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菅沼菜々が「ほんとにさびしい」と何度も… “都民が愛したゴルフ場”が巨大物流拠点に 市の水道水100%まかなう地下水への影響も?
プロゴルファーの菅沼菜々(すがぬま・なな)は昨年12月に「我らの昭和の森が壊されてる」「今年1番ショックだ」との嘆きを自身のXに投稿しました。練習場だけでなく18ホールのパブリックコースも併設した東京都昭島市の「昭和の森」は昨年の10月に閉鎖され、跡地には巨大物流拠点が建設されることが決まっています。
住民の反対運動により当初予定の24年4月着工は大幅にずれ込み
SDGsの取り組みの面でもゴルフ場の役割は小さくありません。今や生物多様性の宝庫でもあります。昭和の森も同様です。日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事は次のように指摘します。
「ただただ都市が発展していくのがいいのかっていうと、そうでもない。昭和の森だけじゃなくて、神戸市営の神戸西ゴルフ場がやっぱり物流センターに変わる。これもインターチェンジのすぐそばにあるゴルフ場なんですけどね。今は地球温暖化だけじゃなく、日本の社会の中で“里山資本主義”が語られる時代じゃないですか」

「昭島巨大物流センターを考える会」の共同代表を務める長谷川博之さんは、次のように語ります。
「昭和の森のゴルフ場自体には芝地以外に4871本もの樹木が存在し、CO2の吸収、雨水の浸透のほか、オオタカやアナグマに狩り場や移動経路を提供しています。開発予定地の北側を東西に流れる玉川上水の樹木や草花に、日照や風の好条件を提供しているのもゴルフ場で、隣接する代官山緑地も野鳥の宝庫となっています」
「開発予定地の中心に位置する4.4haの代官山緑地に対しては、緩衝地帯の役割を果たしてきました。夏鳥や冬鳥の奥多摩山地との渡りの中継地点にもなっており、東京都のレッドデータブック(絶滅の恐れのある野生生物についてまとめた資料集)の掲載種の草花も生息し、玉川上水の開発隣接区間にはゲンジボタルが高密度で復活もしています」と現状を指摘してから、こう続けました。
「ゴルフ場がコンクリートで覆われてしまうことで、雨水が地下に浸透しなくなります。昭島は豊富な地下水で水道水100%をまかなう『水と緑のまち』をうたっていますが、(工事計画では)杭を帯水層(地下水が蓄えられている地層)のすぐ上まで打ち込むんです。また下水道が未整備であることも不安材料です。生物多様性に対する行政や企業の理解が足りないことで、守るべきことが無視され続けてきたんです」
この連載で取り上げた「やくらいサイズゴルフ倶楽部」(宮城県)や「月夜野カントリークラブ」(群馬県・すでに閉場)も、オオタカなどへの影響が心配されています。しかも「昭島の巨大物流・データセンターが完成すると往復1万1600台の交通量増加が予想され」(長谷川さん)、通学路の安全確保や騒音や渋滞に対する不安も広がっています。
住民の反対運動の甲斐あって、当初予定されていた2024年4月の着工は大幅にずれ込み、12月12日現在、最初のステップである「環境影響評価書」の提出も大きく遅れています。造成前の関係住民に対する説明会も行われていません。
ゴルフ場は日を追うごとに雑草に覆われ、すでに回復不能な状態へと突き進んでいます。このような放置状態が続くくらいなら、閉場を遅らせることもできたのではないか、というのは昭和の森を愛した人々の偽らざる本音です。菅沼選手やAさんが、金網越しに見ている現在のゴルフ場の姿に胸を締めつけられるのも無理はないのです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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