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菅沼菜々が「ほんとにさびしい」と何度も… “都民が愛したゴルフ場”が巨大物流拠点に 市の水道水100%まかなう地下水への影響も?
プロゴルファーの菅沼菜々(すがぬま・なな)は昨年12月に「我らの昭和の森が壊されてる」「今年1番ショックだ」との嘆きを自身のXに投稿しました。練習場だけでなく18ホールのパブリックコースも併設した東京都昭島市の「昭和の森」は昨年の10月に閉鎖され、跡地には巨大物流拠点が建設されることが決まっています。
「我らの昭和の森が壊されてる」「今年1番ショックだ」
プロゴルファーの菅沼奈々選手にとって、「昭和の森」(東京都昭島市)は特別な場所です。
「さびしいです。ほんとにさびしい。(昭和の森の)横を通ると(跡地には)メチャメチャ草生えてるし……。父と一生懸命練習していた、いっぱいいろんなことのあった練習場です」
練習場だけでなく18ホールのパブリックコースも併設した菅沼選手の「特別な場所」は昨年の10月に閉鎖され、跡地には巨大物流拠点が建設されることが決まっています。菅沼選手は昨年12月に昭和の森の解体が始まっている様を目にし、「我らの昭和の森が壊されてる」「今年1番ショックだ」との嘆きを自身のXに投稿しました。
「中1くらいの時、それまで私を怒ったことがない父に(初めて)怒られたことがあるんです。たぶん私の態度が悪かったからだと思うんですけど、『帰れ!』って言われて、私もホントにキャディーバッグ担いで歩いて帰っちゃって。(家まで)歩いたら遠いんです。途中で父が車で追いついて。『そういうことじゃない』って言われたりして。他にもいろんなことがありました。(昭和の森がなくなったのは)仕方ないことですけど、ほんとにさびしい」と、先述の投稿から1年が経過した現在も癒えることのない胸中を吐露してくれました。
切ない思いにかられているのはプロゴルファーだけではありません。働いていたスタッフの思いも深いものがあります。昭和の森ゴルフ練習場で、インストラクターを7年に渡って務めたAさんもその一人。
「今も思い出すのは、朝の風景です。玄関前にたくさんの開場を待つお客様のキャディーバッグが並んでいて、寒い日は、皆さんコンビニで購入した温かいコーヒーを飲みながら、そこで談笑していました。その雰囲気が伝わってきて、こちらもなんだかホッとするんですよね」
開場とともに「いつもお決まりの打席を確保する、朝イチのお客様」もいました。「お昼ご飯までの日課と思われる」(Aさん)。こうした常連さんを筆頭に「朝の顔」が練習場には並んでいたわけです。
そんなAさんには、今も耳の奥によみがえる「昭和の森の日常」の音があると言います。
「勇ましく飛んでいくゴルフボールが発する打球音と、ボールを販売機まで送る送球コンベアーの『ガタガタガタ』という絶え間ない音、それに『ピンポーン』入場者を知らせる音」と次々に挙げてから、さらにこう続けました。
「夕方になると思い出すのが、17時に聞こえてくる横田基地からのアメリカ国歌と君が代です。そこにかぶるのが横田基地から飛び立つオスプレイや戦闘機、輸送機の爆音。そして、まぶたの奥に浮かんでくるのが、沈みかける夕日が作る夕焼けと富士山のコラボです。ここで時間と、お金と、熱のこもったゴルフ愛を落としていったお客様たちは、いまどこへ行ってしまったんでしょうかねえ」とため息をつきました。
ゴルフコースにもAさんの思い出は尽きません。
「春には随所に桜が咲き誇り、クラブハウス周りの巨大な金木犀の香りも忘れられません。夏至前の日が長い季節、朝の4時ごろに明るくなると思い出すのが、早朝プレーに並んでいた(3時半~4時ごろ)たくさんのお客様。逆に冬が近づき、日没が早くなってくると照明が点いていた明るいコース周辺の風景も、この時期になると思い出しますね」
Aさんはコースレッスンも行っていました。「3ホールを終了するとクラブハウス近くに戻ってくるコースセッティングがレッスンには最高のシチュエーションでした。午後2時からの3ホールレッスンは、あまり時間の取れないゴルファーにうってつけのレッスンでした。それも最終組で出て実際の芝から“打ち直しOK”の贅沢なレッスンです。初心者の方、新規ゴルファーを芝に慣れさせて楽しんでいただくには最高のゴルフ場でした」(同)
ゴルフ人口のすそ野を広げる取り組みが可能だった、貴重な施設がまた一つ失われたわけです。
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