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- 女子ツアーのシード選手で「レフティー」はゼロだけど…「左利きは左打ちでゴルフを覚えた方が絶対にいい」って本当?
ゴルフは左打ち(レフティー)が有利に働くことはほとんどないので、他のスポーツに比べてレフティーの割合は少ないです。しかし最近は以前に比べるとレフティーのゴルファーを見かけるようになってきました。
日本人の10人に1人は左利きなのに左打ちのプロゴルファーは少ない
ゴルフは他のスポーツに比べて、道具や練習場所に制限が多いなどの理由で左打ち(レフティー)の人は少ない傾向にあります。しかし近年は、以前に比べると著名人などにもレフティーの人が増えてきたようなのです。

小学生の息子と娘の学校公開(授業参観)に行ったとき、あることに気づきました。1クラスに3人くらいの割合で、鉛筆を左手に持っている子がいたのです。今の小学校は1クラスの定員上限が35人ですから、子どもたちのおよそ10人に1人が左利きということになります。
しかしながら、日本のプロゴルフ界を見渡すと、レフティーの選手はほとんど見当たりません。男子ツアー賞金ランキング35位の細野勇策選手が思い当たるくらいで、女子ツアーのシード選手はゼロです。過去を振り返っても、レフティーといえばツアー通算5勝の羽川豊選手くらいしか思い浮かびません。
米男子ツアーに目を向けると、2023年全英オープン覇者のブライアン・ハーマン選手(米国)がレフティーですし、ツアー45勝のフィル・ミケルソン選手(米国)、ツアー12勝のバッバ・ワトソン選手(米国)、ツアー8勝のマイク・ウィア選手(カナダ)などが活躍した実績もあります。もっともミケルソン選手は右利きですが、父親のスイングを鏡に映すようにマネしてゴルフを覚えたため、レフティーになったというエピソードの持ち主です。
その理由についてゴルフ関係者に話を聞いたところ、最も大きな影響は練習環境の違いのようです。アメリカはゴルフ場の中に広大な練習場があり、右打ちでも左打ちでも芝の上から自由に打てる練習環境があります。
対して、日本は打ちっぱなしの練習場で実施されているジュニアゴルフスクールなどでゴルフを始めるのが一般的です。左打ち用の打席の数と場所が限られているので、左利きの子どもがゴルフを始めるのはハードルが高いようです。
ゴルフを始めたとしても、中学進学時に野球やサッカーなど、他のスポーツに専念する子どもが多いという話も聞いたことがあります。野球やサッカーは左利きが有利な側面がありますが、ゴルフは左打ちが有利ということはほとんどありません。チームスポーツの関係者や友達から「おまえの左利きは大きな武器になる」という誘いを受けたら、個人スポーツであるゴルフとてんびんにかけたときに、チームスポーツを選ぶのは必然でしょう。
一方、女子プロゴルフは近年あらゆる女子スポーツの中でも高い人気を誇っていますから、レフティーで活躍する選手が何人か出てきてもいいのにと思います。
大人になってからゴルフを始める人はレフティーが増えている
実は筆者も左利きですが、ゴルフは右打ちで始めてしまったので、レフティーを見るとうらやましくなります。右打ちで始めた理由は単純明快で、右打ち用のクラブならフルセットがタダで手に入るけれど、左打ち用のクラブは自分でお金を出して買ってくださいという環境だったからです。
ただし、その選択が正しかったかどうかは何ともいえません。スムーズなスイングの動きを身につけるのにすごく時間がかかりましたし、ゴルフを始めて25年経った今も、ショットの方向が安定しません。テニスにたとえると、バックハンドをずっと打ち続けているような感覚があります。
コロナ禍で都道府県をまたぐ移動の自粛が要請され、ゴルフ場に行くことがタブー視されていた時期に、ゴルフスクールでレフティー転向にチャレンジしたこともあります。左打ち用のクラブで3カ月間ボールを打ち続けましたが、右打ちを20年間続けてきた動きのクセが抜けず、左打ちでの手ごたえが得られなかったため右打ちに戻しました。
ですが、これからゴルフを始める左利きの人に「左打ちがいいですか? 右打ちがいいですか?」と質問されたら、「絶対に左打ちのほうがいい」と断言します。そのほうがどう考えてもボールを強く叩けます。ゴルフのレッスンで、インパクトバッグを軽い棒で叩く練習をやらされることがありますが、筆者は右手で振るよりも左手で振るほうが強く叩けます。
またアプローチショットの感覚を表現する際に、「右手でボールを(下手投げで)投げるように」という言い回しが使われることがありますが、その感覚もよく分かりません。普段ボールを投げるのは左手なので、右手で投げてもコントロールできないのです。
近年は、大人になってからゴルフを始める左利きの人に左打ちをすすめる風潮がようやく出てきました。俳優の小栗旬さんが左打ちですし、男子ツアーの「前澤杯 MAEZAWA CUP 2025」を主催する、実業家の前澤友作さんも左打ちです。
ゴルファーの10人に1人が左打ちとまではいかないにしても、20人に1人くらいが左打ちになったら、ゴルフが本当の意味で誰でも気軽に楽しめるスポーツになったと感じられるようになるかもしれません。
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