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- 「平均スコア100」は厳密ルールでプレーしたら「120オーバー」!? それって苦行じゃないの?/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
「ゴルフはスポーツか? それともレジャーか?」――600万人ともいわれるゴルファーのなかでは見解はさまざまだと思いますが、あなたはどう考えますか? ゴルフを筆頭に、平成~令和の日本を縦横無尽に遊び尽くしてきたコラムニストの木村和久氏が、浅いのか深いのかよく分からないこの問いを考察していきます。
少なくとも「レジャー>スポーツ」であることは確か!?
最近のゴルフは、大衆化&カジュアル化の動きが顕著になっています。だからゴルフをスポーツとして捉えるより、レジャーとして見ても良いのではないでしょうか?

そんなことを書くと、名門倶楽部のエラい人達に「けしからん、ゴルフは英国伝来の紳士のスポーツに決まっているだろう」とお叱りを受けるかもしれません。
ゴルフをどう捉えるべきか? ここに参考になる刊行物があるので紹介します。それは毎年、国民の余暇を調査している「レジャー白書」(日本生産性本部)です。そこでゴルフはスポーツ部門に入ってます。
つまりゴルフなどのスポーツは、そもそもの前提がレジャーで、そのカテゴリーの一つがスポーツなのです。
ついでに「レジャー白書2024年版」のゴルフ欄を見ると、面白いことが分かります。
調査結果によると、ゴルフの参加率は全体の5.4%と出ています。野球や卓球などと並んで、競技スポーツの上位に君臨しているのです。
今、日本のゴルフ人口は600万人程といわれており、参加率5%台という数字は、日本の総人口1億2000万人台と照らし合わせても合致します。
興味深いのは、ゴルファーの活動回数が年17.3ラウンド、練習回数が21.2回と出ていること。練習とラウンドに費やしたお金のトータルは、年間約19万9000円だそうです。1ラウンド平均1万円弱は、平日とたまの土日ラウンド代を足せば、その数字が出ると納得できます。
サラリーマンは月イチゴルファーが多いと言われますが、そういう人達がいるなか、毎週ラウンドしている自営業者の方も結構いて、平均ラウンド数を押し上げているのでしょう。
それでも練習回数の方がラウンド回数より多いのが面白いです。それだけ新たに参入した人がいるということでしょうか。
スキーはただ滑り降りるだけで楽しいのにゴルフは…
それでは、ゴルフがどれぐらい気軽に楽しめるレジャーか考えてみましょう。
例えばスキー&スノボは、単に上から滑ってくるだけで楽しいじゃないですか。初心者がボーゲンを覚えるのに1~2日かかりますかね。それがしんどい方は、ソリ遊びだけして雪とたわむれても楽しいものです。
一方ゴルフは、適当に打ってる分には面白いですが、スコアを出さなければならない。そこでトリプル以上のスコアばかりになると、そのスコアが自分の評価になり、さほど楽しくないのです。
先日、筆者のホームコースである茨城県の扶桑カントリー倶楽部で、メンバーさんとラウンドすることになりました。一人キャンセルが出たため、前から知り合いだったメンバーさんから「空いてる時、気軽に声をかけてください」と言われていたので、参加を要請した次第。
それはいいのだけど、本来のゲストであるアベレージゴルファーのTさんとの板挟みになり、どうしようか戸惑いました。
メンバーさんとは、倶楽部の練習ラウンドルールでプレーをします。つまりノータッチで、「OK」も30センチぐらいの絶対入る距離しか出しません。
ところがアベレージのTさんの場合、いつもは甘めのローカルルールを適用してラウンドをしています。ライが悪いところは、6インチボールを動かして、OKも甘く、叩いたら最大スコアを決めて、ダブルパー以上はカウントしないのです。
まあ、なんとかなるだろうとメンバールールでプレーが進行します。だって初対面のメンバーに、適当なルールでゴルフをやっている姿は見せられませんからね。
その時のプレーは、なぜかこっちは絶好調で6メートルぐらいのパットも入り、80台でラウンドできました。メンバーさんも90ちょいという成績です。
ところがTさんは1メートルのパットも外し、バンカーでは往復ビンタでOBも連発。終わってみればスコア120を超えていました。
Tさんは何度かこのコースに来ていて、その時は105とかでラウンドしているのです。
これはTさんのようなアベレージゴルファーが、きっちりルール通りやると、120オーバーになるという一つの事例といえます。ゴルフ歴30年のTさんとしては、もう少しオマケしてよという気分でしょう。Tさん、すみません、今度改めてローカルルールを使ってラウンドしましょう。
「ゴルフ道」みたいな捉え方もうやめませんか?
こういう話をすると、ズルのススメみたいに聞こえますが、そういう考えを推奨しているのではありません。
ゴルフはまず初めに、レジャーであると。だったらゲストに気持ちよくラウンドしていただくのが筋です。いつか上手になったら、本来のメンバールールでゴルフをすればよろしいのです。
現在、ゴルフ雑誌やネットのゴルフ記事を見るにつけ、ルールやマナーを懇切丁寧に説明するだけで、アベレージゴルファーに優しく接しようとはあまり書かれていない気がします。
過去においてゴルフは柔道や剣道のように、道を極めるべく、ハンディキャップを取り競技に出る、ゴルフ道的部分が多分にありました。
ただ新しい層はレジャー色の強い、スキー&スノボ、キャンプ、テーマパーク、スポーツ観戦のジャンルに入れたがっているようです。
今がゴルフの価値観の大転換期であるのは間違いないです。
というわけで、今後、このコーナーでは様々な観点から、ゴルフのレジャー化のあり方を考えます。楽しみにしててください。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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