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“ドライバー10万円時代”突入! 10年前から“ほぼ2倍”のメーカーも… 少しでも買いやすくするための工夫とは?
大手メーカーが次々と新商品を発表しましたが、最も注目を浴びるドライバーの価格は軒並み、税込み10万円クラスとなっています。さすがに手を出しづらいと感じているゴルファーが多いでしょうが、メーカーは少しでも買いやすくするための工夫も行っているようです。
米国内の値上がりと円安を考えると10万円は妥当!?
2025年の新モデルが各メーカーから次々と発表されています。キャロウェイが1月7日に「ELYTE」(2月7日発売)、テーラーメイドが1月8日に「Qi35」(2月7日発売)、ピンが1月15日に「G440」(2月6日発売)を発表。海外メーカーは新しいコンセプト、機能を押し出したモデルを毎年投入してきており、ゴルファーとしては新しいクラブを試すのが楽しみなところです。

しかし、クラブの価格は年々上昇傾向で、その背景には円安や製造コストの上昇などが大きく影響しています。今年の新商品ドライバーのスタンダードモデルの税込み価格は、キャロウェイ「EYETE」が10万7800円、「Qi35」が9万9000円、ピン「G440」が10万7800円となっています。
前作2024年モデルと比較してみると、メーカーによってバラツキはありますが、3000~1万円近く値上がりしていて、ドライバーは“10万円時代”に突入したといえるでしょう。数年前まで海外メーカーのクラブは国内メーカーの商品より割安という印象がありましたが、円安の影響もあり、そうしたイメージはすっかり消えてしまいました。
例えば10年前後さかのぼってみると、2015年発売のテーラーメイド「M1」は7万7760円(税込み)、14年発売のピン「G30」は5万1840円でした(当時は消費税8%)。これらメーカーの本国である米国内でもクラブは値上がりしており、一昔前までドライバーは499ドルや399ドルすれば高級モデルでしたが、原材料や輸送費の価格上昇で現在は650ドル前後になっています。ドルベースでの値上がりと現在の為替を勘案すると、やはり10万円前後というのは妥当な金額になってきてしまいます。
ハードヒッター向けのシャフトを上乗せなしに
こうした価格の上昇に対して、メーカーや小売店はどのような販売戦略を考えているのでしょうか。
テーラーメイドの新商品発表会でもプレゼンテーションした、テーラーメイドゴルフのハードグッズプロダクト アジア・ディレクター高橋伸忠氏は次のように話します。
「世界的なインフレーションや素材価格の高騰により、ゴルフクラブの製造コストが上昇しています。特に高品質なシャフトやヘッドの開発には、さらにコストがかかります。ゴルフ用品以外の業界でも価格上昇が顕著です。日本市場においても燃料費や他の商品の値上げが続くなか、ゴルフクラブもその影響を受けています。米国市場では、以前は500ドル以下が基準だったドライバーの価格が、現在では600ドルを超えるようになりました。このグローバルな価格動向が日本市場にも波及しています」

テーラーメイドの新商品に関しては税込み9万9000円と「なんとか10万円以下を死守した」という印象を受けます。
「社内の合理化を進め、削れる部分のコストを徹底的に削減することで、価格上昇の幅を抑えています。また、特定の製品で利益率を下げる一方で、他の商品でカバーする戦略を採用しています。消費者が購入しやすい価格帯を維持するため、日本市場に特化した価格設定をしています。新作ドライバーの価格を税込み9万9000円に設定し、『10万円を超えると心理的に嫌だ』という消費者の声を反映しています。また、今まで重量の重い60グラムシャフトをスタンダートで用意していませんでしたが、アップチャージ(上乗せ金額)なしで60グラムシャフトを提供し、多様な選択肢を用意しています。これにより、幅広いニーズに応えつつ、消費者の満足度向上を目指しました」
キャロウェイゴルフのマーケティング・ブランドコミュニケーションズ・セクションマネージャーの原哲史氏にも話を聞きました。
「昨年モデルに比べて価格を1万円上げていますが、要因として円安の影響が一番大きくなっています。米国でも価格が上がっていて、原材料価格上昇の影響もあり、メーカーとして値上げは避けられない状況です。顧客の負担を少しでも減らすための対策として、重量の重い純正シャフトを用意し、アップチャージなしで提供することでハードヒッターにも対応しています。販売店にも値上げは仕方ないと理解していただいています」
とはいえ、その販売サイドは値上げの影響は避けられないと感じているようです。コトブキゴルフ副店長の中島浩司氏は今年の販売戦略について次のように話します。
「円安やコスト上昇が原因であるとメーカーからは説明いただいていますが、小売店としては値上がりが販売に影響する懸念を持っています。特にスタンダードモデルでも10万円を超える価格設定が売りづらさにつながり、消費者が購入を控える可能性があります。今までは発売直後に一つのピークがきていましたが、これからは発売直後は様子見する人が増え、年間を通してフラットに売れていくのではないでしょうか。また、翌年の新モデル情報が出てからの値引き時に売れる傾向になるのではないかと予想しています」
価格と性能のバランスでゴルファーの満足が得られるかどうかが、ドライバー10万円時代にヒット商品を生むカギになりそうです。ゴルフクラブの価格上昇は避けられない現実ですが、価格上昇を超える新商品の性能をゴルファーとしては期待したいところです。
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