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- オリンピックにはあるのになぜ? 「パラリンピック」でゴルフが実現しない一筋縄ではいかない事情
現在開催中のパリパラリンピック。人間が持つ無限の可能性を見せてくれるパラアスリートたちのプレーには、オリンピックとはまた違った凄みを感じます。しかし、残念ながらゴルフ競技は行われていません。オリンピックでは行われているのに、なぜなのでしょうか。
アメリカとヨーロッパで競技方法が違う
パリパラリンピックが佳境を迎えています。鍛え抜かれたアスリートがプレーする素晴らしさ、人間が持つ無限の可能性など多くの感動を生んでいますが、残念ながらゴルフはその種目に入っていません。
オリンピックに関しては、普及のためにゴルフを正式種目にしようとR&AとUSGAを中心に世界のゴルフ団体が集結。それまでアマチュアの団体だったWAGC(World Amateur Golf Council)をIGF(International Golf Federation)に発展的改組し、ゴルフのインターナショナルフェデレーション(IF)として統括、ロビー活動を繰り広げました。その結果、2016年のリオ大会で112年ぶりに正式種目として復活。東京、パリを経て28年のロサンゼルス大会までは五輪で行われることが決まっています。
けれども、パラリンピックについては、前進していないわけではありませんが、なかなか話が進んでいないのが現実です。IGFが障害者ゴルフに関してもIF(International Federation)となってはいるものの、リオ、東京、パリ、そして28年ロサンゼルスと、いずれも競技として採用されていません。
その事情について日本障害者ゴルフ協会(DGA)の松田治子代表はこう話します。
「パラリンピック種目として採用されるにはIFであるIGF主催の世界選手権を行う必要があるのですが、アメリカとヨーロッパで競技方法が違っているので、なかなか開催できない。五大陸全体に競技人口がいるわけでもないし、女性(プレーヤー)の割合が少ないこともあるのではないでしょうか。それでも、USGA(米国)やR&A(英国)がそれぞれ障害者ゴルフの大会を行うなど、以前よりはだいぶ進んでいるのですが……」
JGAにも障害者ゴルフ部門があるわけではない
IFであるIGFがオリンピックだけで手いっぱいという様子もあちこちから伝わって来ます。
日本のゴルフ統括団体、日本ゴルフ協会(JGA)も、障害者ゴルフに目を向けてはいますが、こちらも組織にその部門があるわけではありません。山中博史専務理事によれば、「パラリンピックはとにかく、ゴルフ振興の一つとして、障害者のみなさんにも楽しんでいただくことは必要だと思っています。ただ、競技人口が圧倒的に少ないこともあり、正直、JGAに人的余裕がありません。大会に競技委員を派遣したり、世界ランキングのためにサポートレターを出すなど、できる限りの協力はしています。もちろんパラリンピック種目となれば、NFとしてやるべきことはしますが」と、歯切れがよくありません。
トップアスリートの活躍がスポーツの普及に大きく貢献することはまちがいありませんが、参入のハードルを下げ、裾野を広げることもとても大切です。障害者スポーツにおいても、それは変わらないはずです。
パラリンピック種目として採用される努力と同時に、なぜ競技人口が少ないのかを改めて考え、それを克服する必要があるのではないでしょうか。スポーツの持つ力を最大限に生かし、人々に自信と笑顔を。さまざまな方向からその努力をすることが、いま、必要とされています。
取材・文/小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
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