げてくるゴルフ場が多いのですが、例えば今年9月に日本女子オープンが行われる大利根カントリークラブ(茨城県)では、2025年4月から年会費が大幅にアップします」
現在、大利根CC正会員の年会費は6万6000円(税込み)。格式のあるゴルフ場としては、かなり良心的な金額設定であったように思われますが……。
「そうですね。それが来年4月から13万2000円(税込み)に改定されるという発表が先日ありました。一気に倍ですよ! 前回の改定は2004年4月に行われましたので、今回は21年ぶりということになりますが、この大幅アップにはさすがに私も驚きました」
ほかのゴルフ場の年会費にも、このような大幅アップがみられるのでしょうか。
「葛城ゴルフ倶楽部(静岡県)は、24年4月に年会費を大きく改定しました。以前は静岡県内の正会員が4万4000円(税込み)、県外の正会員が3万3000円(税込み)だったのですが、これらを一律11万円に上げました。実に2倍以上のアップですからね。県外会員への優遇がなくなり、シンプルでわかりやすくなったという見方もできますが、この増額には正直驚きましたね」
名義書換時に必要となる名変料も値上げするゴルフ場が増加
会員制ゴルフ場の年会費増額には目を見張るものがありますが、名変料も負けてはいません。
名変料は、ゴルフ会員権の購入時に入会希望者が名義変更関連の事務手続きにかかる費用としてゴルフ場に納めるものですが、実質的にはゴルフ場にとって大事な運営資金となっているケースがほとんどです。
この「名変料もどんどん上がっています」と前田さん。
「以前もこのコラムで触れたことがありますが、コロナを機にゴルフ人気が高まるなか、2022年には浜野ゴルフクラブ(千葉県)や我孫子ゴルフ倶楽部(千葉県)、嵐山カントリークラブ(埼玉県)など、都心から比較的アクセスのよい名門が、こぞって名変料を上げました」
「ゴルフ場はどこもコロナ禍前を上回る活況で、会員制ゴルフ場では“メンバーにも関わらず予約が取りにくい”といった状況に陥りました。あちらこちらで不満の声が聞かれるようになったのも、ちょうどこのころです。会員制ゴルフ場には、このあたりの困った状況を打開する策を練る必要があったのではないかと、僕は推測しています」
「会員権の売買を例に考えてみましょう。単純に考えると、まず会員権を手放す人というのは、ゴルフ場にほとんど行かなくなってしまった人ですよね。もう行かないから必要ないので売りに出すわけです」
「次に買う人。ゴルフの素晴らしさに魅了されて、とにかくゴルフ場に行きたい人が買います。僕の経験からいうと、会員権を購入した方は1年目にとにかく行きまくります。人にもよりますが、だいたい3年目ぐらいまでは、しょっちゅうゴルフ場に足を運びます」
「つまり活発に会員権売買が行われるゴルフ場は全体としての会員数が同じでも、いわゆるスリーピングメンバーが減り、週イチでプレーを楽しむような熱心なプレーヤーが増えるわけです。こうなると俄然予約が取りにくくなり、メンバーさんたちから文句が出始めることも考えられるのではないでしょうか」
確かに、けっして安いとはいえない金額を支払ってせっかく会員になったのに、思うように予約が取れないというのは問題です。会員からのクレームはできるだけ避けたいという心理がゴルフ場側に働くのは当たり前で、名門ともなれば、なおさらでしょう。
「そうなんです。では、ゴルフ場の収支をできるだけ変えずにクレームを減らすにはどうしたらいいと思いますか? ここで『名変料を上げよう』とゴルフ場が考えたとしても、僕は不思議ではないと思うんです」と、前田さん。
「名変料が大幅に上がれば心理的に買いにくくなりますから、買う人は確実に減ります。新規の会員数が抑えられれば予約が取りやすくなるはずなので、ゴルフ場側としては予約が取れないというクレームに頭を悩ませることは少なくなります」
「仮に名変料を上げたことで名変件数が半分に減ったとしても、倍に上げれば収支自体は変えずに人の流れを安定させることができるわけですね。名変料を上げるゴルフ場が後を絶たないのは、こういった事情があるのではないかと個人的には思うのです」
物価高によるモノやサービスの価格上昇などを受けてプレー代や食事代がアップし続ける昨今。経済的理由以外にも、会員制ゴルフ場の年会費や名変料が上がり続ける背景には、ゴルフ場側の裏事情が関係しているケースが少なからずあるのかもしれません。
【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん
ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。ここ10年は、2日に1回の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人(2023年は年間219回!)。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。
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